期待しすぎてしまった「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」-映画のことばかり考えてる。part3

 周りからおすすめされて観に行った映画がつまらなかったときの感想をどう伝えるかは悩ましいものである。「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」(以下ゲ謎)はそんな悩みの種になった。この記事を書くことにしたのだから私もなかなか吹っ切ったものである。

 できの悪い映画だとは思わない。むしろ日曜日の9時から放送したアニメの続編としてよくここまで過激な作品を作れたものだと驚いた。演出が酷いわけでも、脚本に矛盾が生じているわけでもないし、不満はあまり無い。

 ところが観終わった直後の満足度は高くはなかった。昔からある話で新しさがない、過激な映像の割に子供向けで中途半端、取って付けたような終盤に白けたなどなど理由を考えてみた。しかし、本当の理由は、期待しすぎてしまった、ということだろう。あまりにも周囲がすすめるものだからどれほどすごいのかと自分の知る偉大なホラーミステリたちと比較してしまったのだ。不運にも、直前に今年最高の映画になりそうな「ノベンバー」を観てしまった影響もあるだろう。

 冷静に振り返ってみるとゲ謎は結構面白い映画だ。鬼太郎のアニメは観たことがないのでそちらから来ている小ネタなどはわからないが、墓場鬼太郎から取ったと思われる展開にはニヤリとさせられたし、犬神家の一族を思わせる嫌な田舎の雰囲気や、アクションシーンの完成度は素晴らしかった。

 おすすめされたがゆえにゲ謎をつまらなく感じてしまったのだとしたら、人に好きな作品をすすめるのも考えものである。

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