お墓参り

      作・ころひと


今日、おばあちゃんの

お墓参りに行ってきた。

母ちゃんと父ちゃんと行ってきた。

おばあちゃんは、僕が小学二年生のときに亡くなったから、もう三年も前に亡くなった。

お墓に行って、水をかけてお花をそなえて、お線香をあげて、手を合わせているとき、

「おばあちゃん!」

と、母ちゃんが言った。

まさか、おばあちゃんの幽霊!?

僕は、びっくりしたけど、それと同じくらいワクワクドキドキした。

だって初めて幽霊に会うかもしれないから。


だけど、母ちゃんが見ているのは、猫だった。

白色のまるまる太ったブチ猫だ。


「猫だよ」

僕は言った。

「知ってるわよ。おばあちゃんが、猫の姿を借りて会いに行きてくれたかもしれないでしょ」

そう言って母ちゃんは、猫に近況報告をしようとしていたけど、猫はプイッと、すぐどこかへ行ってしまった。

母ちゃんは、「あぁっ、ちょっと待って」とか言ってたけど、すぐまた

「あっ、おばあちゃん!」


と、今度は墓石にとまっているバッタに話しかけた。


「母ちゃん、バッタだよ」


僕は言った。母ちゃんは「わかってる」と言ったけど、バッタに話し続けた。

バッタも、すぐどっかに行ってしまった。


お墓参りが終わって帰ろうとしてるとき、また母ちゃんが言った。


「おばあちゃん!」

目の前を、背中のまがったおばあちゃんが歩いていた。


「母ちゃん、それは、知らないおばあちゃんだよ」



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