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練馬区立美術館 ✕ 平子雄一

平子雄一という人のことは知らなかったのだが、観覧料が300円だったので中村橋から徒歩5分の練馬区立美術館へ行ってみた。

この平子雄一さんという人は練馬区在住の、私より数個年上の男性アーティストらしい。今回の展示は、もともと練馬区立美術館が所蔵している10点の絵画を平子雄一さんが再解釈して描き下ろした作品である。(ヘッダーの写真)こういうのをオマージュっていうのだろうか。平子さん本人の作品としては、巨大な描き下ろし作品1点が1階の展示室に飾ってあるのみで、2階はまたべつのグループ展を催していた。


おそらく今回の作品は、練馬区の依頼を受けて平子さんが描き下ろしたもの、ということになるのだろう。だとすれば、いったいいくらくらいで請け負ったのだろう?などという下世話な想像が働いた。まあ、そんなことはいくら考えても知る由もないわけだが。

いりぐちに入ってすぐのところにオリジナルのガチャガチャが設置されていて、こちらは受付に申し出ると500円で1回ぶんの専用コインと交換してもらえる。だからガチャをしたければいちいち受付に行って「すみません。ガチャまわしたいのですが」とモジモジしながら申告しなければならない。ちなみに私は2回まわした。(申告している人はだいたい子連れの大人だった)

ちなみに、オリジナルガチャというのはこういうヤツである。


オリジナルガチャ

で、景品はこれ。


オリジナルキャラクターズ

私は黄色か赤色が欲しかったのだが、出たのはグレーと緑だった。いちばん要らないカラー。でも1回500円もするし、2回で諦めて帰って来た。


練馬区立美術館は何度も足を運んでいるが、今回の展示に関しては客層の毛色が違う感じがした。作家の知り合いっぽい富裕層が港区の香りを纏ってご来場している。服装で分かる。

2階の展示はThe現代アートという感じで、ほぼ無名の作家たちが各々のワールド全開の作品を展示していた。廊下には「こちらではお静かにお願いします」などという立て札が置いてあったが、明らかに一般客ではない作家本人とその関係者らしき人たちが廊下でも展示室でもべらべら喋っていてふつうにうるさかった。



最近私は現代アートの傲慢さ(わかる人だけ分かれば良いというスタンス、作品の制作過程や展示方法の創意工夫に対する理解を鑑賞者に要求してくる感じ、自身の哲学や教養を自己陶酔を交えて作品に投影する、いわゆる公開オナニー)に辟易していて、だから遠目からサラッと眺めて、もはやタイトルすら読まずに終わった。アートってどこまでをアートっていうのだろう。作品と共に、その脇にある解説や作家の経歴(文字情報)も丹念に読み込め、というのはちょっとちがうと思う。それならばいっそ本でも出版したほうがよほどよい。

以前に鴻池朋子さんの対談本を読んだときに、鴻池さんが自身の作品に必ずタイトルをつけなくてはならないことや、美術館というものが、全国どこにあってもその所蔵品や展示法に差異が見られないことに違和感を感じるといったようなことを述べていて、なるほどと感じた。


だから、一切の解説を載せない展示があったら面白いのにと思う。載せるのは作者、年代、タイトルくらいで、あとの情報はすべてネットや紙面に載せる。そうすれば鑑賞者は作品そのものにもっと没入できるのではないかと思う。すべての美術館の展示がそうであれ、とは言わないけれど、そういう展示があってもいいと思う。音声ガイドも要らない。山田五郎の解説も作家の講演も要らない。


純粋にその作品だけ、一切の文字情報を排したものだけを見てみたい。

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