土の分類方法について調べてみますと、未だ確立されていないものであるということが分かりました。そこで異なる二つの研究機関が発表している最新のレポートを拝読し、違いを探しました。
日本ペドロジー協会の「日本土壌分類体系」と、農業環境技術研究所の「包括的土壌分類第1次試案」の土壌分類を比較してみます。
体系比較
定義比較
<ほとんど同じもの>
10大群のうち造成土、有機質土、ポドゾル、赤黄色土、停滞水成土、未熟土の6大群については、さらに細かい群、亜群の分類構成も共通しています。まずはこの大群定義を比較し、大まかな構成を確かめます。
造成土
有機質土
ポドゾル
赤黄色土
停滞水成土
未熟土
<違いがあるもの>
黒ボク土と褐色森林土については群構成に違いが見られますが、大群定義は共通しています。
黒ボク土
褐色森林土
「日本土壌分類体系」では沖積土、「包括的土壌分類第1次試案」では低地土が登場しますが、これら2つの定義はほとんど同一でした。したがって同じ土を指すと考えて差し支えないでしょう。
沖積土(日本土壌分類体系)
低地土(包括的土壌分類第1次試案)
「日本土壌分類体系」で登場する富塩基土と「包括的土壌分類第1次試案」で登場する暗赤色土について、それぞれの定義を確認します。
富塩基土(日本土壌分類体系)
暗赤色土(包括的土壌分類第1次試案)
この分類について「日本土壌分類体系」を読み込んでみると、研究者の方々のある意図が記述されていました。
土の分類に関する2つの分類について、これらがいつ発表されたものなのか確かめます。「日本土壌分類体系」は2017年4月1日、「包括的土壌分類第1次試案」は2011年3月でした。
「日本土壌分類体系」の研究背景について記述がありました。
複数の研究グループが「土の分類」について研究を重ねてきたことがうかがえます。将来、農業環境技術研究所から第2次試案が発表されるかもしれません。
参考文献
日本ペドロジー学会「日本土壌分類体系」
農業環境技術研究所「包括的土壌分類第1次試案」