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僕はDIALOGUE+が大好きだ

先の見えない時代が続いている。あやふやにも程がある。

何かにすがりつかなければ保てない。それは、身近な誰かかもしれないし、趣味でもいい。ほんの些細なことだっていい。明日もまた頑張ろうと思える今日がいい。

いや、すがりつくと言うよりかは、ぎゅっと手を握っていたい。握り返してくれたら尚うれしい。

今、そんな僕の手をしっかりと繋ぎながら、時代の一歩先を駆け抜ける8人の少女たちがいる。

DIALOGUE+

UNISON SQUARE GARDENの田淵智也をメインプロデューサーに迎え、大旋風を巻き起こし続ける8人組声優アーティストユニットである。2019年のデビュー以降、活躍の幅とファン数を拡大し続けている。

それぞれが全く違う魅力を持ったキュートなルックス及び個性が化学反応を起こし、楽曲派志向の音楽でシンプルに勝ちにいく姿勢が清々しい。アイドル的であり、声優アーティストとしても満足度は申し分なく、生バンドの迫力ある音に負けないパフォーマンスを見ていると、ロックフィールドへの進出も十分可能に思える。まだまだ伸びしろだらけのユニットである。

彼女たちは、ある日突然、僕の意識の中に侵入し、その心と体を奪っていった。気が付いたらハマっていた。

そして気付いたら、何の迷いもなく東京ドームシティホールにライブを見に行っていた。恐ろしいスピードと好奇心で、DIALOGUE+は僕を突き動かす。それだけの魅力がある。

今回は、そんな彗星のごとく現れた新星たちへの愛と馴れ初めを語り、彼女たちの魅力を伝えるための記事を書くことにした次第である。

僕はDIALOGUE +が大好きだ。

いつもの朝に舞い降りた名曲

2020年6月17日、目覚めと共に朝の準備をしていた。いつもの朝である。生活様式も変化したが、いつもの朝である。そう言い聞かせることに飽きるほど、何もかも変わってしまった。

仕事着に着替え、弁当を作り、ツイッターを見ていた。毎週水曜日は新譜のサブスク解禁日である。何気なくタイムラインを眺めた時、僕は出会った。

いつもの調子でスマホを操作し、Bluetoothスピーカーから音楽を流す。コーヒーを淹れる。何気ない動作である。そして、いつもの調子で身支度を…

できない。

できないのである。あまりにも曲が良過ぎて、歌詞や音が胸をえぐりながら、そっと寄り添ってくる。身動きが取れなくなった。ついには泣き始める。朝6時半、32歳独身は洗面台の前で大泣きしたのである。

めちゃくちゃ良い曲だなあ…って素直に思った。

「めちゃくちゃ良い曲だなあ」という表現は、日常的に使用しているから、伝わりにくいかもしれない。まるで、心の底の底、海底300000000メートルに沈んでしまったはずの何かを掬い上げられたような気分であった。このレベルの名曲は、5年にひとつくらいしか出てこない。すぐに理解した。

少し話は変わるが、近年のヒット曲に大衆性は求められなくなったと僕は思う。個人個人に向けられた個性的な曲しかバズらず、それに熱狂する大勢が集まって、大衆性を作り出しているに過ぎない。それは、時代性から考えて仕方ないし皆が好きそうなマイルドな曲は流行らなくなった。

しかし僕が好きなのは、初対面の段階から、皆に向けられ愛されることを想定して作られたような…親しみやすく優しい楽曲である。一生それを追い求めている。それは、もしかすると現代的ではないかもしれない。だけどそこに、僕らが深い海に沈めた何か大切なものがある気がしてならないのである。

そのイメージに重なったのは、困難な時代にぶつかった時ヒーローのように現れて、“みんなのうた”を歌ってきたアイドルの姿であった。
ある時は「ナンバーワンにならなくてもいい」と歌い、またある時は「がんばりましょう」と歌ってきた。この国の中で、1番強い支持と大衆性を獲得し、愛されるポップスを歌い、誰よりも愛されたアイドルを思い出した。

話を無駄に大きくしてしまうのは、悪い癖である。しかし、どうしたって重なる。もしも彼らが、今も元気に活動していたら…今をときめく才能のひとつ=田淵智也は、おそらく楽曲を提供していたに違いない。それくらいの未来は容易に想像できる。

結果2021年を迎えた今改めて、ここまで時代に寄り添った曲は存在しなかったと理解できる。僕はそう思う。

大好きだよって伝えるのがこんな難しいなんて
大嫌いだよ 会えなくなるのは寂しいから
楽しかったね 
色んなことがキラキラしてるよ だけど
ほんの少しさよならかも 
こんな奇跡はもう起きないかも 
なんて大げさかな?

優しい歌声から始まるが、どこか不安定で、大げさではないくらいに現状に染み渡った。

あの時本当に思ったのは「もうしばらく色んな人に会えないかも」という恐怖だった。全然それは大げさではなかった。それは、「いつか会えるよ」だなんて希望的観測ですらなかった。最悪、あの空を境にして、「さよなら」を言われる側、言う側になるかもしれない。それくらいの不安はあった。

落ち込んじゃって出口が無いなら
センチメンタル手漕ぎボート
こぼれた涙の海を漕いでいって
月を目指すのかい?
それよりも長く伸びた影で 
ちょっかいなんか出して
君とふざけ合う 太陽を願っていたいな

ネガティブなニュースと、他者を攻撃することで何かを発散し、保とうとする人類を見ながら泣いた。僕の心は、泣いて泣いて泣き止んだ後の海、底の底に沈んだ。

そんな時、彼女たちはボートを出し、手を差し伸べてくれた。危うく命を落とすところだった。落ち込んでしまう前に僕らが求めるのは、君とふざけ合う楽しい時間であり、その為の太陽を願うことである。そんなこと言われたら泣いてしまう。生きる限り楽しいことを見つけて楽しい方に向かった方がいい。そんな当たり前も僕は忘れていた。

誰かを批判しても、僕の生活は維持できない。もっと楽しいことが必要だ。それがあれば、何とかやっていける。だからエンタメは、音楽は止まってはいけない。不要不急なんかじゃない。皆が今そう思ってくれるなら、僕らは同じ場所へ向かえる。

約束ちゃんと守ることだって
誰かを傷つけないことだって
前向いて生きていくことだって
当たり前だから
夢のかけらをひとつひとつ繋ぎ合わそうね
離れてしまう心なんて無い わかってほしいな

約束を守り、誰かを傷つけず、前を向いて生きていく。全部とても大事なこと。その先にまた笑って会えるような日常は当たり前のようにあるかもしれない。それが出来なければ、僕は日常を享受する資格はない。

また笑って会えることだって
君の目を見て歌うことだって
楽しんで生きていくことだって
当たり前だから大丈夫
お話を続けよう
明日が楽しみになって
眠くなるまで

もし推しにステージからこんなこと歌われたら、全ての水分を撒き散らして水になる自信がある。

「君の目を見て歌うこと」は当たり前らしい。
いつになったら会えるか見当もつかない日々の中で、「また会えること」は当たり前だって8人の少女は歌う。あの状況下で何も誤魔化さずに、これだけ人の心に響く当たり前を歌にできたアーティストを僕は他に知らない。

もしかしてふとした時に
ほらなんかどうでもよくなって
そしたらココロモーターブレーキで
耳を塞げばいいんじゃない?
ざわざわが通り過ぎた後も 
変わらずに歌ってるよ
じゃあ今度は話聞かせてほしいな
もちろん君の声で!

「がんばろう」とか、「かんばらなくてもいいよ」じゃなくて、「ダメな時は耳をふさいでいい。その後で話聞くよ」と言ってくれたのが心強かった。この一曲だけでたくさんの希望をもらった。いつかそれを返したいと思った。

当たり前を数えよう
あやふやな未来だけど あやふやな未来だから
当たり前を数えよう
ひとつ ふたつ みっつ よっつ
いつつ むっつ ななつ やっつ
ほら 楽しくなった

朝起きてコーヒーがおいしいこと、音楽が気持ちいいこと、今日もまたクソみたいな上司と顔を合わせること、帰ってきて時間があったら友達と話せること、アニメがおもしろいこと・・・ひとつひとつを僕は数えた。錯覚かもしれないけど大丈夫だと思った。

この曲がなかったら、僕はあの季節を乗り越えられただろうか?何度もそんなことを考える。

これが、僕とDIALOGUE +の運命的な出会いである。

2021年に革命を起こす少女たち

数多の推しから得られるものを受け取り、何かを返しながら2020年を終えた。そして、2021年は始まってしまった。

「始まってしまった」と言う言葉には、たくさんの希望を含んでいるし、相反する何かも含まれている。年が変われば、何か変わるかもしれない。そんな根拠のない希望を打ち砕くような情勢が、正月気分の我々をいきなり襲ってきた。

負に満ちたトレンドなんて見つめて落ちてる場合ではなかった。ちゃんと世の中は楽しい話で溢れている。耳を傾ける。

再びDIALOGUE +が僕の前にその姿を現した。
どうやら新年早々、有観客のライブをやるらしい。正直耳を疑った。
本当に?こんな時に?「音楽は不要だ」と吐き捨てられる逆境の中で?今何を歌う?…気になってしまった。もし、もしも現状を乗り越えられるほどのパワフルなライブなら…それ自体が2021年の音楽の希望、光になり得る。

ライブタイトルは『ぼくたちの現在地』。素敵だと思った。
『あたりまえだから』は前述の通り、革命的な楽曲であったし、それ以前の音源も悪くはないと思っていた。しかし特に活動を追っていたわけではない。

ただ、日頃コード進行の話を熱心にしている声優楽曲オタクのフォロワー氏たちが「DIALOGUE +はいいぞ」と何度も語ってくれたこと、配信チケ代1000円は魅力的であった。

当日、軽い気持ちで配信を見始めた。

………………

感動した。大袈裟ではなく、生きてきた中で1番泣いたかもしれない。とにかく見終わった後、途中からもうずっと嬉しくて嬉しくてたまらない気持ちになった。それが笑みに変わり、涙が止まらず最後にまた笑っていた。画面が暗転した後に残されたのは暗い現実ではなく、明るい今だった。それは、あやふやな現在地かもしれない。だけど仲間と共にしっかり踏み締めたとしても、決して崩れはしない大地に違いなかった。

8人の少女たちは、何物にも負けない勢いと覚悟、それを成立させるだけの丁寧な過程を持ってステージに立っていた。あの時、誰より頼もしかった。初めて彼女たちのパフォーマンスを画面越しに見た僕にさえ、それは理解することができた。単純に言えばすごく元気をもらったのである。

人が人である意味も、音楽が音楽である意味も奪い取られるような情勢の中、その意味を刻みつけるようなライブだった。音楽が鳴り響く瞬間、そこに生命は躍動するし、生きる意味は生まれる。そういうライブだった。その上めちゃくちゃ飯塚麻結さんが可愛くて恋をした。

僕は、目の前で起こった革命に信頼を寄せた。この子達を信じると決めた。いつか会いたいと本気で思った。

魅力的な楽曲+魅力的なメンバー×8=力強いチームワーク

知れば知るほど好きになる。動画やラジオに没入していく。活動姿勢にも感心する(ポニーキャニオンは既に石原夏織で相当な信頼を獲得しているので納得)。めちゃくちゃ丁寧で、ファン思いで計画的で熱がある。先の配信ライブを見終わってから、何かに取り憑かれたように情報を収集した。

特に音源は今まで以上に聴き込んだ。近年の声優アーティストを語る上で田淵智也を素通りすることは不可能に近いが、正直全ての楽曲が刺さるわけではないし、ユニゾンも特別好きなバンドとは言い難い。しかしDIALOGUE+における彼の打率は、異常に高く感じる。もちろん編曲の影響もあると思うがそこは専門外なので言及は避ける。

おそらく、彼の趣味趣向や思考の多様性を受け止めると言う意味で、アイドルと言う受け皿が最適であるからだと僕は思う。8人もいれば誰かが受け止めてくれるし、そうでなくても助け合うことができる。そして、その中で何をすべきかを彼は見極め、プロデュースする能力に長けているのではないかと推察する。

楽曲だけではなく歌詞も刺さることが多い。『あたりまえだから』に代表されるところではあるが、自分の信条としているような生き方や思考にフィットする歌詞がたくさん出てくる。

ユニゾンオタクのフォロワー氏は上記のように語っていたが、これを仮説とすればDIALOGUE+には8人分の言葉が与えられていることになる。それすなわち様々な多様性の許容であり、幅広い層に届くべき歌詞になりえるのだと考えることができる。色んな人に向けられた歌が僕は好きだ。

また、8人の仲もめちゃくちゃ良くて、見てるだけで幸せになれるところが大好きだ。女子高生の戯れを観察するような楽しみがある。彼女たちは阿吽の呼吸のようなトークを繰り広げ、時には互いを褒め合い、時にはdisり合う。愛がなければできないようなシーンが多々ある。
彼女たちは、まるで部活動のようにお互いを高め合うことができ、それを最高の団体スポーツとして披露することで勝利を掴み取る。そして皆で掴んだ勝利の理由を紐解いた時、メンバーひとりひとりが魅力的に見えてくる仕掛けがずるい。

薄い水色の子の顔面はいつ見ても綺麗で気になる。泣きホクロを両目につけてる天才美少女:飯塚麻結さんである。ダルメシアンかよかわいすぎだろ…この子を推そう。初めて見た瞬間に決めていた。今のところ僕の見立てでは一番かわいい。舌足らずな声もかわいい。先日はインスタライブに送ったメッセージまで読まれてしまった。好きになるしかないやろこんなん。

THEセンターと言わんばかりの存在感を放つ濃いピンクの子は宮原颯希さん、この子がいると締まる。さっぴの愛称で親しまれ、キレキャラで通してウケを狙っているが、いちご柄のワンピースが似合うくらい可憐な女の子である。

薄いピンクは内山悠里菜さん。おっとりとした雰囲気で場を和ませてくれる。エースの天然記念物らしいが結構しっかりしているように見える。何気にまとめ役だと思う。メンバー内では腕相撲が一番強かったりする。

オレンジの子は6歳児のような声もルックスもよく目立つ鷹村彩花さん。その圧倒的な妹感でメンバーに可愛がられているが、読書が趣味で地頭がめちゃくちゃ良い一面も持っている。天は何物を与えるのか?と疑いたくもなる。

一度聴いたら忘れられないような甘い声、THEかわいいを突っ走るツインテールは黄緑担当の守屋亨香さんである。プロレスやロック鑑賞が趣味であり、かわいいだけだと思っていると痛い目を見る。一生耳元で囁いて僕をぶち壊してほしい。

グループ内随一のムードメーカーでボケを忘れないのは、紫担当の村上まなつさんである。泣きそうな表情で精一杯に歌声を振り絞るその姿を見てしまったら応援したくなる。メロディから少し浮くような独特なボーカルが好きだ。最近はオッドタクシーでの演技も光っている。

力強い声でこのグループを支える土台となっているのは、黄色担当の稗田寧々さんである。彼女なしには成立しない曲がたくさんある。趣味は映画鑑賞、メンバーのマネが上手い。ラジオ内では「グループ内にはかわいい子がたくさんいるので、わざわざ自分が担当しなくても良い」などど自分で言ってしまうところが僕はすごく好きだ。

そして、稗田さんが支えたものを、空高く舞い上がらせる美声を持つのが水色担当の緒方佑奈さんである。ミュージカル仕込みのような声が目立ち、メンバーによくネタにされる。全体的に色っぽい。しっかりお姉さんに見えて、実は一番天然記念物かもしれない。鷹村彩花の愛称=やかんに「ちゃん」を付けながら保護者ポジションを獲得する関係性も良い。

みんな違ってみんな良いし、知れば知るほどハマっていく。好きになっていく。この気持ちを止められる術を持たない。

気が付けば出演番組や動画を追いまくり、フォロワーと3時間強DIALOGUE+の話をするだけの通話まで行っていた。僕は完全にただのファンになっていた。

あの日からもう一度始めるための(再)

2月、コード進行のオタクからBDを頂いた(本当にありがとう)。品物には『DIALOGUE+1st LIVE ぼくたちのかくめい!オンライン』と記されていた。それは、昨年彼女たちが無観客で開催せざるを得なかったライブの映像であった。

あの日に戻って、やり直したい。一度や二度くらいそんなことを考えるだろう。しかし時間を止める魔法も遡る術も、僕らにはない。たった一度きりの機会。どんなに巻き戻しても二度と手に入らない時間が人にはある。

ともすれば、初めてのライブ…と言うものも、演者やファンにとって大切なものであり、DIALOGUE+にとってもそれは同じであったことは言うまでもない。確かに無観客であってもライブは素晴らしかったし、あの状況を逆手に取ったようなパフォーマンスも良かった。客席側にバンドを配置するような構成や、DIALOGUE+自身が客席に座るような演出はあの状況でしかできないメリットである。

しかし、やはり客はいたほうがいい。ファンが見守る中で、初めてのライブを実現させる。それが、彼女たちにとっての本当のスタートのように思えた。

4月、それを実現する機会が訪れた。タイトルは

『ぼくたちのかくめい!(再)』

あの日、無観客でやらざるを得なかったライブの再公演である。すぐさまチケットを入手した。

再公演と言うのは、音楽ライブでは珍しいのではないだろうか。無論、この場合の“再”が示すのは昨年のセットリストと同じ流れをなぞる事だと言う予想は付く。

どうしてそこまで“再”にこだわるのだろうか?何故、彼女たちは新しいライブタイトルを銘打つのではなく、再公演を選んだのだろうか?

それは前述の通り、あの日のライブ内容を有観客でやることに意義があると考えているからだろう。この先何が起こったとしても変わらない、振り返った時に誇れるような選択。たった一度きりの起点を、スタートを刻みたかったのである。

人の在り方として正しいと思うし、彼女たちが描くアーティスト像や姿勢に改めて感心した瞬間であった。もはやライブを見る前から「良いに決まっている」という確信が胸の中で踊る。

2021年4月25日

(正直1か月前の記憶を思い返せるほど記憶力は良くないからBD見ながら言葉にしていく)

待ちに待ったその日がやってきた。

音楽は再び苦境に立たされていたが、ライブは予定通り開催された。できる時にできることをやる。そして今日はそれができるタイミングであった。ただそれだけのことらしい。神に感謝する。

チケットを自らの手で切り離し、歩みを進めていくとスタッフたちが「ディスタンスを取ってください」と執拗にアナウンスしていた。客のほとんどはマナーがよく、素直に聞き入れていた。誰も間違いたくない。正しく今日を迎えたいのである。

東京ドームシティホールはミニ武道館という言葉が似合いそうな会場であった。突き抜けるような高い天井を見上げた。ここに大勢の客が入り、昼夜公演を回すのである。すでにその人気の高さを実感した。

ライブが始まった。

あの日と同じ映像が流れる。2部屋に4人ずつ分けられたメンバーが、リモートで互いの存在を確認する。そこからカウントダウンが始まりオープニングに繋がる。何度も見てきた映像である。本当にただの再公演であった。

今日ただひとつ違うのは、間近に彼女たちを感じられることである。ほぼ同じセトリをなぞるだけの再出発を、楽しみにしていたファンが会場を埋め尽くす。そしてステージにDIALOGUE+がいる。ただそれだけのこと。それが嬉しかった。

『ぼくたちの現在地』の配信を見てから5ヶ月弱、想定より早く会うことができた。「最悪年内に会えればいいかもな」って思っていたくらい、あの時はまだ不安だったから余計に嬉しい。

全員が輝いている。今日この場所に、確かな覚悟を持ちながら立つ8人は堂々としている。重くて鋭利なバンドサンドが響く。おそらく通常の声優アーティストのライブより音が大きく気持ちがいい。今日は着席ではなく、立てるライブである。ああ僕は生きてるんだな…という実感が強くなる。

気付けば2曲目『はじめてのかくめい』に移っていた。内山さんの指揮者みたいなフリが好きだ。これを見にきた。


8人を見るのは大変である。オペラグラスを片手にそれぞれのメンバーにフォーカスを当てるのもいい。しかしそれでは全体のダンスが見られない。いや、それより音楽に身を任せて踊ることに専念した方がいいだろうか?バンドメンバーたちもアグレッシブな動きを見せる。何を見ればいい?何を感じ取ればいい?贅沢な悩みが同時多発する。

やるじゃん!やるじゃん!やるじゃん!
僕たちありえちゃったベイベー
不可能は無し
絶望も無し
って話でいいんだよな!そうだよな!
空も海も愛も夢も神様も作っちゃえば?
ほら僕らについてこようぜ

諸々の意見があってもいいと思う。ある程度僕自身が叩かれるのは仕方ない。何が正しいかは個々の判断に任せたい。だけど、音楽もライブも何も間違っていない。そのうえで、今日彼女たちは有観客のライブを実現させた。やれたのである。あり得てしまった奇跡を目に焼き付けていると、もういきなり涙が出る。この子たちについていく。

やらないんなら無いで苦しまないよ
だけどやんなきゃ未来は来やしないんだ
だから熟考→決定! 
僕たちに期待してお任せござれ、余裕!
ほらやるぞ!やるぞ!やるぞ!
僕たち道なき道だって歩いた途端すぐ道になる

力強い歌詞である。まゆゆんが未来に向かって指を刺す。こんなメッセージを伝えながら、ステージに立つ少女たちを見たらもう逃げられない。未来はそこまで来ている。君たちがいる限り僕らはやれる。今日この場所に起きた幾度目かの革命を、この眼で見届けられた嬉しさが込み上げる。

自然と体が動く。あまりフリ通りに踊るのも覚えるのも得意ではない。しかし何度も見てきたから覚えている。サビ前のクロスする足の動きが大好きだ。「やるぞやるぞ」の手の動きも好きだ。なんでもできる気がする。同じように体を動かしていく。

なんだこれ楽しいぞ?楽しいな?楽しい!!・・・予想以上にもっともっと、リアルのDIALOGUE+のライブは楽しかったのである。

昨年のセトリ通りに進んでいく。まゆゆんこと飯塚麻結さんが一番かわいい。僕の目に狂いはなかった。リアルで見ても一番かわいい。3曲目『トーク!トーク!トーク!』落ちサビ、両手に卵を持つようなポーズ+おもちゃの兵隊のように近づいてくる動きが良い。これを見に来た。ああかわいい。ダルメシアン飯塚麻結ちゃんかわいいよ飯塚麻結ちゃん。

やがて燃え上がったハートに薪を足すようなギターリフと共に未発表曲『上々だ』が始まる。もはやこれはロックバンドのライブと何ら遜色ない。「踊るのも楽しい」と歌う緒方佑奈さんがえっt色っぽくてクラクラする。村上まなつさん「君に会うのも楽しい!」に対して許されるなら「俺もおおおおおお」と返したい。代わりに拳を突き上げざるを得ない。ロックンロールが大地を切り刻む。きょんちょんのラスト「すごいんじゃあああ」が響き渡る。これを見にきた。

そこから4曲目『パジャマdeパーティ』、ダメだもうかわいすぎて常軌を逸している何も覚えていない。さっぴ「おやすみなさ~い😪」が良すぎる。これを見に来た。

「これを見にきた」と何度も言っているのは、何度も見てきた映像の再公演であり見所も把握しているから。見たかったシーンが次々と現実になる幸せを噛み締める。

幕間映像が流れる。これも昨年と同じ。5曲目『Domestic Force』へ繋いでいく。孤独に押しつぶされそうな中、それぞれのメンバーの不安が吐露される。「余裕なんかあるわけない」、「なんでこんなに下手なんだろう?」…心の叫びが続いていく。

黒いパーカーを着た8人が現れる。限りなく黒に近い景色にわずかな光が当たり、顔なんてほぼ見えない。EDMサウンドをバンドで表現し、それと戦うように迫真のダンスが続く。これくらいの照明でいい。ただそこに君たちがいて必死に踊っているのがわかればいい。フォーメーションダンスが綺麗すぎて息を呑む。これを見に来た。ハンドボール仕込みの内山さんのスマッシュが決まると、ステージはさらにボルテージを上げていく。この興奮は他とは代えがたい。

再び映像がモニターに映し出される。極初期のイベント映像を見ながら、「こんな時代もあったのか」と過去に思いを馳せる。8人で確かな過程を踏みながら歩んだ季節は噓をつかない。今日素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた全員がその証明である。

次に、昨年客席に座りながら披露された未発表曲『また立ち上がる』が始まった。今回はステージに可動式の段差が現れる演出に変更されている。メロウなディスコサウンドに乗って軽快なラップが披露されていく。それぞれのカラーが反映されたリリックをマイクリレーで繋ぎ、最強のサビに身を委ねる。青いイナズマが僕を切り裂くような既視感にニヤリとする。

そのまま昨年と同様ステージに座った8人がアカペラを披露する。あの当時の会えない状況の中でコーラスを合わせるのは大変だったと思う。すごい。あの瞬間だけは会場に8人しかいないように思えたし、全くブレずに美しく響き渡るハーモーニーは8人の絆の強さそのものである。涙、涙、涙。おじさんはもうぐちゃぐちゃだ。
声のわずかな余韻、その後にバンドサウンドが重なっていくと世界が一気に広がり『好きだよ、好き。』が始まる。

一生懸命生きていても嫌な事は訪れるから
連絡して集まってくだらないことをしよう
意味無くても笑えたら明日に期待できるから
今日もちゃんといい日だったね
抱きしめてしまいたくなるな
世の中に少しでも僕を待つ誰かがいるってこと
信じられるなら大丈夫さ 
聞かせて、君の声をいつでも!

嫌なことばかりが続いて、連絡しても気軽に会えるわけじゃない現代は残酷である。いつもこの曲に支えられている。
泣きそうな声を振り絞る村上まなつさんを見ていたら溢れ出してしまう。色んなことがあっても、自分を待ってくれる誰かがいることが嬉しいし励みになる。今日僕はDIALOGUE+を待っていた。そして会えた。それだけでいい。ここからずっと終わるまで涙が永遠に止まらない異常現象が続く。

君が僕を嫌いになる時は 
僕が夢を捨ててしまう時だ
だからそんな日が来ないように 
今を歌い続けよう

教科書に載せたい。小さなことでもいいから夢を捨てたくない。桜吹雪が舞い散る。

衣装替えタイム用のバンドセッションが始まる。ロックバンドのライブと何ら遜色はないエモーショナルな盛り上がりがある。黒須勝彦の重低音が心臓を掴みながら揺さぶる。一生忘れない。誰一人欠けてはいけないし、いいバンドである。

最高の音が混ざり合った後、最高潮まで上げたテンションの中「わたしたちが!DIALOGUE+だ!」と叫ぶ内山さんの宣誓は、まるで甲子園球場における野球少年のそれのように清く正しく響く。

すぐさま『ダイアローグインビテーション」が始まった。所謂メンバー紹介曲である。それぞれの個性が光りながら炸裂し、ひとつになっていく。全員が愛しい。「おがた!!ゆうな!!」をいつかやりたい。これが僕の今の夢である。

勢いを止める時間、そのコンマ1秒すら惜しい。高速BPMの『大冒険をよろしく』に繋がる。

体をコントロールできない。理性って何だっけ?ヘドバンしながら飛び跳ねる。ロックフェスにおけるピークを見ているような気分に近い。少しばかり早い夏が僕の心身を躍らせる。今一番数万人規模の野外ステージで鳴らされるべきアンセムが聞こえる。涙、涙、首を振る、首を振る。間奏、円陣を組むように踊る姿を永遠にフィルムに焼き付けたい。圧倒的なキラーチューンが時代に刻まれていく。長いマラソンを走り終えた後のような静寂が訪れ、汗と涙どっちなのかもうわからなくなった。

一列に並んだメンバーたちが互いを見つめ合いながら『ぼくらは素敵だ』のイントロが流れた。

もうみんな泣いている。すでに泣いている僕も、さらにもらい泣きをせざるを得ない。

僕らは信じた、負けるもんか!
絶対負けるもんか!
向かい風に逆らって できる限り速く!

なんにも負けてない。むしろ勝っている。勇敢な戦士たちは誰より力強く今を叫ぶ。どんな逆境にも屈せず向かっていく希望、それをDIALOGUE+と呼ぶことを今日僕は教わった。

当たり前のように続く日々、その尊さを噛みしめながら『あたりまえだから』が始まった。一番生で聞きたかった大名曲がついにその姿を現す。
歌詞解説などは前述の通り、今日はただ画面越しではなくステージに立つ8人から言葉や音を受け取れるのが嬉しい。色んな約束を守ることも前向いて生きることも当たり前だった。その上で「また笑って会えることだって君の目を見て歌うことだって」当たり前だと言い切ってくれる君達が目の前にいることが嬉しい。約束は果たされた。約一年後の季節を頭のどこかで想定しながら歩み続けた彼女たちの軌跡を見届けられたことが嬉しい。

1年前、僕はファンですらなかった。だけど今こうして彼女たちの再出発に立ち会うことができる幸せを噛み締めた。結果的に今で良かった。人生にはタイミングがある。間に合って良かった。

昨年のセトリ通りをなぞった後に新曲『おもいでしりとり』が披露される。既にアニメOPでも馴染みがあり、サブスク解禁も行われているので聞き込みは完璧である。これまでの集大成とも言える歌唱、たったひとつの流れ星に懸けるようなメロディラインが観客の心をさらに熱くする。天秤のような動きを軸とするダンスフォーメーションで魅了していく。

これはやり直しではなく、明らかに未来に向けた曲だとわかる。DIALOGUE+はその先を駆け抜ける。これまでの思い出を繋ぎ合わせながら今日を獲得する。だから好きだ。大好きだ。

声は出せずとも鳴り止まぬアンコールが拍手として聞こえた。

昼公演では『あやふわアフタリスク』が披露された。

東京ドームシティホールの高い天井を以ってしてもまだ足りないくらいの壮大な世界観はドーム公演の規模を彷彿とさせる。いつか、いつかたどり着くであろう大きなステージを予感させる。

夜公演では『人生イージー?』が披露された。

DIALOGUE+の未来も僕らの未来も応援されたような気分になった。頑張って頑張って僕は僕の時代を生き抜く。その時、君が君らしい時代を駆け抜ける意味も発生するだろう。そしたらまた会おう。誓った。この会場を出た後の世界はきっと少しだけ違う。

疲れ切った体を新幹線の座席に預ける。

嬉しくて楽しくて仕方ない。本当に今日ここに来れて良かった。その想いだけは確かであった。

この先もっと楽しくなると言う確信

最高のライブを終えてから、相変わらず彼女たちは元気に活動を続けている。

定期的に更新されるYouTubeが楽しみである。3か月連続で定期公演も行われる。そのうち一回はすでに配信で見終わったが、既に成長を確認できた。歌い方を変えてきたりダンスも進化している。新曲も良かった。

年内にはアルバムが出るらしい。知人の話によれば、これまでの流れを全て総括したものになるらしい。毎日毎日その一挙手一投足を確認し、それを糧にしながら歩み続けたい。そう思えるだけのものをもらった。

大体全部話した。
どうだろうか?DIALOGUE+の魅力は伝わっただろうか?ちゃんと見つけてあげてほしい。こんなにも楽しいことが世の中にはある。

それがわかったら僕と感動を分かち合おう。DIALOGUE+を知った後の世界で待ってる。いつファンになってもいい。

先の見えない時代が続いている。あやふやにも程がある。だけど僕らにはDIALOGUE+がいる。

僕は、DIALOGUE+が大好きだ。



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