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なにもしない(『ToDoリストは捨てていい。』未収録記事)


消耗しないために決定的な効果の上がる「ハック」が1つあります。

眠ることです。


眠りに落ちているときの私たちは「本当の自分」に戻れています。眠りながら「うわべを取りつくろう」ことなんかできないからです。

しかし勤務中に寝落ちしてはまずいでしょう。
そこで「睡眠」と同じくらいに効果が上がる方法をここでお伝えします。

「なにもしないこと」です。
この本を読んでいるなら、おそらくあなたは「なにもしない時間」をここ一週間くらいはもてていないでしょう。

通勤中のプラットホームで時間があけばスマホを読んでいるでしょう。
電車に乗っていてもスマホや本を読んでいるでしょう。
帰宅して食事を電子レンジで温めている間も、電波が悪くてもスマホを眺めているでしょう。
寝床に入っても寝落ちするまでスマホに見入っているかもしれません。

スマホをタップしていてもリラックスはできると思います。それでも「本当の自分」になれているかどうかといえば、眠ったり「なにもしないでいる」のに比べればまったく戻れてはいません。

その証拠を説明するのは簡単です。しかし少し自分で確かめてみましょう。

プラットホームで電車を待つ間だけでいいから

なにもしないで

いられるかどうかを確認してみてください。住まいが都心なら電車が来るまでの時間は長くて一〇分、ほとんどの場合それよりも短いはずです。

そんなに短い間であっても「何もせずにはいられない」のではありませんか。それは奇妙なことだと思いませんか。

「消耗」しているなら、なにもしないのをもっと喜べていいはずなのです。

消耗している私たちは休みを求めます。なにもしなければ全身を休められます。眠るほうがもっといいかもしれません。しかし眠れない状況にあれば、次にいいのは休むことです。なにもしないことです。

なのにそれが、わずか五分すらできないとは、どういうわけでしょう。

本当に強い決意をもたないと「なにもせずにはいられない」としたら、精神的に少し困った事態が進行しているかもしれません。

ぜひこの機会に「少なくとも五分はなにもしない」スキルを身につけましょう。

いつでもどこでも、それが許す環境なら「なにもせずに五分は過ごせる」ようになってしまいましょう。

たった五分間でいいのです。

スマホはもちろんダメです。音楽を聴くのもいけません。本を読んでもダメです。できれば考えごともやめましょう。最初は難しいかもしれません。しかしわりとすぐに練習すればできるようになります。

いまのあなたがどれほど

本当の自分に戻る

のが難しくなっているか、これでわかります。