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#3

流通の考察。つまり一定方向へ進む。

南方熊楠は、全ての生物は生態系の中でしか生きることができない。と考えていた。
また、エルヴィン・シュレディンガーによれば、生物体は〈負のエントロピー〉を食べて生きているというのである。
「生命体というものが甚だ不思議に見えるのは、急速に崩壊して、もはや自分の力で動けない〈平衡〉の状態になることを免れているからです」それはモノをを食べたり、飲んだり、呼吸したり、学術上の言葉では物質代謝(メタポリズム)と言います。生物体が生きるために食べるのは負のエントロピーなのです。物質代謝の本質は、生物体が生きているときにどうしても作りださざるをえないエントロピーを全部うまい具合に外へ捨てることにあります。
要するに、生物が、負のエントロピーを絶えず取り入れ、どうしても作りださざるえない正のエントロピーを全部うまい具合に外に捨てることができる環境が、南方熊楠が重要視した生態系なのである。

そもそもエントロピーとは何かであるが。
高い熱源と低い熱源の二つの熱源がなければエネルギーは取り出せないことを証明したカルノーの定理というのがある
すなわち熱エネルギーからどれだけの仕事量が取り出せるかは、入口の熱の温度と出口の熱の温度差によって決まる。そして熱は高い方から低い方へのみ不可逆的に移動し、その逆はありえないことを証明した。
全ての事象は、自然のままに掘っておくと、散らばる方向に変化していき、外から故意に仕事を加えてやらない限りその逆はあり得ない。

生きている生物は絶えずそのエントロピーを増大させている。あるいは正のエントロピーを増大させている。あるいは正のエントロピーを作り出している。そのようにして、死の状態を意味するエントロピー最大という危険な状態に近付いて行く傾向がある。

参考文献:「熊楠原論」高橋定孝 文芸社 2021