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低迷する秋平に新展開!

 秋平は相変わらず赤字生活を送っていた。圧倒的に立地が悪く、洪水のイメージもあり、客が寄り付かない場所となっていた。このまま続けていればあと1年ももたないだろうな〜なんて思っていた。

 「帰国も秒読みだな」(基本いつでも秒読みしてた)とか思ってたら、秋平でインターンとして働きたい!と言う若者が現れた。そういえば、僕の仕事量を緩和させるため、インターン紹介業者に申し込みをしていたのだ。

 その業者から紹介されたのが、インターン一期生のユーキである。まずは社長とスカイプ面接を行い、僕はカメラの裏側で2人のやりとりを聞いていた。なかなか根性がありそうな感じ。意欲に溢れていた。まず、他にもインターン候補があるのに、“インドでラーメン屋”を選んでくるあたり『そういうこと』だろう。

 半年間のインターンを2017年5月から始めてもらうということでお互い合意し、即採用を決めた。インターン生が来るんだったら、秋平を潰すわけにはいかない。ということで、ここで社長が動いた。

「ジョー、2号店を出そう!」

 いや、ちょっと何言ってるかわからないです(富澤さん©︎)状態だった。秋平の財政状況を考えれば、2号店なんて出せるわけもなく、全くの夢物語かと思っていたが、彼は本当に2号店の案件を持ってきたのだ。場所はSanthome、通称“サントメ”という場所で、一号店があるVelacheryとは比べ物にならないくらい街中で、日本人客もかなり来やすくなるであろう立地だった。その地域に、Santhome Innというビジネスホテルのようなホテルがあり、そこに秋平を入れてもらうというのだ。

 ある日、不動産仲介のお仕事などで色々お世話になっているナワズさんという日本語ペラペラインド人に、社長が紹介されたのが、そのホテルのオーナー。まだまだ世襲が全てと言われるインドという国で、腕一本で成り上がったやり手ビジネスマンらしい。しかもしかもそのオーナー、大の日本好き。「うちのホテルに日本食が入るのは大歓迎!初期投資は全部してやる!」と、そんなことを言われ、我々に取ってはめちゃくちゃラッキー進出だった。

 そのホテルは、既にルームサービスをメインに扱っているインド料理店が入っていたのだが、そのレストランフロアのプライベートルーム的なスペースがごっそり空いていた。なんでも昔、某日本食レストランが超短期間営業していたことがあったようで、畳や座椅子などもそのまま残っていた。それももちろんリノベーションして秋平用に作り直してくれるというのだ。めちゃくちゃラッキー。

 しかし、そこでオーナーからある一つの条件が提示された。

「秋元、お前元エンジニアだってな?じゃあ平日はうちで働いてくれ。」

 月曜から木曜の夕方まで、その会社で副社長として日本企業とのパイプ役になってくれ。さもなくば、この2号店の話はナシ!という条件だった。それを社長から聞いた時僕は「人質やん」と思い、やめておいた方が良いと言おうとした。しかし、その考えも数秒と経たずに撤回せざるを得なくなる。

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