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ステラアビスクリア後雑感

注意:当然ですがゲームのネタバレを含みます。
これからプレイするつもりのある人はとりあえず体験版をどうぞ。
また、考えをまとめるためのメモなので雑多です。あしからず




総評

・「酔いにのめり込む・酔いから醒める」を初めから終わりまで貫き通してゲーム化した作品
・「酔い」「醒め」を間質にして、普通分離しがちな探索パートと会話パートが見事に接合されている
・人に勧めたいがどう勧めるかめちゃくちゃ悩む
・ティプシィお前……

レオナ

・「強さ」への酔い 
・ヨイの武器は自己顕示を纏い、考えを他人に押し付けるための「巨大な香水」 
・獅子座のステラは「一人で戦える」「まわりを炎上させる」「特殊地形で有利になる」(=強がりと周囲の遠ざけ)
・恐らくプレイヤーが最初に「常識人のヒロイン枠」だと思い、最初に「こいつ変だぞ」とギョッとする枠
・本名は『獅子堂玲央奈』。名前の由来は獅子座(Leo)から。

ジンガ

・「不変」への酔い
・ヨイの武器は本来なら怪我で変化したはずの「足そのもの」
・牡羊座のステラは「防御」「痺れ」「爆弾」「身代わり」。サッカーのチームプレイ、怪我への忌避感、足の故障がないまぜになっている。
・「否定すべき酔い」を一番わかりやすい形で提示してくれるキャラ。ジンガを呼び水にして他のキャラを察することをある程度想定しているのでないか。
・本名は『須巻迅義』。迅義はおそらく羊つながりでジンギスカンから、須巻はニュアンスを考えると布団でぐるぐる巻きにする方の「す巻き」から。

キャス

・「不思議キャラ」への酔い
・ヨイの武器は熱中した世界への象徴でもあり、不思議キャラを演じている象徴である「ポルポル」
・双子座のステラは「繰り返し」「多重」「助けを求める」「異常」。キャスの精神状態と堂々巡りの象徴。
・「もしかしたらそういうこともあるのかも」と相手の酔いに合わせていると話が進まない、ということを提示するキャラ。当人を苛めているものは当人から生えており、それを否定するために演技をしている、というゲームの全体的なヒントにもなっている。
・本名は『香取稲子』。香取は双子座の由来になったカストルから。稲子はそれに関連した現象である「セントエルモの火」(静電気による発光現象=稲光)、または配信に対する「いいね』、それか女優の故・有馬稲子さんから。

バラン

・「嘘」への酔い
・ヨイの武器は嘘の象徴である「巨大な筆」
・天秤座のステラは「ランダム」「受け身」「運命力/HP任せ」「他人の攻撃力を借りた攻撃」。嘘の正体と自分が裁かれることへの恐怖、「あわよくばうまくいかないかな」という願望が現れている。
・わかりやすく胡散臭いので、「会話の端々に抱えている心の穴が出ている」ということを示しているキャラ。
・本名は『桜庭蘭⇒飛斗蘭』。桜庭蘭=バランは天秤座(Balance)から、飛斗蘭はギリシア語で星を意味する『Astra』、またはそれに由来するアストランティアという花から。アストランティアの花言葉は「愛の渇き」「星に願いを」らしい。

カジ

・「ホンモノの愛」への酔い
・ヨイの武器は母親の象徴である「雷を落とす斧」
・射手座のステラは「拘束」「一方的な攻撃」。母親の折檻がそのまま現れている。
・「おっ恋愛系のキャラか」というテンプレ先入観を抱かせつつ、「相手を毅然と否定せねばならない」「酔いに囚われている者の苦痛」「人間は自分が受けたコミュニケーションを他人に返す」を強くプレイヤーに印象付けるためのキャラ。ある意味一番ティプシィに近い。
・本名は『左慈大午』。左慈は射手座(Sagittarius)から、また『大午』はケンタウロスの下半身が馬であることから、特に射手座のケイロンは特別大きいケンタウロスであるとされていることから。

マイア

・「悪役」への酔い
・ヨイの武器は悪役の武器の代表である「拳銃」
・牡牛座のステラは「逃走」「不意打ち」「破れかぶれ」。スリ常習の精神状態が反映されている。
・初手で一万円を掠め取り、「ここにいるのが善人とは限らない」「いずれ話を付けなければいけない」という会話パートの目標を提示するキャラ。「罪人であろうが、サマヨイ(=プレイヤー)にできることは対面して会話することだけだ」というのを改めて示すキャラでもある。
・本名は『丑光昴』。丑光は牡牛座、また不吉な時間とされる丑三つ時から。昴は同様に牡牛座を構成するプレアデス星団(昴星)から。

キルカ

・「咎人」への酔い
・ヨイの武器は切腹と斬首の象徴である「刀」
・蟹座のステラは「生存」「右往左往」「固定」「相手を正面から見ない」。罪を犯してしまった動揺と「裁かれたくない」という忌避感情を他人にぶつけている。
・最もわかりやすいドラマ性があるが、それも「酔い」の一つである、ということを提示するキャラ。キルカがステラアビスに辿り着いた時点で実のところ詳細はほぼわかるはずだったが、「贖罪のために戦う妹」という自分のドラマに酔って姉を正面から見なかったことでそれは遠ざかった。
・本名は『狭間輝流歌』。狭間は蟹座のハサミから? 輝流歌は蟹座の由来となったカルキノスから。

サオトメ

・「酩酊」への酔い
・ヨイの武器は詳細不明。強いて言うなら「血に濡れた拳」か。現実に起きてしまった事件の象徴
・乙女座のステラは「回復」「死」。サオトメに焼き付いた強烈な死の印象そのもの
・酔いのために酔うという、一番現実に近い囚われ方。恐らく中盤以降の「会話パート(現実の生々しさ)がしんどいのでさっさとヨイの醒界に行きたい」というプレイヤーの心理とシンクロさせるためのキャラ。能力的にかなり便利で、探索中に会えると安心できる性能なのもそれの一環だろう。
・本名は『早乙女舞紅』。早乙女はそのまま乙女座から。舞紅は具体的な由来があるのかわからないが、強いて結びつけるなら乙女座のモチーフの一つとされるペルセポネーのザクロからか?

マスター

・「完全」への酔い
・ヨイの武器は神の力の一部である「鎌」
・水瓶座のステラは「弱点の保護」「不都合を水に流す」。不完全な自分とその後ろめたさを覆い隠すための力
・弱さを隠し、足の怪我をごまかし、不思議キャラを演じ、嘘をつき、悪役ぶり、愛情を押し付け、罪悪感のために遠回りをし、現実の生々しさから目を背けるという、全員の心の穴をフルコースにしたやつ。「バーという場所(=酔いの聖地)はそれを全て隠すことができる」という事実を象徴するキャラでもある。
・本名は『狭間阿久愛』。阿久愛はそのまま水瓶座(Aquarius)から。「阿」は「曲がりくねった」「おもねる」を意味するため、阿久愛を字義通りに解釈するなら「曲がりくねった長い愛情」。

ティプシィ

・「孤独」への酔い
・「弱さ」に酔うために小動物の姿になり、「変化」に酔うために肉体を求め、「素の自分」に酔うために大雑把な口調で話し、「真実」に酔うために裏切られた自分のことを早々に話し、「ニセモノの愛」に酔うためにサマヨイと仲を深め、「善人」に酔うために相棒ぶり、「断罪」に酔うために人間をくだらないと吐き捨て、「素面」に酔うために現実世界を欲し、「不完全」に酔うために欠けた心を持つ者をステラアビスに集めた。
・「永遠に素面である」とも言えるし、「相棒の裏切りによって強制的に酔わされ続けている」とも言える。いずれにしても酒の世界においてはどちらも地獄の苦痛だろう。探索パートか会話パート、そのどちらかしかないようなものだから。
・名前の由来は英語のTipsy(ほろ酔い)。ティプシィが魚座モチーフであることを考えると、tip-seaで「傾いた/捨てられた/雑然の海」と取れなくもない。

余談

・対応キャラのいない蠍座、山羊座、魚座のうち、蠍座のステラはレオナ・ジンガ・キャスが、山羊座のステラはカジ・バラン・キルカが、魚座のステラはマイア・サオトメ・マスターがそれぞれ持つようになる。大地から海に近付いているとも取れる(蠍座は大地の神ガイアの使いとされているし、山羊座は半獣半魚だ)し、蠍座は(仮想の)敵を倒そうとするグループ、山羊座は自縄自縛で動けないグループ、魚座はひたすら逃げているグループと捉えることもできる。

・サントラ再販ありがとうございます


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