呟きもしなかった事たちへ_No.8(2020年3月号)

※コンセプトは創刊号をご確認ください。ぼーっとする文章が続きます。バックナンバーはこちら

ネットスーパーで誤配があった。日用品なので傷んだりはしないし、来なかったものも緊急性は高くないのであまり問題はない。だが、誤ってうちに来てしまった商品をどうしたらいいのかカスタマーセンターに聞いても回答がない。勝手に使うのもな…と脇に置いているが何となしに家の中で存在感を放つ。人の家の気配がそこにある。

今月も、呟きもしなかった事たちへ。

機械

スマートウォッチに付いているタイマー機能が良い。別に特別な機能が付いているわけではないのだが、音が鳴らず振動だけな上に、振動も10秒ほどで終わるのが良い。

タイマーは、指定の時間を経過を教えてくれればいいだけであり、目覚まし時計のように起きるまで鳴る必要は全然ない。が、大抵のキッチンタイマーはこちらが止めるまでいつまでも鳴り続ける。忙しく調理をしている身としては鳴った瞬間には別の作業をしていて、それを早々に終わらせてタイマーをかける事になった作業に行きたい。急がなければならない事を重々承知しているのに、ピーピーとタイマーがやかましく、それを止める手間すら惜しい。だが止めなければならない。

電子レンジもかけ終わった後扉を開けないと警告を出してくる。レンジならまだいいが、オーブンに至ってはジワリと余熱をかける事を目指していてもピーピーとやかましい。

気持ちは分かる。親切な機能なのだろう。分かったから、設定でオフにさせてくれ。そういう設定を付けてくれないか。

鳴り終わらないタイプのキッチンタイマーには設定機能が無いので、残念ながらスマートウォッチを付けた手でたたき割る。

機械2

クッションタイプのマッサージ器に、モミジュウロウという名をつけた。嫁が会社から記念でもらったからだ(会社がバレそうな話)。非常にモミジュウロウは僕によくしてくれる。ムームー言いながら背中をマッサージしてくれてありがたい。

そういえば家の機械に名前が付くのはこれが2体目だ。1体目は毎日我が家で陰ながら非常にいい仕事をし続けているコロナ製の除湿器で、コロチという名前がついている。嫁がこの頃あやち(松雪彩花)を可愛い可愛いと言っていたことに由来している。

名前を付けた家電たちは、何となくコミュニケーションを取ってしまう。

モミジュウロウは音がそれなりに大きく、Youtubeを見ながら首周りのマッサージを受けるのが難しいのだが、「モミジュウロウ、ムームー言うと鈴原るるの声が聞こえない!」と声をかけてしまう。だが、これは単に「うるさいな…」と思うよりも自身のストレス緩和としても良いように思う。

人間

読み返してみて、機械1と機械2、同じ人が書いてると思えないな…。

でも人間そんなものだ。

すあま

スーパーで中学生くらいの女子が

「あ、すあま可愛い」

と言っていた。こういう感覚は大事にしていきたい。

キーボードが会社や家で全部違うので、相変わらず体に慣れてない。手の位置がずれる。

ところで僕はメールを打った際に内容確認をしてから最後に名前を打って送信するのだけれど、実はnojiという文字列は右手だけで打てる。しかしここで手の位置がズレると

びふ

と文字が出てくる(全部左に1個ずれている)。

野地の影に「びふ」がいて、たまに顔を出す。

引退

仕事が忙しくなると、趣味に時間が割けない。インターネットやスマートフォンが無い時代ならよりそうだっただろう。そうして、好きなものには追い付けなくなる。好きだからこそ、「まだ読めていない」「まだ出来ていない」が重荷になる。

久々に時間が出来ても、多分僕はもう格ゲーをちゃんとやる事はないだろう。勘を失い、最新のルールに追い付けない事に(わざわざ余暇が出来た時に)打ちのめされたくはないのだ。

そうして、諸々を手放さざるを得なくなるなか、最後まで「残ってくれた」ものが仕事だった、という人は多いのではないだろうか。仕事が趣味、というよりは、仕事だけが、残念ながら現役で続けられたもの。

そうして、仕事を引退する時が来たら。

仕事で忙しくても、これだけは手放さないというものを作らないといけない。仕事以外にリソースを割いている自分を認識しなければいけない。そして常に、新しい自分を見いださなくてはならない。

noteの更新が出来ず、この記事すらかなり苦労しているのだが、これだけは、これだけは続けないといけない。

↑クリエイターと言われるのこっぱずかしいですが、サポートを頂けるのは一つの夢でもあります。