呟きもしなかった事たちへ_No.11(2020年6月号)

※コンセプトは創刊号をご確認ください。ぼーっとする文章が続きます。バックナンバーはこちら

インスタントコーヒーが減らなかった。仕事をするときにはコーヒーを飲んでいて、在宅になってから2か月近くが経過し、日に2杯飲むこともあるのに、20回分と言われた小瓶がようやくなくなった。作っているコーヒーが薄いんだろう。

今月も、呟きもしなかった事たちへ。

調味料の呪文

さしすせそ、の話ではない。そもそもあれは呪文ではないのではないか。あれは…なんだ?一応入れる順番を示していたはずだから、語呂合わせ…か?

いずれ、この話はそれらとは関係が無い。「スムースプルヒンジキャップ」の話だ。いきなり何だという感じがするが、私も同じ感想を抱いたから書いている。

ガラスやPETの分別のため、瓶の調味料の上のプラスチック部分を外さないといけないのだが、外し方が瓶によって違う。上蓋を横に引っ張って一周近くしてから上に引っ張る、上蓋をねじるように横に引っ張って一周してから上に引っ張る、上蓋を上に引っ張るとリング状に外れる部分があるのでそれを引っ張る、上蓋に関係なく横からちぎって持ち手を作って引っ張る…いちいち違う。ラベルを読んで確認するという手順を怠り適当に引っ張るとパーツがちぎれて大変な事になったりする。あれは一体どういうことなのか。口の形は違わないのに何故なんだ。新しいタイプ地獄に我々は住んでいるのか。今までそういう思いをしてきた方も多いと思う。

地獄ではないはずで、何かあるのだろうと思って調べてみたら、ガラス瓶向けスムースプルヒンジキャップの商品説明PDFにたどり着いた。ほうほう、まぁなんだか色々工夫しているようだ。外し方を変える理由はよく分からないが、まぁわざわざ「違いがありますよ!」という事をうたっているので、何か分からないが理由があるのだろう。

それにしても、「あれ」はスムースプルヒンジキャップ、と言うのか。しかも商品としての魅力は「スムースに引っ張って外せる」事で、そこにこだわりを持って色々なパターンを作っていたのか。全然認識していなかったものの名前が急に入ってくると世界が変わる。これからはみりんや酢を使うたびに上のプラスチック部分を「スムースプルヒンジキャップ」と思う事だろう。

うなぎ

かねてから人と贈り物をしあう事はあこがれていると散々書いてきたが、Stay Homeだしと試験的に友人とやってみる事にした。同時ではなく、今回は先攻野地、後攻友人で食べ物を送りあう事にした。

さてどうしたものかと色々悩んで、結局うなぎにした。恐らく「集客が落ちているのでネットで買って応援しよう!」キャンペーンがされにくいものだろうな、という読みもある。湯煎で温めてご飯に乗せるだけというのもよい(在宅だからと料理をし続けるのは時に面倒だ)。Webでうなぎを見ているうちに自分でも食べたくなり自分の分も買った。

果たしてうなぎは自分の家にもやってきた。3枚買ったので、嫁と1枚ずつビールのあてにして、最後1枚を半分ずつシェアしてミニ丼にした。

うまい。…うまい。これはうまいものだよ、とお互いに言い合って食べた。

アビタシオン

「地名アビタシオン」という名前のマンションが好きだ。

語呂も良いのだが、(あるいは語呂が良いのに、かもしれないが)少し考えるとダサい。フランス語だろうが、要はhabitation、「居住」だ。「集落」とかでも使った気がする。既に土地に名前があり、どころかマンションまで建つ場所で(つまり人はたくさん住んでいて)、改めて地名を冠して「ここがこの土地で人の住めるところです」という主張をしている。変な二度手間。しかもわざわざフランス語。

梅干し

トマト煮込みを作った土曜日、近所のパン屋(ブーランジェリーとか名乗るタイプのパン屋)で固いバゲットを買いたいなと思ったが、あいにく縮小営業で休みだった。しかしもう一件、古いタイプのパン屋があるしそういえばそちらには入ったことがないなと寄ってみると、果たしておばあさんが一人切り盛りしているパン屋だった。コロッケサンドがあったりしてほっこりする。

バゲットはないがまぁ合うだろうとチーズ入りパンを取って、はて他に何か買おうかというところで「和歌山産梅干」の文字が目に飛び込んできた。パン屋で梅干。おばあさんというところで辛うじて繋がるが、パン屋という垣根を易々と越えてきたな、とも思う。梅干しの下にはカップスターも置いてあった。ああ、こういうお店昔はよくあった。そういえばこういう越境は最近のお店では見ないなと思いつつ梅干しを購入。面白かった。

プロの技

純テクニカルな話ではなく、しかしプロはやるが一般人はあまりやらない事というものもあると思う。

例えば、コンロの上、しかし五徳でない部分に物を載せるという事をプロはやる(というか、プロ用のコンロは五徳以外の部分にものが置けるようにしっかり設計されている)が、あまり一般家庭ではやらなかったのではないか。IHになってフラットなコンロになってからはやる人も増えたと聞くが、五徳をよけたスペースがあまり広くないガスコンロを使う母は未だにこうした事はしないし、その母を見て育った私も当然やってこなかった。

しかしまぁ、やれるようになると便利なんだなこれが!キッチンが広くなったようだ!これがプロの技よ!


うなぎの回で触れていますが、僕は人と贈り物をしあう事に憧れがございますし皆様にもおすすめという話です(宣伝)。記事はお歳暮の話ですが、お中元でも出来る話なのでぜひ夏に向けてお読みください。


↑クリエイターと言われるのこっぱずかしいですが、サポートを頂けるのは一つの夢でもあります。