呟きもしなかった事たちへ_No.41(2022年11月号)

※コンセプトは創刊号をご確認ください。ぼーっとする文章が続きます。バックナンバーはこちら索引もあります。

駅の改札で、前の人のsuica/pasmoの残高が少ないのが目に入ると、なんか面白くなってしまう。別に全財産な訳ではないのは百も承知なんだけど、「7円」とか見るとちょっと笑いそうになる。7円て。

今月も、呟きもしなかった事たちへ。

飾り文字

業務メールで

一先ず明日朝一(ひとまずあすあさいち)

とあったのを「-先ず明日朝-」(ハイフン:まずあすあさ:ハイフン)と読んでしまって、随分ポエムな構成のメールだな…と思った。ポエムなのは私の頭だ。

ヘッドセット

会社で使うヘッドセットをヘッドホン型からイヤホン型に変えた結果、これまでは聞こえてなかった「在宅ワークの人の後ろの生活音」がよく聞こえるようになった。あぁなるほど、これか。

Vtuberの配信をスピーカーで聞いていると、特に自分には物音が聞こえなくてもコメント欄で何らかの音に言及している人がいたりする。これか。この差か。あるとは聞いていたけれど、イヤホンでは聞こえて、スピーカーでは聞けない音、これか。FPSとかもヘッドセットを良いものに変えてからやるべし、と言うけれど、こういうことなのだな。

でも会社用は安いヘッドホンの方がいいな。

情シス

外でランチを食べていたところ、どうも他社の情報システム部と思われる人が隣の席にいて、

「あの部はマジ日本語でおkって思ったよね」

という声がして思わずそちらを向いてしまった。本当に言うんだ…情シスって仕事中でもネットスラングを本当に言うんだ!とラピュタを見つけたパズーみたいになってしまった。

食べたいもの

外で用事があって、ではついでに食事でも、という時に「食べたいもの、ある?」と聞かれることがあるし、聞くこともある。

嫁はこれを聞かれても思いつく事は滅多にないらしい。別に美味しいものに興味がない訳ではないけれど、今これだというものは出てこないという。自分自身は割とこれを答えられるし、店の知識もあってどこに行くか割と頼られるのだけれど、よくよく考えてみると「今食べたいもの」を全く答えていないことに気づいた。単に「食べたいもの」にストックがあって、それを出してきているイメージだ。

例えば野球明けに疲れていて、こりゃ焼肉ビールでもしたいもんだなんて思ったとする。その日は結局焼肉に行けず、明けてよく休んだ次の日の昼食を考える時、もうこの時には別に焼き肉のベストタイミングでは当然ないのだけれど、昨日焼き肉がいいなと思った記憶が残っていて、それを選択肢として「焼肉にしない?」なんて言い出す時がある。翌々考えると場にそぐわなくてもやってる可能性がある訳だ。

でも、こうでもしないと好物しか言わなくなる。僕は何か食べたいかと聞かれて寿司としか答えない人を3人知っている。こうしてみると僕やこういう人より嫁の方が誠実な気がする。

思いつかない、好物しか言わない、何らかのストックを使っている…実は「何食べたい?」は機能不全を起こしていて、本来的に食事は事前に計画を立てるべきなのかもしれない。

Google

「ベーグル」と同じ発音だと思っているのだけれど、(通貨の)「ルーブル」と同じように発音する人がたまにいるな、と思う。大体IT系の人だ。

B'zみたいなものだろうか。ファンだけが違うイントネーションを使うシリーズ。

ところで「ルーブル」も、通貨のルーブルと、美術館の時のルーブルでイントネーションが変わる気がする。そもそもGoogleの発音の話もルーブルで説明出来たな。このセクション何も推敲していない。脳死。

おにぎり

残業中はコンビニのおにぎりのお世話になる。美味い。いや、美味くないんだが、美味いと錯覚させてくる。

高級なラインナップ(200円越え)ではないおにぎりの具、それだけを自宅で白米に乗せて食べても美味しいとは絶対に思わなそうなレベルなのだが、不思議とコンビニおにぎりなら食べられる。多分米が家のより安いからだろう。「ヤマザキダブルソフトには高いハムは合わず、マーガリンでピンク色の安いハムを挟むのが正解」という話を誰かから聞いたことがあるが、そういう話に近そうだ。要はバランスの問題。いわゆる「安くてうまい」はこうしたバランスの果てにあるのかもしれない。だが私は良い米が食べたいし、なので本来はバランスを取って高くて美味しいものが食べたい。残業なんかしないで家で炊きたての米に割といい梅干を乗せたい。

高校生になれ

観光地の名店などを探していると、いわゆる観光地然としていない店を紹介したうえで

こういう観光地にも地元に住んでいる人がいるということを思い出させてくれる

とか言うしゃらくさい記事があったりする。まぁこれについては、しゃらくさいで終わりでいい。

大事な点は、逆に言えば、どんな住宅地だって楽しめれば観光地足りえるし、いわゆる路上観察の類や「散歩の達人」とはそういう話だし、そうなるとどんな住宅地だって観光地然として楽しめるのかもしれないということだ。…詭弁では?いや気にせず続ける。どんな街でも、買い食いをしたり、記念写真を撮ったりすれば、そうすれば観光地になり、そうすれば旅になるのではないか。

と思ったのだけれど、これ、単に地元の高校生らしく振舞うという話な気もする。つまるところ旅・遠出をしなくても楽しむことが出来る能力を彼・彼女らは持っているし、そういうことでいいのかもしれない。旅に出れなくても、高校生になればいい。高校生になれ。

いや…今更なら…旅か…?と思うだろうし、事実そういう感覚が人を旅先へ、観光地へ動かしているのだけど、別に地元で買い食いしてもいいし、どうしようもない場所で写真を撮ってもいい。そういう強気を得るために敢えて言おう。高校生になれ。

営業中

ビルの外装工事で仮囲いがされていると中の店舗がやっているように見えないので、「営業中」という横断幕を仮囲いにつけていることがある。よいものだ。

まず、量産型で「営業中」としか書いてないもの。よい。何が営業中かはまるで分からないのが素敵だ。

ワンオフで中の店舗のロゴを印刷しているのも、これはこれでよい。個人でやってる飲食店とかがきれいなロゴ画像を持ってなくて、ガビガビだったり、「看板写真撮って加工したんだろうなー」という欠けがあったりするのが味わい深い。いずれ消えるものを作る事に対する担当の苦悩が見える。逆に綺麗なロゴだったりすると、仕事っぷりに感心する。

「営業中」だけの幕に店舗のロゴを別に用意して貼り付けているやつは、ワンオフのに比べて低予算でより荒っぽく、これも風情がある。

スカイツリー

スカイツリーが家のそばから遠くに見える。冬が近づくと空気が澄んでよりはっきり見える。

ところで、スカイツリーって結構イベントコラボでライトの色を変えてくるのだけれど、当然遠くの我が家にはそのイベントの様子は分からないので、「何だか分からないが変な色になっている」スカイツリーでしかない。異世界モノみたいになっていて少し不気味だ、という印象の事が多い。

東東京の方に住んでいて、もう少し近くで毎日見れれば慣れるのだろうけど、自分の場合は距離も遠い上に駅から家までの道を少し遠回りした時だけしか見れないので慣れるという事がない。悪いのは完全にこちらだ。そうして、今日もスカイツリーは健気に、そして縁遠い者に気色悪く思われながら、違う色に光る。



↑クリエイターと言われるのこっぱずかしいですが、サポートを頂けるのは一つの夢でもあります。