呟きもしなかった事たちへ_No.28(2021年10月号)

※コンセプトは創刊号をご確認ください。ぼーっとする文章が続きます。バックナンバーはこちら索引もあります。

カラオケにしばらく…まぁ2年近くは行っていない。普段聞きはしないけどたまに歌う事で記憶にとどめていた曲がありそうだなと、心当たりがあるものをYoutubeで聞いてみると案外よかったりした。

今月も、呟きもしなかった事たちへ。

久々に長傘を買った。

普段は折りたたみ傘をカバンに放り込んで対応しているし、その方が実際便利だったので、特に長傘が無くても問題なかった。うちの傘立てには何も立っていない時期が数年あった。

が、出かける前から明らかに大雨であるケースや、家に遊びに来た人が傘を持っていないまま帰りがけ雨が降るケースもあろう。傘立てを処分したところでスペースが広くなるわけでもないので、傘を買う事にした。ビニール傘では味気が無いが、人に貸すときに恐縮されないくらいが良い。結局、小物屋で売っているシンプルなものを2本買った。それでも上記の通り、数年ぶりであり(安かったが)買い物をしたな、という感触があった。

しかし世の中には家にこれだけビニ傘を常備している人もいるのだよな。

生活って多様だと思う。

団地

僕が団地や集合住宅を遠くから見るのが好きなのは、前述の傘のように人の生活は様々な点で異なっているのに、そうした差異を持つ家庭が同じフォーマットに入っている事を、面白いと感じているからだと思う。

誰だったか写真家が「団地やマンションは縦に延びている住宅地であり、廊下はマンション所有者の閉鎖空間ではなく街路だ」という様な事を言っていた。確かに無機質な廊下に見えても、不意に子供の靴が干してあったり、街路としての生活感がある。ベランダや共用の庭の使い方などにも人の息遣いがある。それでも、あのコンクリートは、無機質に四角い。

サンドイッチ

近くのセブンイレブンがクーポンを配っていた。サンドイッチ50円引きのクーポンに「※ロールパン・ハンバーガー・ブリトー・常温のパンは対象外です」と書いてある。

…ホットドックは?

ホットドックをサンドイッチだと言うのは何か違う気がする。しかしサブウェイやドトールのミラノサンドという存在は限りなくホットドックとサンドイッチの境界を曖昧にしているし、セブンにもサブウェイに似たサンドイッチが売られている。どっちだ…?こちとらいい大人だ、実際に店舗でクーポンを出して試すのも気が引ける。違ってた時に阿呆だと思われそうだし。

セブンイレブンのHPで商品を見ると、「サンドイッチ・ロールパン」の欄にハンバーガー・ブリトー・ラップ・マフィンそしてホットドックも並んでいる。そのうえで「ロールパン・ハンバーガー・ブリトーは対象外」という事は、ラップ・ホットドック・マフィンは対象外ではないと考えられる。…ふぅん、使えるようだ。セブンのホットドックはパリパリしてうまい。あれに使えるのだな。

こうしてネタにする事で値引き分ぐらいは遊んだので、クーポンは使わなかった。

キリ番

そんな文化あったっけね、キリ番。

そう思っていたのだが、先日Noteでスキ(どうも嫌なのだが、「いいね」ではダメか。)をする際、

「あなたが50番目のスキです!」

と表記が出た。確かに49いいねされてる記事だなぁと思いながら押したが。

Note、お前、そういう事言うのか。

健啖家

量を食べたいなと思う。量というよりは、美味しいものをたくさん種類食べたいが、そうすると必然、量が食べられる必要が出てこよう。

モスバーガーに行った際、気になるバーガーが2つあって、しかしそもそもモスがいいなと思った理由には熱々のポテトやフライドチキンに惹かれたのだった…そんなときに全部頼める、そういう健啖家になりたいという話だ。しかし実際はそうも食べられないし、ならばと2回に分けてモスに行く訳でもない。結局何かを逃している。

旅行でも滞在中に名物をどれも堪能したいが、案外そんなに食べられない。悔しい。

思い返せば世の中に飲み会があった頃、一次会で夕飯を食べた後二次会で焼きそばをつまむような事を(自分だけでなく結構な人が)出来ていたのはなんだったのだろう。普段なら絶対にやらないだろう事だが、あれが酔いか。見方を変えれば酔えばまたそういう事も出来るのか…そんな気もする。バーガー2個とポテトとチキン…ビールが2缶くらいあればあれば確かに大丈夫だろう。

健啖家だった。悪い感じの。

台所

ずいぶん昔、S先輩の家で夕飯を頂いて、その後片付けを手伝った時の話。

「包丁洗った後、食器かごに入れっぱなしで大丈夫ですか?」
「うん。…うん?それ以外ある?」
「うちの母は拭いてすぐしまってたんで。そういう家もあるかな、と。」
「ああ。その方が良いの?」
「いや、知らないです。すみません。なんか、そういう文化圏だったんじゃないですかね。僕はずぼらなんでやらないんですが。」
「まあそういうのもあろうな。」

S先輩は僕の事をノリだけの阿呆だなくらいに思ってたんじゃないかとは今でも思うんだけど、この時は何故か、妙に落ち着いた距離感だった。台所に横並びに立つというのは、そういう事なのかもしれない。

うまかっちゃん

うまかっちゃんを久々に食べた。うまい。うまかっちゃんだから。

しかし、バリカタやハリガネ、果ては「粉落とし」まである博多ラーメンの世界で、こんなにもフワフワなフライ麺が九州でベストセラーであるというのは不思議な事で、これはかつて博多出身者に聞いてみたことがある。曰く、「うまかっちゃんは博多ラーメンではなくうまかっちゃんなので」「固い麺のインスタントはマルタイがやっているから、うまかっちゃんはあれでいい」。なるほどそういうものか。博多はうどんも柔らかいし、麺に対して幅があるのだろう。うまかっちゃんはうまかっちゃん、みんな違ってそれでいい。私と小鳥と鈴とうまかっちゃん。

と、思っていたらうまかっちゃんが本気の新商品と称して細カタ麺を出していた

おいぃ?

吸血鬼のいる朝

金曜や土曜、週の疲れもあるしと深夜の配信なども見ずに寝ると、まぁ8時までには目が覚める。早いと6時台だ。二度寝も不可能ではないが、最近はどうせ筋トレもするしと起きる。(その代わり昼寝することがあるが、これは本筋とは関係がない)

筋トレを終えてシャワーを浴びると、ははぁ…まだ朝は早い。スーパーに買い出しに行く日なら開店と同時に行くということも可能だが、そうでない日もある。

昼から予定を入れていたりすると、この時間からガッツリゲームをやる感じでもない。シャワーも浴びて準備もできてしまっているし、こうなるともうそのまま家を出て、少し手前の駅で降りて1時間ほど歩いたりして時間を潰してみる事になる。先日銀座で昼から用があった際は淡路町から皇居沿いに歩いて時間を潰した。大変爽やかで良かったが、まぁ見事に僕と同じように中年以上の人達が休みの日の朝から走ったり歩いたりしていた。

ああ…なんと健康的で、なんと暇なんだろう!

脳ではなく体で、僕は彼らが何をしたいか分かる。近頃は、コンテンツの消費も体力を使うようになった。だから僕も家で読書や録り貯めた作品の観賞をせず、外に出て散歩でもと思ったのだ。つまりもう、出来る事はこれだけなのだ。そうして僕らは街を、まだろくに店も空いていない時間から、何も消費せずに徘徊している。朝目が覚めてしまうというそれだけの理由で!

ああ、年を取りたくないものだった。夜更かしをして昼に起きるのはきっと若者の特権なのだ。活動的な消費が行える若者達は眠るであろう時間を、年寄りは何のコミュニケーションも取らずに、ろくに消費活動もせずにただ徘徊している。日が高く明るくてもこれはゾンビの行為であり、あるいは恐れるものの多い吸血鬼の徘徊だろう。

あるいは僕は、この1年半そうした事を忘れているだけで、また夜を楽しみ、朝を眠る事が出来るのだろうか。そう、ちょうど10月1日に緊急事態宣言が明け、夜を楽しめるようになれば、吸血鬼の朝もなくなるのだろうか。

10月2日から秘密基地も再開します。皆様、なにとぞよろしくお願いいたします。

↑クリエイターと言われるのこっぱずかしいですが、サポートを頂けるのは一つの夢でもあります。