呟きもしなかった事たちへ_No.55(2023年12月号)

※コンセプトは創刊号をご確認ください。ぼーっとする文章が続きます。バックナンバーはこちら索引もあります。

日清の冷凍なべ焼き海老天うどん、作り方の欄で「スープ」と「具付き麺」なるパーツに分かれてるのだけど、「具付き麺」はすごい響きだ。冷凍だから起きてる事象で、具は麺に普段付かない。それを平熱で説明する。

今月も、呟きもしなかった事たちへ。


ゆで卵で飲む

ゆで卵、酒のつまみとして優秀な気はするのだが、あまり人気が無いように思う。

まず優秀な点としては、濃厚な黄身をちゃんと味わえること、量の調整が聞くこと(一気にたくさん作っても、余ったら朝食と弁当に使える)、塩気の調整が利くこと、飾らないツマミであること(例えば卵料理ならだし巻き卵とかだったら家でも簡単に作れるのだが、映画見る時に箸でつまむのがあまり好きではない)。

しかし一方で、パンチは弱く、店飲みで出てくることは少ないように思う。コンビニで売ってもいるが殻をむくことを考えると面倒なものでもあるように思う(そして殻が向かれて売られているのは「味玉」である)。人気が出ないのも納得はする。その辺りを、うずらの卵の燻製とかそういった既製品のつまみがうまくカバーしてシェアを取っているのだろう。

うまく広がって、手軽にゆで卵で飲めるようになるとよいのだが。

プロジェクトが大変なことになり、上司とも折り合いがつかなくなった頃、午後休暇を取って電車で40分ほどかけて松戸に行った。長く担当してくれている美容師さんに髪を切ってもらうためだが、時間が取れたので蕎麦の「関やど」で一杯いただく。小さいながらも庭があって落ち着いた雰囲気でゆっくりしていると、大分心に余裕ができた。

もちろん、言うまでもなく関やどさんは名店である。しかしそれだけが理由なわけではなく、やはり離れたのがよいのだろうなと思う。家の近所にいい飲み屋があって、忙しくても(むしろ忙しいからこそ夕飯が作れず)飲んでいたりしたのだが、そういう時は結局リラックスしてても「日常」であり、それは「戦場」なのだ。サッカーで試合中にちょっと呼吸が落ち着いたり水分を取る時間があったりしても、それは試合中である通りで、ハーフタイムや試合後とは訳が違う。

加えて髪を切るというのが良かった。日常をリメイクする非日常イベントというのは、こういう時に良い。そうしたもの遠出の先にあるという手間・外連味が日常からの離脱を促してくれている。

旅の目的は目的地にあると思われがちだけど、付随する日常からの離脱も重要だよなと思う。ワーケーションなんて駄目だ、捨てるべきものを捨てていこう。

黒ひげ危機一発

の新作が、「5体飛び出る」ということをどうして予想できただろうか。世の商品開発部は常に悩み考え続けており、我々の想像を容易に超えてきて、「こういう欲求はどうだろうか」と聞いてくる。

そういえば先日、ラムネをはめ込む用のグミというものをコンビニで見かけたときは首も傾げた。どういう欲求なのか?あるいは味に発見があるのか?食べてみても別に特にシナジーは無い。一体何にアピールしたかったのか。

世の中はよく分からないものであふれている。それらに熱意が込められている。そうして世界が広がっていく。

オヤジ達の憧れ

世にあふれるいわゆるオヤジ構文というものを読み上げてみる。…これ、野沢那智の声で読み上げるのが正解なんじゃないか?

やってみると要はコブラ(キャラクター)になってしまうというだけなのだけれど、コブラのような飄として自由な男はオヤジ達の憧れでもある。それを落とし込んだ結果が絵文字というのもおかしな話だが、そういう意図だと言われたら納得できるところもある。

ただ逆に、コブラのメールはシンプルっぽいんだよな。

タントン

iDで決済している人の画面操作を見ていたら

「タントン」と音がなるまでタッチしてください

と出てきた。いや…iDの決済音はもっと派手ではないか?「ディランディラン」ぐらいは鳴っている気がする。音数がちゃんとしていて、こんなシンプルではないはずだ。サウンドを作った人もこれには不満なのではないか。新しいサービスなのだから新しい擬音を生み出してほしい。黒ひげ危機一発は5発飛び出るんだぞ。

ポールプリンセス

劇場版を見に行った。凄いアニメだった。片鱗というか、ダンスシーンはしっかりYoutube版も面白いので紹介する。

モーションキャプチャーの最先端でポールダンスを再現するだけでなく、ポールダンスを現実に見る時にはできないカメラアングルをしてくれる。劇場版では、ポールの真下から「ポールを滑り降りてくるダンサーを見上げる」というシーンがある。アニメでしか出来ないことをして、ちゃんと新しいものが生まれている。

それはそれとして演出としてぶっ飛んでいるのは相変わらずで、頭を空っぽにさせてくれる。素晴らしい。みんなも見たほうがいい。

マシントレーニング

筋トレなるものはトレーニングに加えて筋肉痛まで我慢してようやっと微量の効果が得られるというもので、報酬系としてはしみったれているとは以前も書いているのだけれど、それでも街には、SNSには、会社には筋トレが趣味の人がいる。メギド72のデイリーでトレーニング時間を踏み倒したり、酒を飲む量を我慢しないことにしたり、野球を趣味にしていることでなんとかバランスを取っている僕からすると、お金を払ってジムトレーニングすることは理解できないが、これはつまりは僕が見落としている楽しさがあるのだろう。

先の通りステータスアップとしてはしみったれていることぐらいみんな分かるだろうから、それでも流行るとすれば「マシンが純粋に面白い」のではないだろうか。目的を特化しているにはあまりにゴチャゴチャして、そして重厚な機器が動くというのはたしかに面白そうだし、その成果物として動く重量が増していくのもなるほど面白いかもしれない。

…いやしかし流石にこういうのでワクワクするの工場好きとかだけな気もする。本当にみんな筋肉質な体になるという目的だけであんなに苦労してるのか?そこに付属的な報酬もあるとはいえ、そんなにリターン率が悪いことが流行るか?あるいは筋肉質な体になるということの良さを僕が見誤っている(本当はもっとリターンがいい)のか…?

しっかり継続すれば良さが分かるかもしれないが、会費も時間も生活スタイルもかなり割く必要が出る。…うん、これは自分には縁が無いと割り切ろう。

↑クリエイターと言われるのこっぱずかしいですが、サポートを頂けるのは一つの夢でもあります。