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2次元コンテンツと"実在性"〜ワールドエンドヒーローズ完結に寄せて❶〜

今、"実在"する2次元キャラクターがキてる!

 何を言ってるんだ?という声が聞こえる。それはごもっともで、当たり前だが2次元のキャラクターは作品の中にしか存在しない。昨今は2.5次元舞台やアイドルゲームのライブなどなど生身の体に2次元キャラクターを投影することも増えたけど、それでもやっぱりキャラクターはキャラクターだ。

 私は2次元コンテンツの研究をしているわけでもない20代のただのオタクだが、ここ最近のコンテンツはキャラクターの"実在性"に力を入れているものが多いように思う。ここでいう"実在性"とは、キャラクターが実際に生きているような……「いる〜!」となる感覚のことを指す。いくつかそんな"実在性"を感じられる例を出して、説明していきたい。(……と書くとなんだかそれっぽいが、結局のところ「私はこういう演出されるとくう〜〜!!となっちゃうな」リストである)

1.直筆の言葉たち

 これはかなり分かりやすいだろう。アイドルのサイン、署名、手紙……。かなり古くからある"実在性"の手法で、代表的なものだと2004年には『テニスの王子様』のPS2ゲームソフトの予約特典でキャラクターからのホワイトデーメッセージが手に入ったらしい。クオリティがすごすぎる さすがテニプリ↓

 私がこの手法ではじめて衝撃を受けたのは『アイドルマスターsideM』の2016年・ホワイトデーのキャンペーン。ブロマイドのサインに添えられたプロデューサーへの一言メッセージ。初めて見る、でもそのキャラクターが書いたことが確かに分かる筆跡に、「アイドル、いるじゃん」となった。まとめてくださっている方がいたので載せておく。是非見てほしい ここに居るから↓


2.●●はこんなこと言わない、書かない

 これは現代のコンテンツならではの観点だが、「キャラクターはSNSやメールでどんな文章を綴るのか?」というところも"実在性"を高める大事なポイントだろう。喋り言葉と書き言葉がピタリと一致する人間など恐らくいない。
 この点で最近感動したのが『アイドルマスター シャイニーカラーズ』の芹沢あさひというアイドルの、ツイスタ(ゲーム中SNS)での振る舞い。彼女は普段目上・年上の人に対する語尾に「〜っす」をつけるキャラなのだが……

(s-SSR 【@ストーリィズ】黛冬優子 コミュより)
 ツイスタでは普通に丁寧語なのである。しかも、これに添えられたボイスは「ストレイライトの芹沢あさひっす。ツイスタのアカウントを作ったっす。」と普段の喋り方で収録されているのが凄い。文字の上でまで〜っす!と言っていたら、キャラ作り頑張ってんだな〜って感じ、率直に言えば萎えてしまうのだ。書かれた文字と言っていることが違っていても、キャラの在り方は全くブレていない、むしろ補強されている……こんな時、私は"実在"をメチャクチャ感じることができた。


3.次元の壁を越えて、確かにそこにある

 こちらは1のテニプリの手紙と被ってしまうが、私たちの普段通りの日常の中に、しれっと、ボク2次元じゃないよ♪とでも言うように"実在"しているパターンもある。この手法でスゲー!と思ったものの一つとして、『あんさんぶるスターズ!!』に登場するユニット・流星隊と、めぐりズムのコラボキャンペーンを挙げる。

 一見ただのコラボサイトに見えるが、よく見てみるとこのサイトの中には『あんさんぶるスターズ!!』というゲーム名が最後のゲーム内キャンペーン告知を除き一切出てこない。あくまでも流星隊というアイドルユニットとのコラボであることをしっかり描き、その"実在性"を高めている。最後のクレジットも運営のハッピーエレメンツではなく、『STARMAKER PRODUCTION』……流星隊が所属する事務所(もちろん3次元には存在しない)で締められており、徹底している。このことはバズっているツイートで知ったのだが、粋すぎて息が止まった。
 このサイト以外にも、物的に次元の壁を変えようとしてくるパターンも多い。『ラブプラス』もカノジョからラブレターを貰えるキャンペーンを行ったり

『MakeS -おはよう、私のセイ-』では、アプリの中の存在であるセイからプレイヤーへ送られる結婚指輪(結婚指環)を購入することも出来た。

 このように、あの手この手でキャラクターたちを"実在"させようとする制作・運営側の試みは多岐に渡り、それを目の当たりにするたび私はそこに確かにキャラクターを「見た」のである。


そして、ワールドエンドヒーローズへ

 私の大好きなソーシャルゲーム『ワールドエンドヒーローズ(ワヒロ)』は、上記のような点にとにかく気を配りキャラクターの"実在性"を極限まで高めたゲームといえる……と、私は勝手に思っている。

 もちろん私たちの世界にはイーター(地球を襲う生命体)をヒーローたちもいない。それでも、確かにヒーローたちは「この時を生きている」と思わされるのだ。今までに挙げた例をなぞって、そう思わされるだけの工夫を見ていこう。

2-1.直筆の言葉たち

 ワヒロも、直筆メッセージを用いたキャンペーンを何度か行っていた。こちらはホワイトデー。名前をフルネームで書くのか?字間はどれくらい空ける?など、細かいところまで気を配られているのがよくわかる。ちなみに、右下の北村倫理(ワヒロ随一のヤベエ奴とここでは敢えて書かせてほしい)のメッセージ、一度読んでから縦読みして欲しい。

 こちらは七夕の短冊。これは矢後勇成(寝てばっかりのヤンキー総長)の作り込みがすごい。とくにない、と書いて寝かけたところを頼城(矢後とは犬猿の仲)に怒られたのかな……と背景が勝手に浮かぶ。


2-2.このキャラはこういうことを言う、書く!

 ワヒロの機能の一つに「アライブチャット」というものがある。言ってしまえばキャラクターとのLINE。こういう機能、他のソシャゲでも良く使われていて(アイドリッシュセブン、A3!、アイドルマスターsideMの一部イベントなど)最近は珍しくなくなった。そんな特に新しくない機能の中でも、ワヒロはやってくれる。

(アライブチャット「未確認飛行物体(崖縁)」より引用)
 こちらの「浅桐」というキャラ(浅桐真大)の発言にご注目いただきたい。そう、彼は文字を打つとき句読点にカンマとピリオドを使う。「ブレッブレだよ、ブレッブレ。」ではないのだ。ここから、彼が理系の人間であることが読み取れる(私は文系なので全く分からなかった)。浅桐を全く知らない人がいても、もし理系だったり知人に理系がいれば「あっこのキャラは理系なんだな」と分かるだろう。この時ぐんと"実在性"が高まっていると言えるのではないだろうか。細部にまでキャラの息が、そして生き方が宿っているのがワヒロの良いところだ。
 また、このアライブチャットでキャラが使用しているアイコンも非常に凝っており、彼らが自分の意思で設定したんだな、と分かるようになっている。こちらについて語り始めると長くなるので、以下のブログを引用させて頂く。

 またこれは例を挙げることができない余談だが、ストーリー中の発言にブレがないのも実在性の補強として挙げることができるだろう。少なくとも「●●はこんなこと言わない」とワヒロでなってしまった経験は記憶にない(複数人のライターさんがストーリー執筆に関わっているが、しっかり監修されているのを読んでいて感じることができる)


2-3.次元の壁を越えて、確かにそこにある

 そしてこちら。もうこれに関してはこのツイートを見て頂きたい。これが好きすぎるから……。

(引用許可頂いております)
 見て分かる通り、ヒーローたちからの寄せ書きだ。もうこれは、「「「ある」」」。指揮官(プレイヤー)は、ヒーローから色紙を「もらっている」。
 こちらはリリース半年記念キャンペーンの抽選景品で、指揮官への感謝を書き連ねたものとなっている。具体的に半年とか、メタなことをギリギリ書いてないのが良い(彼らの世界で過ぎた時間が半年とは限らないので)。伊勢崎敬、字でっけ〜。他のメンバーのスペース考えて隅にしつつもデカく書いているの、まさに伊勢崎敬という感じ。
 彼らには学校ごとのイメージカラーが一応存在するが、書き文字の色がそれに即してないのも実在性ポイント。カラーペンセットが合宿所に置いてあって、みんなそれを使って書いたんだろうな……という情景すら浮かんでくる。ヒーローの愛が(そしてこんなことをしてくれた運営の愛も)全部詰まって、モノとして確かにそこにあるのである。


 と、他にもキリがないのだが、とにかくワールドエンドヒーローズはフィクションらしいヒーローものという設定でありながら、登場するキャラクターを生き生きと実在するかのように描くことに長けている。だからこそ私(と指揮官の皆さん)はヒーローが好きになるし、のめり込むし、これからも共に在りたいと願うのだろう。
 共に在りたい、という願いは完結によって(ワヒロは8/20をもってサービス終了する)難しくなってしまうかもしれない。でも、やっぱりヒーロー達の日々は、人生は続いていくと、私はそう信じていたい。

 もしここまで読んでくださったのにワヒロをプレイしていない奇特な方(読んでくださるのは9割すでに指揮官さんだと思うので)(ありがとうございます)がいらっしゃったら、ぜひヒーローたちの実在性をその肌で感じて欲しい。
 6/3現在、過去のイベント報酬が一部手に入る新規シナリオイベントを開催しているほか、6月中にはメインストーリーやサイドストーリー、過去のイベントストーリーが全開放される予定だ。ワールドエンドヒーローズ 、やろう。やってくれたら私が嬉しい。


プレイしてみてこれってどういうことなの?とか、どういう仕様なの?とか、何かありましたらごさいのtwitter(プロフィールから飛べます)までリプなりDMなり頂ければ返信いたします。マシュマロも設置しておくのでご利用ください。




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