日日是好日

久しぶりにprime Videoで映画鑑賞。以前から観たかったこの映画。

全編に渡って流れる邦画の持つ柔らかな雰囲気と日常。私はこう言う世界観がなんとも大好きである。

風の音、水の音、湯の音…。日本の四季と暦。 なんて言うことのない平凡な女の子が、ひょんな事から、茶道に出会う。私は茶道が大好きではあるが、実際は習ったことがない。だが、ここに描かれた茶道のシーンにまたそそられる。ふくさの使い方、茶筅の下ろし方、釜の湯の注ぎ方。 全てに意味があるがそれはある観念に基づくもので言葉で語るものではない。その作法と同時にその世界には、時と情景が存在する。それを主人公を通じて感じる趣き。そしてそこにまた日常が重なる。

人生の機微をそこここに感じながら、私が素敵だと感じたのは、そのお茶室に樹木希林さん演じる茶道の先生が飾る掛軸である。

掛軸とは、いつも変わらず同じ物が掛かっていて当たり前だと言う観念を持っていた私にとって、この映画の掛軸は、日々折々に掛け替えられるのである…

ある篠突く雨の日は、滝の絵の掛軸。主人公の就職試験の前日には、必勝祈願に目を入れる達磨の掛軸…と言う具合に。絵であったり文字であったりと。

人は毎日をただ何となく、ただ浪費する様に生きてるのが当たり前と過ごす。無くなって気づく失って悲しむ、嬉しくて笑う、それに呼応する様に自然が動くかのように感じる。

そんな当たり前が有難いことで、その全てに耳をすませば目を向ければ、こうやって生かされてる私たちの日々は、自ずと良き日なのだと。

日日是好日 2018年公開           監督 脚本 大森立嗣 原作 森下典子                       主演 黒木華 樹木希林 多部未華子


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