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ヒトラーの忘れもの

歴史を見ていると、大きな流れがあるように感じてしまう。普段は安穏に流れている。しかし、見えざる物によって大きく流れが変わり濁流に巻き込まれてしまう時がある。
その時に個人という支流が巻き込まれてしまい人生が変化してしまうのである。
例えば、第二次世界大戦などがそうだろう。
今回紹介する作品「ヒトラーの忘れもの」はそんな大きな流れに巻き込まれてしまった人々を描いた作品だ。

ストーリーはこんな内容だ。
時は第二次世界大戦。1940年の4月に開始されたドイツ軍の攻撃によりデンマーク政府はドイツに対して降伏した。
1945年5月、デンマーク駐留のドイツ軍が降伏したことにより占領は終結した。
その際に発生したドイツ軍の戦争捕虜が発生した。彼らは殆どが少年兵と呼んでも良い年齢の者たちであった。(終戦間近の少年兵を使っていた描写はヒトラーの最後の12日間にも出でくる)
デンマーク当局はその捕虜に対して、ドイツ軍が連合国が侵攻する事を想定して埋めた200万以上の地雷を撤去する作業を行わせた。
当然ながら、現在のようなロボットアームや防護服などの装備は無く。
彼らは生身の体で一つ一つ砂浜を木の棒を突き刺し、地雷があれば手作業で解体していく。
とても危険な作業を強制されたのである。
また、占領していたという事情もあり、扱いがとても酷い状況であった。
彼らは、地雷除去が終われば帰れるという状況を信じて除去を進めていくのであった。

この映画、評判が良かったので見てみたいと思っていたのが最近になってやった鑑賞してみた。
とても、素晴らしい作品だった。

地雷除去という過酷な状況でありながらデンマークの海岸風景などが、とても綺麗にら映されていた。それでいて、ちょっとした状況で人が死んでいく。まさに生と死を考えさせられる作品であった。
また、この作品の題材になったことは実際にデンマークで起こった出来事である。
デンマーク側からすれば負の歴史と言っていい出来事である。
それを直接的に表現したというのが素晴らしい。
他には、日本語のタイトルをつけた人はとても素晴らしいセンスを持っていると感じた。
ヒトラーが忘れた地雷と少年兵の捕虜というダブル・ミーニングになっていて、そこも含めて素晴らしい作品だった。

しかし、この作品を戦争映画と呼ぶのかわからない。それほど静かな映画であり淡々と進んでいく。

それらも含めて素晴らしい作品であった。


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