見出し画像

AI VS 教科書が読めない子どもたち

まとめ
・AI VS 教科書が読めない子どもたち 書評
・現在AIの限界点
・日本人の読解力危機

この本は人工知能で東大に入れるかという研究・開発が進められたプロジェクト。
通称「東ロボくんプロジェクト」の中心メンバーであった新井紀子氏がプロジェクトで判明したAIの限界点とプロジェクトでおこなった調査で判明した。

人間側の教育の問題点の2本立てになった内容です。

最近、AIはこれから先、人間を超えるであろうという話が出てきました。
「シンギュラリティ仮説」などAIが神になる日も近いなど言われるようになってきました。

新井氏はこの仮説を否定します。

AIは検索や計算は得意であるが、東大合格に必要とする読解力が致命的に無いので、それ以上は成績向上は無理という事でプロジェクトを断念しました。

元々コンピュターは計算機として産まれ、その後インターネットを使用した検索という事が得意だったので当たり前ではあるのですが、読解力は無いのです。

例えば、最近急速に増えたAIアシスタントがあります。
そのAIに近くに不味い食事を出す店を教えてといったところで、意味が理解できないので返答はできません。

事実、東ロボくんは英語、現代文は全くと良いほど点が取れなかったそうです。

このように、現在のAI理論では、新たなブレイクスルーが無い限りこれ以上の進展は無いだろうという結論になったそうです。

なら、AIはそこまで脅威では無いのかと安心してしまいそうになりますが・・・・残念ながらそうも言ってられません。
東ロボくんでも4年間でMARCH・関関同立の合格圏内・国公立大学も狙えるところまで成績を上げることができました。
つまり、このレベルの仕事は今後AIに代替可能という事でもあるのです。

一方人間の方です。
AIは致命的に読解力がないという事は前記しました。
しかし、そのAIでは全受験者の上位20%に入るというそこそこの成績を収めることができました。
そこで文章の読解力が致命的にないAIよりも読解力が無い高校生が相当数いることが明らかになりました。

その為に、新井氏は読解力を高める研究に移行してリーディングスキルテストを作る事になったのです。
なぜ、読解力が無いと問題なのかと言うと、現在の教育では教科書が読めることが前提としてカリキュラムが作られています。
その教科書を読めてないという事は、いくら智識を教えても、それを整合的に使えるようにならないのです。
実際リーディングスキルの能力値と偏差値の高い高校や大学への進学率を分析すると、高い相関関係があることも分かりました。

また、AIは今後得意分野では活躍が広がる事は確実だと思われます。
となると、AIが苦手な分野つまり読解力が必要な仕事は、今後も人が必要になるという事になります。
その際に現在の日本人の読解力がAIと変わらないという事になれば必要ないという事になります。

この本では現在の日本の教育の現状が間違っているのでは無いかという事も記載されています。
実際、読解力がなければ勉強したところで身につかずそれこそが格差を助長していつのではないかという危惧もあります。
行き過ぎたAI神話とこれからの日本の教育を考えるには最適な本だと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?