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GWにオススメの本(1)「遠き落日」

野口英世をご存知だろうか。
ちょっとわからない・・・・という方は千円札を見ていただければ、彼が描かれている。
そんな野口は、伝記と検索すると多くの本がヒットするほど多くの伝記が発行されている。
多くの伝記では、貧農の家に生まれ肉体的なハンデを乗り越え、医学への道を目指し、アメリカに渡って研究生活をした努力の人。
そして、品性高潔な人とする描き方をされている。

果たして本当なのだろうか。

今回紹介する「遠き落日」は美化された「野口英世」ではなく人間「野口英世」を赤裸に書く伝記小説だ。

野口は天性の忍耐力を持つ努力の人ではあった。
アメリカで「彼は一体いつ寝ているのか」という質問があったほど、研究を突き詰める人でもあった。
そういう意味では、化け物と言っていいほどの努力の人ではあった。

しかし、私生活ではお金や酒にだらしないという人でもあった。
そして、肉体的なハンデを利用して周りから同情を引き出して成り上がるという人でもあった。
事実、彼はアメリカに渡るためのお金が無いために、婚約者の親族にお金をださせている。
そして、アメリカに渡った後に婚約破棄をしていて、結婚詐欺のような事もしている、
そのような側面から見ると、人格破綻者とも言えなくはない。

しかし、それを踏まえても野口英世という人はとても魅力がある。

著者の渡辺淳一氏はあとがきにこのように記載している。

「私は野口を調べるうちに、その人間的な魅力に惹かれ、彼を窮屈で居心地の悪い伝記のなかから、自由な一人の人間として羽ばたかせてやりたいと願うようになった。そしてなによりも、私自身が彼を愛し、その強烈な魅力に惹かれなかったら、この作品を生み出すことはできなかったろう」

ぜひ、人間・野口英世を堪能してほしい。


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