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プラドの案内人

15歳の時、プラド美術館を案内してくれたおじさんの事が忘れられないので綴る。

そのおじさんは、黒いシルクハットにステッキをもっておりチャップリンを彷彿とさせた。奇妙でユーモア溢れる姿はさながらダレン・シャンに出てくる登場人物のよう。常に面白く時に優しく、スペイン語を話せない私を沢山助けてくれた。

案内人のおじさんはズラリと並んでいる絵画を知り尽くしているようで、面白い絵をピックアップし紐解いてくれる。絵に隠された秘密をおじさんがブラックユーモアたっぷりに教えてくれる。登場人物の目線が向いている方向、見る角度、王家に隠された秘密をたった1枚の絵から読み解けることに驚き虜になった。莫大な敷地面積を誇る世界3大美術館の中で、あっという間に時間が過ぎていく。

終わった頃にはもうすっかりおじさんの虜になった。もっと一緒にいたい気持ちを堪え、日本から持って来ていたおせんべいを渡してサヨナラした。

もう同じ国へ行っても会えないけど、二度と会えないってなんて美しいんだろう。思い出は綺麗なまんまで、きっとまたわたしをスペインへ連れて行ってくれる。新しい出会いのために、またおせんべいを持って行こう。




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