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ヘルガーexを救いたい

 どうも。投稿2回目にして、またもスタートデッキのネタをこすります。
 今回はヘルガーexを考察……していたのですが、このヘルガーex、スタートデッキ収録という点を加味してもかなり厳しい性能をしており、またヘルガーex以外にもいろいろと問題点が出てきたため、それらを個人メモ用としてまとめてみました。


1)ヘルガーexの基本情報

HP270 悪タイプ 1進化(デルビルから進化)
技1:悪悪 イビルクロー 90
次の番この技を受けたたねポケモンは技が使えない
技2:悪悪悪 ハウンドファング 220
自傷ダメ30
草弱点、にげエネ2

 良くも悪くも「スタートデッキに入っているな~」という印象のカード。
 はっきり言って弱い、とまでは言えないが、このカードを主軸にデッキを組むとなると、熟練のポケカプレイヤーは頭を抱える程度には性能が微妙なカード。

 まず上技は、悪エネルギー2つで90点と打点自体は悪くなく、効果も癖のない非常にいい効果で、相手がたねポケモン主体のデッキであればこれだけで詰ませることができる程度には優秀。
 …と言いたいところだが、昨今のポケカ環境はサーナイトexやリザードンex、アルセウスV、ギラティナV、ルギアV等のVStarがそこかしこに存在し、たね主体で戦うデッキとなると、パオジアン・ロストバレット・だんけつ・おつきみパーティあたりが主軸となる。
 パオジアンデッキはパルキアVStar入りであったり、セグレイブをサブアタッカーのように使用できるので刺さらないことが多い。
 ロストバレットはそもそもこの技を耐えられるのがウッウ(+かがやくゲッコウガ)くらいで、サイド一気取りを狙うロストマインのヤミラミは極力ベンチに出さずここぞという場面で出てくることが大半なので論外。
 だんけつ、おつきみパーティもアタッカー1体1体がそもそも90打点で倒せるので…この効果、どういう相手を想定に打って1ターン稼ぐ効果を利用するのか…?という壁にぶち当たることになる。
 また『この技を受けたたねポケモン』がこの効果の影響を受けるため、普通に別のアタッカーを用意されたり、ベンチに一度引っ込めると効果が消えてしまうのである。
 なんで「この技を使ったこのポケモンは次の相手の番」ではなかったのか小一時間問い詰めたい。

 そして問題の下技。
 技を使用するためには「悪悪悪」というポケカでは「かなり重たい」とされる有色エネルギー3枚を要求する技であるにも関わらず、その効果が「自傷ダメージ30」。以上。終わり。閉廷。
 ルール持ちポケモンであるためリバーサルエネルギーの効果対象外であり、有色3枚エネを付けてようやく220ダメージを与えたと思ったら、自身のHPが240になっている。なんだこれはバグか?
 
 いやしかし待ってほしい。これ、ポケカではよくあることだ。
 3エネ要求でデメリット効果付きの技は実は結構ある。
 というか3エネで打点が200点を超えるような技は大抵がデメリット効果付きなのである。アルセウスVSTar?ナニソレシラナイ
 同じスタートデッキの炎タイプのビクティニなんかは、3エネで220で次のターン、技をうてなくなるというデメリット効果である。
 一見これも大きなデメリットに見える…のだが実はそんなことなく、入れ替え手段を用いれば連射可能になる。
 対してヘルガーは、なぜか自傷しており、回復手段を用いる必要があるのだが、ポケカにおいて回復カードは耐久デッキでもない限り採用されることはほぼなく、無論、このヘルガーexデッキに回復カードが相性いいかと言われれば………。
 ・・・いったいヘルガーが過去にポケカで何やらかしたらこんな性能になるんだ…ってくらいひどい有様なのである。


2)そもそもポケカ現環境の悪タイプのカードの惨状について

 上記の画像は「exスタートデッキ悪」の収録リストである。
 実はこのデッキ「現環境における悪タイプの戦い方」をすべて体現しているデッキで、悪タイプの基礎を学ぶにはかなりいい教材である。
 それゆえにとんでもない欠陥を抱えたデッキともいえる。
 個人的に思う、現環境の悪タイプの戦い方は主に以下の3つ。

①相手を状態異常(主に毒、眠り、混乱)にして動きを封じながら戦う搦め手
②相手の場や手札に干渉したり、不利益効果を押し付けて戦う搦め手
③すでにダメージを負っている等、ある条件下で打点が増す技で攻める

 ①はポケカにおける悪タイプが、本編ゲームにおいての毒タイプも兼ねているため、相手を毒にしたり、眠りや混乱にさせる技を使えるカードが多く存在している。
 状態異常にすることで打点を追加したり、状態異常の回復を迫る解決札を要求したり、そもそもそれらの解決札を封じたり、、、といった戦法になる。
 このスタートデッキにおいてはドオーがその役割を担っている。

 ②は今回の主役ヘルガーexの上技や、マフィティフの特性、クラッシュハンマー、ポケモンキャッチャー、スター団のしたっぱが該当する。いわゆる「本編ゲームにおける悪タイプらしい嫌らしい戦い方」を体現したカード。
 スタートデッキ以外のカードだと、黒炎の支配者のアブソルexの上技や、ポケモンカード151のアーボックexの下技が記憶に新しいだろうか。

 相手の山札を操作したり、手札を捨てさせたりと、場のポケモンではなく相手の盤面そのものに何かしらの不利益を押し付けることで、相手のプランを崩壊させるというコンセプトだ。

 そして③。スタートデッキ内だとハブネーク。そのほかだと上記画像のアブソルexの下技や、ヒスイダイケンキVStarの上技、スタートデッキに入っていない方のハブネーク(ベノムショック)、アブソル(ツメでえぐる)等が該当する。また珍しい効果ではあるがスカタンクVのおいうちボム等もこれらに該当する。
 相手がすでにダメージを追っていたり、毒状態や眠り状態の場合に追加で技の火力が上がるという効果。これによって手負いの相手を確実に仕留め、サイドを確実にもぎ取っていくことができる。

 …さてここまで説明して察しのいいプレイヤーの方はこう思うだろう。
「環境で活躍してる悪タイプのポケモン、今いるの、悪リザしかいなくね?」と…。
 それもそのはず、悪リザードンは悪タイプの面をした「元炎タイプ」のカードであり、上記の戦い方のいずれにも該当しない「超火力でぶっ飛ばす!(デメリットなし)」のカードだからである。
 悪タイプのカードは総じてトリッキーな効果が多すぎて、まず活躍させることが難しいのである。

 ①②③のいずれにも共通して言えることで、かつ「exスタートデッキ悪」が物語っていることがある。
 「悪タイプのデッキやカードは、結局のところ、相手の盤面に依存していて左右されやすいのに、自身の盤面がおろそかになりがち」なことである。
 特に②③に関してはまさにこれで、とかくポケモンカードにおいては「理想盤面を崩す = 勝ちに直結しない」のが原因である。
 結果、嫌らしい効果を押し付けているわりに、それを解決されるとすぐにこちらの盤面が崩壊し、巻き返そうにも打点が特殊条件下でしか火力が出ず、その特殊条件を満たそうとすると相手の盤面に触れられないか、毒による地道なスリップor眠りによる時間稼ぎしかできない、、、という負の連鎖が起きているのである。

 加えてヘルガーexの基本説明のところでも触れた「ポケカにおける3エネ技デメリット効果問題」が重くのしかかる。
 このヘルガーex以外にも悪タイプのカードの「3エネ要求技」の多くが「このポケモンにも●●ダメージ」、「このポケモンについているエネルギーを1枚トラッシュする」、「このポケモンについているエネルギーをすべてベンチのポケモン1匹に付け替える」等のデメリット効果持ちばかりなのである。
 今のポケカ環境、2エネで150とか200近い打点出せる技は山ほどあるのに、悪タイプはやたらと3エネ要求+デメリットが多い。
 またヘルガーexが重たいと評価されるのは「ダブルターボエネルギー非対応」であることも理由の1つだろう。
 昨今の3エネ要求技の大半は「有色+無色2つ」であるのに、ヘルガーexは悪悪悪という要求。もはやどうしようもない。

 「3色全部有色の悪要求なのは、悪タイプにはあの超有能なグッズ『ダークパッチ』があるからでは?」と頭をよぎったそこのあなた。
 ならスタートデッキのリストをもう一度確認してみよう。

 ・・・・・ダークパッチどこだよ!!!

・草タイプデッキのナタネの活気
・闘タイプデッキの岩のむねあて
・雷タイプデッキはエレキジェネレーター
 など、一部デッキにはそのタイプ特有の補助カードが存在しているのに、悪タイプデッキを作るなら必須級のグッズ『ダークパッチ』は1枚すら入っていない。
 代わりにクラハンやポケモンキャッチャー等、ぶっちゃけどのデッキに入っててもあたりさわりのないカードが入っている。
 おそらく「exスタートデッキ」のコンセプトである、対戦初心者の方でもわかりやすいカードだけを収録したかったという意図でのことだろうが…それでもダークパッチはわかりやすい方だろ!!とツッコミを入れたくなる。

 まとめると、そもそもレギュレーションE~G環境における悪タイプのカードがそもそも搦め手が多すぎて初心者向けでなく、かといって上級者の人がこういった搦め手を使いたいかと言われるとそうでもなく…という惨状なのである。

3)ヘルガーex関連カードの悲惨さ

 ヘルガーexの評価が高くない理由にはもう1つあり、関連カード、進化前のカードや分岐進化先のカードの悲惨さもあげられる。
 まずは分岐進化先から確認していこう。

 黒炎の支配者にて新規登場した悪タイプの非ルールヘルガー。
 現状ヘルガーex主体デッキを組むにあたって、1枚はピン刺ししておきたいカード・・・・・・なのだが。
 上技が2エネ要求で進化ポケモンに対して120点しか入らない。昨今の進化ポケモンはHP120を超えているのが普通で、自身のHPが130なところからもそれを証明しているという皮肉
 ヘルガーexで仕留め損ねた進化ポケモンを確実に仕留めるという意味では、HP340までのポケモンが射程圏内に入るが、そもそもその場面はヘルガーexが倒されていることを意味するので、劣勢を覆すことができる状況にあるとは言えないだろう。
 タイプ的に本来有利なはずのサーナイトexに対しても、弱点をつきながらも倒しきれないのはおろか、特性サイコエンブレイスを3回使ってダメカンを置いても、HPがギリギリ10残り、返しでやられるという始末なのが救いようがない(120×2+エンブレ自傷20×3=300でギリギリ足りない)。
 下技はもはや説明不要の3エネ要求デメリット効果。唯一ダブルターボエネルギーに対応している点は評価できるが、ターボをつけることで打点が110になり、上技よりも火力が出なくなるというバグが存在する。
 ほんとヘルガーが何したっていうんだ。

 現環境で使える悪タイプのヘルガーはもう1枚。一撃のヘルガーである。
言わなくてもわかると思うが、exのヘルガーとのシナジーは一切ない。
 しいて採用する利点があるとするならば、スタジアム「あくの塔」を採用してドロー加速の種として利用したりする等の「いちげき」カードであることを生かした使い方だろうか。
 一応いちげきエネルギー2枚付けることでやみのキバの打点が90になるので、ヘルガーexの上技と同じ打点になる。
 いちげきデッキがそもそも環境にほぼ存在しないことに加え、レギュEカードなのでexスタートデッキからポケカを始める人には、スタン落ち的な意味でもオススメしたくない。 

 バイオレットexにて登場していた炎タイプのヘルガー。
 ヘルガーexとのシナジーはないが、リバーサルエネルギーを採用する場合は1枚採用することを検討してもいいかもしれない。
 悪タイプのヘルガーが草弱点なので、草タイプ相手に弱点を付けることが利点。ただし3エネ要求デメリットのジレンマはここにもはびこっている。
 なんなら要求色が炎炎無なので、リバーサルエネルギー以外で始動する手段がない。事故札ともいう。

 と、分岐進化先にもろくな奴がいない。

 さて進化前のデルビルはというと

 スタートデッキ収録のデルビル。別名「何も書いてないカード」。
 かみつくで攻撃する場面があるならサレンダーをオススメする。
 とはいえHPが70なのが唯一の利点ではある。ヤミラミのロストマインのダメカン分散可能HPとしては優秀。
 そのため環境の流行り廃りによって、次に紹介するデルビルと採用枚数を相談する必要がある。1~3積みが基本。

 黒炎の支配者にて新規登場したデルビル。
 上技が非常に強力で、ベンチに3匹デルビルを並べられれば一気に3枚もの悪エネルギーを加速できる
 返しのターンで前に出ているこのデルビルは倒されてしまうが、次のターンにヘルガーexに進化し手張りし、エネルギーつけかえを絡めると一気に下技を使って攻めることもできる。
 エネルギーがついた状態のヘルガーexを複数体用意できるという点が評価点であり、ダークパッチ等も組み合わせて、即座に下技220点で相手の盤面を消し炭にする戦術をとることができる。というか現状のヘルガーex主体デッキの主な戦い方がコレになると思う。
 また倒されてしまったデルビルについていた悪エネルギーはダークパッチで加速する分としても使用できるので相性がいい。
 基本的にこの技を使う場面は後攻1ターン目のみなので、先行を取った場合だとHP50の低さが目立ってしまう。生き残っているならば優先的にこいつをヘルガーexにしたい。採用枚数は1~2枚程度にしたいところ。

 面白い使い方をするならば、あえて進化せずにむれのれんけいを複数回使った後、サポート「ネジキ」を使用してトラッシュに落としておいた「バンギラスV(いちげき)」と入れ替わり、残ったデルビルをヘルガー(いちげき)に進化させ特性でさらに加速、バンギラスで一気に高火力を押し付けるデッキにする等だろうか。この場合バンギラスをあくの塔でコストにすることもでき、一撃デッキの新しい動きとしては面白い試みになるかもしれない。

 炎タイプのデルビル、いちげきカードのデルビルも存在するが説明は割愛する。

 …と関連カードを見てきたが、優秀なのが最後に紹介したデルビルくらいで、他のカードが軒並み悲しみを背負っている。どうして。

4)デッキ一例

①あくまでヘルガーexが主体だと言い張るデッキ

 基本的に先行を取りたいが、後攻1ターン目でむれのれんけいを絡めた展開も可能なので、先行・後攻どちらをとっても戦っていける点は初心者向けなデッキと言えるかもしれない。
 仮に後攻を積極的に取りに行くのなら、デルビルの枚数は1-3や2-2にしてもいい。ただしその場合は入れ替え札をより多く採用したり、にげエネ0のカードを採用するよう調整しよう。
 ネストボール、レベルボール、ボウルタウンで全力でデルビル3体を横並べして、サイド1-2-2-1プランを相手に強要しながら、終盤はダークパッチやじゃあくチャージガラルファイヤーを使って攻撃していく。
 ビーダルラインやガラルファイヤーVあたりは入れ替え候補なので、エネルギーつけかえ等のほかのカードと調整しよう。

②ヘルガーexは添えるだけ(ダークライVSter型)

 むれのれんけいによる実質3エネ加速にだけ着目して組んだダークライVSterデッキ。ダークライVSterの上技は自身の場の全体を参照するため、ダークライ自身にも悪エネが2枚ついていれば、デルビルについている分も加えて180打点となる。
 従来のダークライVSterデッキと違い1匹のポケモンにエネルギーが集中することが少なく、デルビル3体にエネルギーを分散していることが利点であり、1体1体処理させる手間を相手に強要できるのも強み。また処理させたとしても取られるサイドが1枚であることも大きな利点だろう。
 また前述した通り、1体目のデルビルについていた悪エネルギーはダークパッチで加速できる他、倒されたことでキバナの起動条件を満たすことができるので、落ちた悪エネルギーを付けた後はげましのてがみをサーチ。はげましのてがみもキバナ同様に倒されたことで条件を満たすので悪エネルギーを3枚サーチ。じゃあくチャージガラルファイヤーを盤面に出してエネ加速+手張り分も確保というコンボができたりもする。この場合、ダークライの打点が一気に240点までのびることになる。(+ダークパッチ、ダークオーラで加速できる分さらに打点追加可能)。
 また最悪デルビルをヘルガーexに進化させることで220打点を打つこともできる。

③ヘルガーexは添えるだけ(ネジキ一撃バンギラス型)

 むれのれんけいデルビルの紹介のところで説明した、一撃バンギラスをネジキで呼び出す型。
 むれのれんけいを複数回使って2エネ以上付いたデルビルを用意してから、ネジキでバンギラスと入れ替え→残ったデルビルを一撃ヘルガーに進化→手張り+特性でバンギラス始動の流れを作る。
 攻撃直前までデルビルにエネルギーを貯めるため、バンギラスVが倒されてサイド2枚取りされる心配が少なく、②の型同様最悪ヘルガーexで殴りにも行ける。
 都合よくネジキを引き込むのが難しいため、悪エネルギーの数を減らしてネオラントを採用したり、ポケギア3.0あたりで接触できる機会を増やす等は入れ替え候補としてあがるか。
 採用カードのほとんどがEレギュのため、初心者の方にはオススメしたくはない。

・・・・・・・あれ、これ、ヘルガーex、いる?

5)最後に

 というわけで今回はヘルガーexを考察してみました。
 結論としては、スタートデッキ同士で対戦する分には気にならないが、ガチ環境では到底活躍が難しく、そもそもヘルガーの周りの環境が悲惨すぎることに変わりありません。
 強いていうと「むれのれんけいデルビル」にだけは可能性を感じているので、今後「炎テラスだけど要求エネルギーは悪のヘルガーex」とか「ベンチのデルビルについている悪エネルギーの数×40の技を持つヘルガー」みたいなカードが出ればワンチャンあるのではないか…?と思いますね。
 以上。終わりです。
 
 ・・・・ヘルガーex、いる?

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