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救急車に乗る時は靴を忘れずに(後で困るぞ)

 何年か前の寒い日。激しいめまいが起きたのは、家で昼食の支度をしている時でした。周囲がぐるぐる回る感じで、倒れたまま動くことができません。
 嘔吐も止まらず、おまけに過呼吸まで始まって手足がしびれ、息が苦しくなってきました。夫が救急車を呼びました。

 救急車はすぐに到着。私は担架に乗せられて部屋から救急車へ。救急隊の方から保険証とお薬手帳を持参するよう言われたので、夫に持ってくるよう頼み、搬送に付き添ってもらうことになりました。

 病院に到着し点滴をしてもらうと、少しずつ楽になっていきました。
 問診や簡易な検査の結果、私のめまいは耳の疾患によるものと診断されました。激しいめまいがしても、脳梗塞のように命にかかわる病気ではないということでまずは安心。
 点滴を打つ前は苦しくて死にそうだったので、当然その日は病院に泊まることになるだろうと思っていました。ところが、めまいがおさまると「どうぞお帰りください」とのこと。
 「ふらつかないか確認するために、少し歩いてみましょう」と医師が言いました。ベッドから降りようとして、「あっ」と思いました。靴がありません。

 救急車が来た時、室内から担架で運び出されたため、靴は履いて来なかったのです。これは盲点でした。

 とりあえず病院がサンダルを貸してくれましたが、持ち出さないでくださいと言われました。
 何も履かずに外を歩きたくはありません。何かないかしらと売店に行ってみました。入院患者向けの履き物があることにはあったのですが、室内履きですし、見た目がダサくて(転倒防止最優先のデザインなのでしょう)何千円も出して買ったところで2度と使わないだろうと思いました。

 借りたサンダルを履いたまま受付で会計を済ませると、疲れ果ててげっそりした自分の姿が窓ガラスに映っていました。
 自宅でめまいを起こした時のまま、着古した部屋着にエプロン(しかも、救急隊員が緩めてくれた紐がだらりとぶら下がっています)。今までこんなみっともない格好で病院内を歩いていたのかと恥ずかしくなりました。

 結局、夫がいったん自宅に戻って私の靴と着替え(冬だったのでコートも)を取ってくることになり、私はそのあいだ、診療時間が終わってひと気がなくなったロビーでぽつねんと待っていました。日が暮れて冷えてきましたが、羽織るものもありません。夫が戻ってくるまでの時間がとても長く、寒く感じられました。

 もし救急車に乗ることになったとして、当日帰宅できるかそのまま入院するかは、その時になってみないとわからないケースが多いと思います。どちらでもいいように持ち物を揃えられればベストです。健康に不安がある人は日頃から用意しておくと良いかもしれません。
 でも、救急車を呼ぶような事態というのは、たいがい心の準備をする間もなく突然やってきます。できれば搬送のさい、保険証とお薬手帳以外にも持っていくべきもの(特に、靴)があれば救急隊の方がその場で教えてくださると助かります。

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