「いちご水」(らしきもの)を作ってみました
(1,900字弱)
子供の頃に親しんだ『赤毛のアン』を久しぶりに読みました。
小説の舞台となった、プリンス・エドワード島の生活はなかなか魅力的です。
特に子供の頃はティーパーティの場面に惹かれました。お茶道具にいろんな種類のお茶菓子…想像しただけでワクワクしました。憧れでした。
コンビニもデパ地下もない時代、あれこれ用意するのは大変だったでしょうけど、手作りのお菓子でお茶会なんて何と贅沢なことでしょう。
アンが友達のダイアナをお茶に招くエピソードがあります。
その中で、「いちご水」を振る舞うはずが手違いで葡萄酒を飲ませてしまうというアクシデントが起こります。
その「いちご水」という飲み物を、これまでは苺ジュースのようなものだろうと考えていたのですが、実際はどんなものだったのだろう、とふと思いました。
なぜなら、そのお茶会が開かれたのが10月だったからです。日本より涼しそうなカナダでも、さすがに秋に苺を収穫することはないでしょう。マリラが常温で保管していたことを考えても、新鮮なジュースでないことは明らかです。苺のシーズンにまとめて仕込んでおくものなのでしょうか?
試しに「いちご水」で検索したらいろいろとレシピが出てきました。その中で、cookpadの記事を読んでなるほどと思いました。
このレシピの説明によると、村岡花子訳で「いちご水」と訳されていたのは、原文ではraspberry cordial、ラズベリーのコーディアルだというのです。
「いちご」とはストロベリーではなくて、ラズベリーのことだったのですね。
『赤毛のアン』が日本で最初に翻訳された当時、「ラズベリー」や「コーディアル」が何であるかわかる人は少なかったことでしょう。ラズベリー・コーディアルは「いちご水」としか訳すほかなかったのかもしれません。
コーディアルというのは、ハーブや果物を煮出したり、あるいは生のままシロップに漬け込んで作る甘い飲料のこと(冷水や炭酸で割って飲むのが一般的)。これなら常温でも保存できます。コーディアルは嗜好品というよりは、健康飲料のような位置づけらしいです(ハーブのコーディアルならともかく、砂糖をたくさん加えて加熱したフルーツ飲料はそれほどヘルシーではないような気がしますが)。
通販でも買えます。日本でも流通しているのですね。「コーディアル」なんておしゃれな名前の飲み物があるとは今まで知りませんでしたが、お若い方はカフェなどで飲んでたりするのでしょうか?
ラズベリーの他にも、いろんな種類のコーディアルがあるみたいです。
例えば下は、エルダーフラワーというハーブのコーディアル。解熱やデトックスに効果があるらしいです。これなら「健康飲料」といってもよさそうですね。
せっかく「いちご水」のレシピを調べたことだし、自宅で作ってみようと思い立ちました。
cookpadのレシピを参考に、甘さ控えめかつすぐに飲みきれる分量で(持て余さないように)作ってみました。
酸っぱいのが好きなのでレモン汁を多めにしました。
今回は水を多くして薄めに作りましたが、長期保存するなら水を少な目にして砂糖の量を増やした方がいいと思います。
少量だし、季節柄なるべく火を使いたくないので、電子レンジで加熱します(吹きこぼれ注意)。
材料を深めの耐熱容器に入れて混ぜ、ふつふつ煮出し、じゅうぶん色が出たら冷まします。
果肉が入らないよう、茶こしで濾しながら保存瓶(長期保存する場合は煮沸消毒した方がいいのですが、今回は調理器具用のアルコールを使用)に移しておしまい。
出来上がった原液を冷水で割りました(1:1くらい)。見た目こんな感じです。格好つけてワイングラスに注ぎましたが、お酒じゃありませんよ🍷
水で割ってもラズベリーの華やかな香りや風味がしっかり感じられます。仕上げにもう少しレモン汁を加えてもよかったかな。
お菓子とは合わせずこれ単独で楽しみたい味です(というか、もともと私はお菓子に甘い飲み物の組み合わせは苦手なんです)。
ちなみに、出がらしの果肉は色も味も香りも抜けてあまり美味しくありませんが、ヨーグルトに混ぜて食べきりました。
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