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月食の日、なんだかいいなぁと思わせてくれる仁科さんの個展に行ってみた

写真の良しあしが正直わからない。

でも、時々、いいなと思う写真を見つけることがある。

文章もいい。

時々、「これ、いいなー」という気持ちをくれる仁科さん(みんな、かつおさんと呼んでる)が、個展をやるという。私が勤める会社は永田町にある。個展をやる表参道は半蔵門線でたった二駅だ。出社日がちょうど、個展の初日ということだったので、仕事終わりに覗きに行くことにした。

23区、490駅を仁科さん自身が歩いて撮った写真たちが並ぶ。やはり自分が住んだことがある区に目が行く。大田区、北区、江東区、墨田区、そして、生活圏の台東区。

仁科勝介 個展『どこで暮らしても』
仁科勝介 個展『どこで暮らしても』
仁科勝介 個展『どこで暮らしても』

大田区、北区は、自分の生活になかった風景で、一瞬がっかりしたものの、あぁ、ぽいなぁ、と感じ、そして、自分が住んでた周りに知らない風景があったんだなぁと、当時の暮らしを少し思った。でも、本当に知らない場所ばかりだったので、別に置いてあったクリアファイルに入った駅の写真を集めた見て、あぁ、やっぱり合ってるよね、と少し安心してみたりした。

他にも、彼が日本の市町村1741をめぐって撮った写真集を見つけて、地元の佐賀県と、ちょっとだけ住んでいた福岡県の写真を見たりした。

個展の写真も入っている最近出たばかりの写真集の見本を舐めるように眺めた後、そのまま写真たちと離れて帰るには惜しくなって、つい買って帰ってきてしまった。

「これ、いいな」がたくさんあった。

中学生の後ろ姿や、網だけの写真とか、いつも散歩で見るくじら公園(台東区側の墨田公園)、個展にも並んでた御茶ノ水の写真とか。

なんでも1,000部限定で増刷もしないらしい。正直、今、いろんな理由で生活を切り詰めていて、何でもかんでも節約したろ、という気分なので、ちょっと買うときに逡巡したものの、帰ってきてすぐ、手元にあってよかったと、納得してしまった。

帰る道すがら、普段はよく見ない空を、吾妻橋に集まって天を仰ぐ人たちに紛れて眺め、月食の写真を撮ってみた。うん、まぁ、撮らなくてもよかったけれど、ちょっといい写真が自分でも欲しくなって、写真を撮ってみた。うん、まぁ、撮ってみたくなったので。

文章や短歌より、もっと絶妙で、言葉にしにくい一瞬を切り取った写真というものを、いいなと思った月食の日でした。

仁科さん、ありがとうございました。

個展は、11月19日(土)までだそうです。


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