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イベント参加メモ「新川帆立さん。ミステリー小説の書き方、教えてください。」 #ミステリー小説の書き方

noteコンテストの創作大賞には、何か書くと思いますが、特別、ミステリーが書きたいわけではありません。でも、最近、在宅勤務の上に、用もなく出かけることもなかったので、外の刺激を受けようと、現地(外苑前)でタイトルのイベントに参加しました。

空想上、ミステリーのワンシーンを考えて、ぞくっとする場面が脳内にいくつかありますが、もちろんそれだけで、ミステリー作品が書けるわけではありません。今回は、あくまで、創作全般のヒントが得られるのではないかと期待して参加しました。

イベント概要

【開催日時】 5月19日(金) 20:00〜21:30

noteで開催中の投稿コンテスト「創作大賞」に関連して、作家の新川帆立さんに小説の書き方を教えていただくイベントを開催します!

<こんな人におすすめ>
・創作大賞に応募しようと思っている方
・小説などの物語を創作しているクリエイター
・新川帆立さんの作品が好きな方

新川帆立さんは第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2021年にデビュー。『元彼の遺言』『競争の番人』と、著書が立て続けにテレビドラマ化され、いまもっとも注目を集める作家のひとりです。創作大賞では、『別冊文藝春秋』編集部の特別審査員に就任いただきました。

イベントでは、「題材の決めかた」「魅力的なキャラクターのつくりかた」「展開の工夫の仕方」など、小説を書く上で大事なポイントを、著作を例に挙げながらお話しいただきます。

【5/19(金)20時】新川帆立さん。ミステリー小説の書き方、教えてください。#創作大賞2023|noteイベント情報

登壇者プロフィール

小説家
新川帆立
1991年生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞、2021年『元彼の遺言状』でデビュー。22年には同作と『競争の番人』、2本続けてフジテレビ系「月9」枠でテレビドラマ化され話題に。新刊に『先祖探偵』『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』など。23年夏より『別冊文藝春秋』で連載「転職の女王(仮)」開始予定。


『別冊文藝春秋』編集長
浅井愛
2019年よりエンタメ系小説誌『別冊文藝春秋』編集長。22年に「WEB別冊文藝春秋」立ち上げ。担当作に、有栖川有栖さん『捜査線上の夕映え』や、呉勝浩さん『おれたちの歌をうたえ』、冲方丁さん『十二人の死にたい子どもたち』、芦沢央さん『カインは言わなかった』、円居挽さん『キングレオの冒険』、大山誠一郎さん『赤い博物館』などのミステリー作品や、森見登美彦さん『熱帯』、深緑野分さん『スタッフロール』、彩瀬まるさん『くちなし』、橘ケンチさん『パーマネント・ブルー』など。

【5/19(金)20時】新川帆立さん。ミステリー小説の書き方、教えてください。#創作大賞2023|noteイベント情報

視聴メモ

■ミステリー小説の書き方

一番大事なのは「とりあえず、最後まで書こう」
おもしろくないかも、破綻してるかも。最後まで書いて直そう。

ミステリーとは、
①魅力的な謎を用意して
②論理的に書く
どちらか一方を満たしていても、価値がある。

①魅力的な謎とは、10人中10人が「どういうこと!?」と思う謎
・謎は物語の推進力
・親戚、地元の友達にも伝わるか?
・マニアックな謎はハードルが高い

※『元彼の遺言状』の場合、 「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」
・普通とは逆のことが起こる
・謎を解くために犯人になる

※『倒産続きの彼女』の場合、

・ミステリーで普通、人を殺すが、人じゃないもの(法人)は殺せるか?

「謎」の発想法
普通をさかさまにする。ズラす。そのためには、「普通」を知らなきゃいけない。普通を書き出してみる。

面白いと思ったことについて、どうして? どこが? 面白いのか立ち止まって考えてみる。その理由を自分の作品で再現してみる。

②論理的に書く 論理的=読者が納得できる。
・読者をどのように説得していくか?
 ・物理的に可能なのか?
 ・心理的に妥当なのか?
  (そんな理由で人が動くか? もっと簡単な方法がないか?)
⇒落ち着いて一つずつ考える

ごまかす方法もある。

論理をごまかす裏ワザ

・リアリティのレベルを統一する
 世界観によって求められる「論理」が違う
(幼稚園児が解決する事件ならゆるくてもあり)
・落ち着きのよい結論にする(勧善懲悪)
 ・読者の願望をかなえる
 ・予定調和、ハッピーエンドをおそれない

(俺コメント)確かに、私が好きな『氷菓』は基本、学校内で事件が起きて、高校生が事件に取り組みます。作品世界を制約して、使えるルールを限ってしまう方法は、今でも使えますね。

『別冊文藝春秋』編集長 浅井さん コメント
「謎がちょっと不安定でも、そこは一緒に作っていける」

※よくある落とし穴

So What?案件 (謎は解けたが、つまらない)
⇒こうならないために、作品の「売り」を客観的に説明できるようにする。

・知らない業界を覗ける。お仕事ミステリー
・人間ドラマがおもしろい
・透けて見えるテーマが現代的

「面白いポイント」から考える
・自分の興味があるものの中で、みんなが読みたいものを探す
・読みどころを考える

※『縁切り上等! ―離婚弁護士 松岡紬の事件ファイル―』の場合、
結婚ってなんだろう? 結婚を考えるには、「離婚」から考えるといいかも

・弁護士としてリーガルの知識を活かしてマメ知識をいれる(読みたい要素)
・人は「修羅場」が好き(読みどころ)

※これから書く予定の『転職の女王(仮)』 の場合、

・自分の興味:明るいおばちゃんを書きたい
・みんなが読みたい要素(お仕事小説:版元、読者の要望)

⇒ 明るいおばちゃんが転職を繰り返す小説

・一つのテーマや一つの仕事では、島耕作みたいに異動させたりしないと飽きちゃう

浅井さんコメント
「いろんな興味深い職業を提案したけど、それをまとめて、転職ってワードが出た時、すごいと思った」


■キャラクターの作りかた

「キャラ立ち」 :読者に愛されるキャラクター
・個性的なキャラクターというわけではない
・普通の人でいい
 ・好感度高くて応援したくなる(基本)
 ・悪いやつだけど、あっぱれ(応用)

①欠点をつくろう

・欠点を許せる=その人が好き
・欠点は具体的に書きやすい(悪口はいいやすい)
・欠点を突き詰めると長所につながる
 →欠点を持つ理由を考えると、「行動原理」が見えてくる

②行動原理を一貫させよう

・長所と短所のつながりを考える
 例)パワハラ気質だけど仕事ができる上司
 (共感性が低いけど、決断早い)
・キャラクターのすべての動きに理由を
 例)臆病な主人公がどうして勇気を出したか?

「行動原理と違った行動をさせるには、その変化に見合った出来事を起こしてほしい」

③脇役にも人生がある
・脇役がしっかりしてないと、主人公の一人芝居になる
→主人公の魅力が減殺される
・物語の進行のためだけにキャラクターを動かすと読者に透けて見える
 例)主人公をやたらいじめる先輩、何かと主人公を助ける同僚
⇒都合よくキャラクターを動かさない。

※よくある落とし穴
①属性を盛っただけ
②全キャラ、作者の分身
→全員、内気はおかしい。全員、頭いいとか変。
③都合よすぎるキャラ
→さっきの脇役の話。作者にとって都合がいいキャラを出さない。脇役に手を抜かない。

(俺コメント)属性を用意するだけがダメなのは、マーケティングやサービス開発のペルソナもそうだな。属性じゃない。行動原理や背景に厚みがないと嘘になる。

やること
・とにかく深く考える
・普段から人をよく見る
・「本当にこういう人はいる」と確信できるキャラだけ登場させる
・主役とはサシで遊べる人。脇役とは何人かで遊べる
→自身の投影はしないけど、主人公は妄想の中で二人で遊びに行ける人

こういうことを考えているから、例えば「どのキャラクターがどの化粧品を使ってるかわかる」

キャラクターの作り方は、以前、テレビで視聴した漫画家の藤田和日郎さんにも同じようなことをおっしゃられていました。キャラクターの作り方については、さらにコツみたいな話も含めてこちらから学べます。

■お仕事小説

お仕事小説とは? 仕事の内容、面白さが伝わる小説
・仕事の面白さが伝わらないと「お仕事小説」ではない
・殺し屋でもボランティアでも「お仕事小説」になる

・説明能力
 
→専門的、特殊性があるので、説明しなきゃ読者が理解できない
・客観性
 
→社会的にどう見られているか冷静に判断する
 (社会的地位が高い、チャラそう)
・社会性
 →一番大事かも。現実にありえないことは書かない。決裁取らずに進めるとか

※お仕事小説の落とし穴
①下手に恋愛を絡める
 リアリティのラインが崩れる。成立するようにリアリティラインをそろえる。読者層をせばめてしまう面もあるかも。 お仕事小説は、万人に受けやすいのに、そこを狭めるのはもったいない。
②愚痴に終始する
 仕事の不満があるから愚痴っぽくなりがち。愚痴を聞いてておもしろくない。おもしろい愚痴ならいい
③自らの職業人生を語る
 愚痴の逆。自慢を書きたくなっちゃう。仕事の内容は読者をもてなすために使う。

■質疑応答

参加した感想

緊張されてましたね。けど、参加者に向けて、ちゃんとイベントのテーマ内容について伝えようとされててすごく好感が持てると同時に、こちらもしっかり聞こうという気持ちにすぐになれました。

最後の質疑応答タイムは、短い時間ながらかなり充実していて、本編以上にすごく参考になりました。最後のメッセージは、昔なら「重いなー」「そこまで執心できないよー」と感じたと思いますが、作家を目指しているわけでも、創作作品を作ることを目的にはしていませんが、今は、生活のほとんどを書くために向けているので、少し受け取れた気がします。

創作大賞に向けて、何を書くか決めていませんでしたが、ちょっと関心でました「お仕事ミステリー」。考えてみようと思います。

※アーカイブ


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