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「シン・ゴジラ」を楽しむ。

これを書いてる間は、宇宙大戦争がおれのテーマだ!
伊福部昭 最高!(鷺巣詩郎さん、ありがとう)

あるところで、泉修一役の松尾諭さんが、“伊福部昭”と、刺青したアメリカ人がいるというお話をされてました。それは、しかたない所業だと思います。

2018年12月、2度目の地上波放送の前に「シン・ゴジラ」に触れてみます。

「シン・ゴジラ」は、2016年、映画館に都合5回観に行きました。

1回目:8/17(水)平和島(4DX)
2回目:8/21(日)錦糸町(日本語字幕)
3回目:8/27(土)品川(IMAX)
4回目: 9/2(金)立川【極上爆音上映】
5回目:10/1(土)新宿

子どもや一部のオタクな男性の娯楽かと言うと、これが侮れない。

「防災」「防衛」「交通」「政治」「流通」「日本神話」「俳優」「CG」「折り紙」「スパコン」「日本映画」「エヴァンゲリオン」など過去の庵野さんの作品、オマージュが多い初代「ゴジラ(1954年公開)」などなどなどなど、

たくさんの構成要素が含まれています。

まぁ、それでも男の子成分が刺激される感じはありますね。
・「新元素」
・「人類の8倍の遺伝子情報」
・既存最大兵力の一斉解放シーン(タバ作戦)
・兵器や作戦の発明(ヤシオリ作戦)

すごいのは、これだけの情報を盛り込んで、破綻していない!
盛り込むだけなら、このnoteのように気になった情報をググってコピペすれば、誰でもできます。

これがバランスを保って、映像作品、ドラマとして、成立している!

映画には時間の制約もあります。商業映画として、どんなに長くても、3時間を超えるわけにもいかない。(シンゴジラは、119分)

裏には、もっともっと捨てた映像や情報があると考えるとすごい。

ストーリーが破綻していないだけ?
庵野秀明さんは、こんなことを言っています。

そういう意味で、僕はつまらないプロ意識がないんですよ。おもしろさが最優先です。失敗してもいい、とにかくやれるとこまでやってみようと。
『新世紀エヴァンゲリオン』をめぐって(庵野秀明×東浩紀)
《STUDIO VOICE》1996年10月號

そうおもしろいんです!

そして、掘ったところには、必ず、何か埋まっている。
2016年、この映画を楽しむために、もっと情報が欲しいと思い、こんなまとめをしていました。

(こんなもんじゃないんですよ、ネットに転がってる情報は・・)

立花隆さんが、『解読「地獄の黙示録」』の中で、こう言っています。

あ、この映画はこういう映画か、とわかったつもりになったとたん、その人のこの映画の見方は浅いレベルで完結してしまうことになる。
この映画は、見る人に挑戦するかのような重層構造になっている。
単なるエンターテインメント映画として楽しめればそれでいいという考え方もあるだろう。
しかしそれは、「ドストエフスキーの『罪と罰』なんて犯罪スリラーだよ」と言うのと同レベルのものの見方しかないといっておきたい。

私は、「シン・ゴジラ」を観て、こう言います。

あ、この映画はこういう映画か、とわかったつもりになったとたん、その人のこの映画の見方は浅いレベルで完結してしまうことになる。
この映画は、見る人に挑戦するかのような重層構造になっている。
単なるエンターテインメント映画として楽しめればそれでいいという考え方もあるだろう。しかしそれは、「ドストエフスキーの『罪と罰』なんて犯罪スリラーだよ」と言うのと同レベルのものの見方しかないといっておきたい。

初めて観る、久々に見るなら、いろいろ気にせず、見るだけでいいと思います。
だっておもしろいんだから。

なんで、おもしろいんだろう?「シン・ゴジラ」と現代社会、ゴジラの意味を考え出してしまったら、私のように、久々に発掘作業を楽しみながら、メモ帳片手に見るもよし、ときどき映像を停止して考えてもよし、「シン・ゴジラ」を見た後、他の特撮作品を見るのもいい。

きっと、いろんな楽しみ方ができる作品です。


初代「ゴジラ」へのオマージュ

まずは、初代「ゴジラ」の直接的なオマージュについて。

足音と咆哮!

オープニングは、まんまですね。冒頭から、初代「ゴジラ」を大事にしてますよ、というサインを出しています。

東京湾に浮かぶ、船の名は、グローリー丸。
(初代「ゴジラ」で沈んだ船は、栄光丸)

「シン・ゴジラ」を掘り下げるには、初代「ゴジラ」は見ないといけませんね。
初代「ゴジラ」は、戦後10年も経たない時期、社会問題となっていた、ビキニ環礁の核実験に着想を得ています。

核実験の産物として誕生して以来、以降の「ゴジラ」シリーズには、基本、作品の世界では、ゴジラという存在が前提としてある世界です。
(アニメのGODZILLAのように、別の世界線にあるSFということもありますが)

「シン・ゴジラ」の世界の中では、ゴジラが登場していなかった世界です。ゴジラが初めて登場した初代「ゴジラ」を意識せざるを得なかったと思います。

ただ、当時と社会の状況も違います。現代社会に合った、見せ方が必要です。
そこで初代「ゴジラ」を意識しつつ、これまでのゴジラシリーズの設定、前提をリセットしています。

映画タイトルの“シン”は、“新”か“真”か“神”か、なんて、ことも言われてますが、庵野さん、設定をリセット変えるときは、“シン”つけるんですね。

(岡田斗司夫さんが、“シン”について、お話されてます。この岡田斗司夫さんの話は、一度でも「シン・ゴジラ」を見てから、見たほうがいいです)


やっぱり庵野さんのこと

庵野さんが思う「おまえら、こういうの好きだろ」がてんこ盛りです。

・でっかい建造物が破壊されるシーン
・一つところにでっかいパワーが集まるシーン
・既存兵力が最大戦力で挑むシーン

私は「ふしぎの海のナディア」で庵野さんのこれらのシーンに触れました。エヴァンゲリオンで見ましたよね。再来年の新劇場版の「ヱヴァンゲリヲン」も楽しみです。

そして、庵野さんの作品は、ここから始まっています。
ヤシオリ作戦の原型が見れます。

じょうぶなタイヤ!


「シン・ゴジラ」を形作るものたち

(線・色)
ゴジラの造形。

ゴジラが通過した線。今回も、皇居は回避しましたね。


(光)
プロトンビーム。
これは、「風の谷のナウシカ」で、庵野さんが担当した巨神兵にも見られる、男の子の何かをくすぐる光線ですね。

くすぐられた結果、ついには、光を吐く輩まで出てきます。


図像(アイテム、形自体に意味があるもの)

初代「ゴジラ」以外にも、
「春と修羅」「折り紙」「日本神話」「伊福部昭」「日本映画」
など、意味を込めた記号が散りばめられています。


シビれるセリフ・シーンの数々

・木更津からヘリを飛ばすシーン。緊急事態、特殊な体制を編成してもいいはず。
「隊員は志願させるのか?」
「いえ、ローテでいきます」

・最近、日本映画への貢献度が著しいピエール瀧。タバ作戦失敗のあと、
「気落ちは不要!国民を守るのが我々の仕事だ、攻撃だけが華じゃない。住民の避難を急がせろ」

⇒防衛に関わる方、組織としての気概を感じます。かっこよく描きすぎという声もあるかと思いますが、なぜ、こういった組織が存在しているか?実際に自衛隊のことを考えるとき、一事件だけを捉えて、組織を云々する話はしてはダメだなと感じました。

・「矢口。まずは君が落ち着け」
・カヨコがおばあさんの国を語るシーン(市村崑監督を思わせる映像)

・ドイツ バーグヘッド科学電産研究所、計算に協力することで、自分たちの研究データを盗まれる可能性がある中、
「いえ ここは人間を信じましょう」
「喜んで参加すると伝えて」

⇒自衛隊だけではない。他国の人も何とかしたいと助けてくれるんです。
 グッときます。

・「巨大不明生物の活動凍結を目的とする血液凝固剤経口投与を主軸とした作戦要項”。長いですね。」
 「“ゴジラ凍結作戦”も子供っぽいですから、“ヤシオリ作戦”としましょう」

⇒国の運営に関わる人たちのこの教養レベル!直接、文化を守る職にない方にも、こういう素養があるといいなと思っているので、これは、こちらもニヤリとします。

・上と同じシーン國村さん
「礼はいりません。仕事ですから」
⇒作戦前にも泰然としている姿が素敵です。

そして、もう、ヤシオリ作戦ですよ!

・無人新幹線爆弾!というパワーワードに始まり、
・米国第5空軍第1波攻撃を開始するシーンここで、作戦本部上空に光線が放射されてる少し安っぽい光線が、よかった。

これは、映画館で見たほうがいい。上に光線が通過する感覚が、作戦に参加してる感半端ない。一番前の席だと感じにくかったですが、5列目より後ろあたりで見るともうたまりません。

・カヨコの立ち姿もかっこいい。

・電車(車両)好きな人は悲しかった人もいたらしいけど・・
「無人在来線爆弾、全車投入!」
って言いたい!

・尾頭ヒロミ さんの「よかった……」
これは、2回目に映画館に行ったときに、(作中で、ゴジラに関わった自衛隊、各省庁人たちの顔が浮かび)涙ぐみました。


海外の人に共有しにくそう問題

いいところばかりではありませんね。
ここまで、多量な情報が、うまくまとまってる作品も見たことがないので、海外の人にも、おもしろがってほしいなぁと思いました。

しかし、それは難しそうです。

・ステレオタイプの政治家の違い

・長い日本語を短い言い得た文章に直せなそう
(日本語字幕でも、洋画の翻訳の問題があるように)

・カヨコ問題(出自としゃべる英語の違い)
「シン・ゴジラ カヨコ 英語 」で検索してみてください。

もしうまく伝えるなら、海外では、カヨコのセリフを吹きかえるなどしないといけないかなと。


キャスト

最後に、キャストについて。おもしろ配役も多かったですね。

柄本明さん、過去、ゴジラと対決してますし、
嶋田久作さん、東京を核攻撃しようとするアメリカに対して、怒ってますけど、あなた、東京滅ぼそうとしてますからね。。

なんと329人、名前のあるキャストがいるんです!

映画館に行くたびに思いました。

なぜ、俺の名前がスタッフロールにないのか!
(役者でもないし、製作に絡んでないからね)

なぜ、会議にオレが出席していないのか?
逃げ惑う人たちの中に俺がいないのか!
エキストラ参加してないからね。

もう、次にこういう作品に出会ったら、オレも作品に存在したい!
強くそう思いました。

2017年、エキストラ登録しました。

プロトンビームを自分で吐いちゃう人とノリは変わりないですね。

てか、「シン・ゴジラ」の諸々は、岡田斗司夫さんが語ったものや、
以下にある田中泰延さんが書いたものを読んでりゃ、だいたい満足できる回答があるはずです。

私が書いたものは、ただの自己満足です。


5歳の息子も好きになってくれて嬉しいです。
(写真は4歳のとき、東京駅をバックに妻が撮影)

手のひらが上向きなところが素晴らしい。

ただ彼は「ゴジラ FINAL WARS」のゴジラが一番好きだそうです。蹴ってよし、殴ってよし、だそうです。(私は見てないので知りません)

いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。