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キャンプ事始めに、生きる力の獲得からはどうでしょう #ほぼ日の學校

「ほぼ日の學校」アドベントカレンダー22日目の授業紹介は、
伊澤直人さんの『生きる力を養おう。 防災サバイバルキャンプ〈基礎編〉』です。

授業紹介・視聴動機

生きる力を養おう。 防災サバイバルキャンプ〈基礎編〉
伊澤直人 (野営家)

アウトドアの魅力を発信している伊澤直人さん。教えているのは、ただのアウトドア術ではありません。野外で生活するスキルは、“生きる力”。その能力は、いざという災害時にも役立ちます。今回の講義では、「防災サバイバルキャンプ」というプログラムを通して、備えておきたい基礎的なスキルと考え方を教えていただきます。
公開日:2022.05.18

伊澤直人(いさわなおと)
野営家

幼少よりボーイスカウト活動に参加、18歳でスカウト活動に於ける最高賞を受勲し、総理大臣と皇太子殿下に拝謁。 さらに技術と経験を磨くため、米国発アウトドア・サバイバルスクールにてトレーニングを積み、卒業後は運営側として個人向け及び法人企業研修を実施。その後、東京で会社員生活を送る傍ら、週末のラフティングや野外学校の運営に携わる。 阪神淡路大震災ではTV取材班に随行し、報道されない現場の実情を経験。また、東日本大震災ではボランティアとして津波被害の復旧作業に携わり、被災者の避難生活を支援。これがきっかけで15年間の会社員生活からの卒業を決意し、起業。管理されたアウトドアではなく、本物の自然を感じられる”野営”を経験し楽しむ「週末冒険会」を運営。自らの力と自己責任で、自然の中で過ごせる人材を育成している。

キャンプには最近興味があります。
ただ土日は予定が入ることが多くて、行けません。初心者なので、最初は誰かと一緒に行きたい。でも土日を除いて、平日、いきなり誰かと休みを合わせて一緒に行くというハードルを越えられず、二年くらいが経ちました。

たまに見るYouTubeも、レベルが高い。とりあえず、1回、2回行ってみたい。少しでもキャンプに関わるきっかけが欲しくて視聴しました。

伊澤直人さんの言葉

「キャンプ」というより、「サバイバル」にフォーカスされた授業でした。生き残ること、お金を稼いで食べ物と交換することも含めて、生き残るとは何か、そこからのスタートです。

生きていく中で、実際にはできるけど、依存しているものがたくさんあります。料理できるけど、買ってきたものを食べる。歩けるけど、しんどいからタクシーに乗る。しかし、災害時は、急にできることは自分でやるということを突きつけられます。当たり前のインフラが機能しない、必要なものが手に入らない、快適に過ごすためのエアコンもない。

だから、自力でできることを増やそう。何かに依存していることを減らそう、が、授業のスタートでした。

命を守るために最低限必要なスキル

まず、道具も必要なものは、何か、なんでが必要なのか? からスタートします。

でも なんでテントを使うか
もっと言って その家
屋根があって 壁があるの
なんでですか?
考えると屋根というのは雨や雪
そういったものを防ぐと
じゃあなんで雨を防がなきゃと
オーストラリアのアボリジニーは
濡れるのを全く気にしないって話
聞いたことあります
べつにあの人たち濡れても気にしないのに
なんで俺らは気にするのかって
一つは濡れて気持ちが悪いから
というのもありますけど
生命に対する影響ということで言えば
この時期とくに体が濡れて冷えたら
体温が下がって低体温になります
だから体濡らしちゃいけないから
ゆっくり体を休めるのに屋根が必要
雨が降ってるから
今日は晴れてますよね このあと
どう天候が変化するか
わかんないですけど
逆に言えば雨降らないんだったら
「屋根の意味ってあるの?」って
話になるわけです

3日間命をつなぐその最低限の
底辺にあるレベルのスキル
あるいは知識それに伴う装備
これを持って過ごす
ここを基準に考えてもらいたい


快適な場所を見極める
・地面の凸凹や傾斜
・雨水の水路になるくぼみ
・風、陽射しを避ける

危険な場所を避ける
・増水する川
・崖の上、崖の下
・潮位、波の高さ
・落雷
・木からの落下物

焚き火(焚き火台を使わず直火で)

寝る場所の確保の次は、火。焚火です。
夜の明かり、LEDのヘッドライトでは寒々しい。暖をとる必要もあります。防災食はそのまま食べれるものも多いですが、温かいものを食べたい。
生きるだけなら3日乾パンだけでもいいけど、本当に寒い時のいっぱいのお茶が必要になる時もある。

今日はうちは直火
地面に直接やる焚き火やります
今 キャンプ場では
焚き火台を使わないとほとんど
焚き火できなくなってますけど


ほとんど料理とか暖房とか
照明には役に立たない
生活していくサバイバルするための
焚き火というのは
直火になりますから
被災した時にね
直火だ 焚き火台だ
なんて言ってられないし
だいたい防災リュックに
焚き火台入れてくんですかってね
そんなもん入れるなら食料入れてくわ
って話になりますから
直火で焚き火してもらうんですけど

その時にこのかまどというのを
組んでもらうようになりますんで
そしてその組んだかまどに
今 言った燃料を
火がおきやすいように組んで
じゃあライターやマッチの火を引火させますよ
ここまで持っていくのが
ステップ1の準備になります


2番目が火おこし いわゆる着火
今 ステップ1で準備した燃料に
火をつけて燃え上がらせる
ただここでよくあるのが
バーッと燃えて
「火がついた 焚き火できたOK」
と言ってると 5分後にね
ベショッとなって消えちゃうんです
これを避けるには
中に燠(おき)ってわかります?
真っ赤に燃えてるあの...


あれを薪を燃やして同じような状態に
かまどの中にいっぱいに蓄える
これをやるとあの燠って
ものすごい熱量が高くて
持続するんですね
そうするとちょっとやそっとや
ほっといて燃料が足りなくなっても
火消えませんし
小雨ぐらいじゃ全然消えません
そうなると他の作業をする
時間の余裕ができたりするんですけど
そこまで持っていかないうちに
「ああ 焚き火できた」とやってると
こっちで野菜切ったりしてる間に
「あれ?火消えちゃった」
もう一回最初からやり直しになる
ステップ2のゴールは
火をつけたらその燠を
かまどの中にたくさん蓄える
これがゴールになります

最後のステップ3
実は焚き火というと
皆さんの火おこしの方法とか
そのために使うファイヤースターター
とかそのへんだいたいみんな
フォーカスして話するんですけど
実は火なんかおきりゃいいんです
なんでも
着火剤使おうが
ガソリンをぶっかけようが
何だっていいんです(火が)おきれば
それよりも大事なのは
さっき言ったようにこれ
生活に生きていくための焚き火なんで
料理には料理に向いた燃やし方
暖房には暖房に向いた焚き火のやり方
明かりには明かりに向いた
燃やし方ってあるんです
これを自在に
コントロールできるようになって
究極は寝ている間も消えずに
朝までずっと種火が残る
こういう燃やし方ができるように
なることがすごく大事です

例えばこれから冬 寒い日
1人で山の中で寝てます
それなりに寒いから
それなりの寝袋を持っていかないと
耐えられませんよね
焚き火を燃やしたまま
そのわきで寝ることができれば
あったかいんで
寝袋をワンサイズダウン
できるんですよ
俺 いつもそうやって寝てますから


火おこし これからやるから
わかると思うんですけど
最初ね着火するのって大変です
それはかまどの中の温度が
上がってないからなんですけど
これが燃え続けていると
かまどの中が乾燥して
温まった状態になってるんで
朝の火おこしがすごく早いです
種火が残ってるとフーッて息吹いたら
灰の中に赤いホタルみたいに
燃えているやつが残ってたら
そこにまた落ち葉とかをやって
フッてやればポッとつきますんで
これができるとできないとでは
30分以上スピードが違いますんで
そうすると朝起きた時に「ああ寒い」
すぐ火おこして お湯飲んで
お茶飲んで ご飯食べて
ちょっと今日 水の配給が来るから
ポリタンクを持って
並びに行かなきゃとかね


この3つ目を
「火の維持と管理」と呼んでますけど
ただこれは今言って説明したからって
「はいじゃあやってみましょう」って
できるわけじゃないんで
これは一個一個 今日
皆さん焚き火した後に
料理する時こういう火が必要なんだよ
暖房にはこういう火が必要なんだよ
長く持たせるにはこういう燃やし方が
必要なんだって説明しますので
それを見たうえでこれから
繰り返し繰り返し
練習していってください

まずはステップ2の火おこしの完成形
燠をしっかり蓄えるのをそれを
今日のゴールとしたいと思いますんで
そこを目指してまずはステップ1の
薪集めとかまど作り 組む
火おこしたら
しっかり燃やして燠をためる
これ時間制限は問いませんから
とはいえもう太陽はあそこですよね
だいたい5時過ぎには暗くなります
あと1時間ちょっとです
暗くなってくると
色々やりづらいですからね
それまでにどれだけ要領よく集めて
火をおこせるかというのも
一つ勉強になりますんで
とりあえず今言ったので
やってみてください

命を守るために最低限必要なもの

最低限必要なもの… って多いよーーーー

衣食住で並べたんですけど
こちらは「衣類」ですね

まず下着の予備ですね
必ず1セット
持っていきます
下にあるのは
防水の真空圧縮バッグです
持っていった下着が
びしょ濡れだったら話にならないので
それに入れて持っていきます

これは薄手のダウンジャケットです
夏でも 薄手のフリースとかぐらいは
必ず入れとくようにはします
水に濡れると 体温をものすごく
奪われますので
あと 汗かいた時もそうですけど
そのために防寒着は
どこに行くにも薄手のやつは
1個入れといたほうがいいです

これは 雨具の下ですね
雨具の上は 向こうにあるジャケット
登山でいうようなアウターシェルって
やつですけど
風をブロックするのと同時に
ゴアテックスという 雨を通さずに
汗とかを出す生地になってますんで
ジャケットは上に着てる想定なんで
下だけ いま中に入れてます

これも雨具なんですけど
ポンチョですね
ポンチョは雨具として使うこともありますけれど
それ以外にも けっこう多目的に
例えばシェルターだけじゃ足りないとか
雨が吹き込んでくる時に
寝袋の上にかけてみたりとか
もちろん 寝袋だけで寒い時に
もう1枚 毛布の代わりとは
言わないですけど
簡易的な寝袋の代わりに
使ってみたりとかということで
活動する時には
上下セパレートの方がいいですけど
多目的に使って
雨もしのぐという目的だと
ポンチョが便利かなと

あとは 作業用の革手袋ですね
軍手でもいいんですが
軍手だとどうしてもトゲが刺さったり
熱いもの 火を扱う時に困っちゃうので


これが だいたい衣食住の「衣」で
ちょっと「食」がきょうは少ないんですけど

あれは ソラマメ型のお鍋兼コップ兼みたいな
調理器具
になっています

その下は 固形燃料を入れる簡単なコンロですね
ちょっとお湯を沸かして温かいものを飲むとか
被災地で言えば
フリーズドライとかレトルトを食べる
というような時に使います

これは ヘッドランプと予備電池ですね
ヘッドランプは すごく大事なので
必ず予備電池も持っていきます

これは いわゆる火口と言われる
火を起こす時の 最初の着火剤
するものです
いまは 牛乳パックと白樺の皮
これをジップロックに入れて
必ず しけらないように
防水処置をほどこして持っていく


衣食住の「住」のところになりまして
寝袋 いちばん上
その下が 背中に寝る時に敷くマットですね
これは空気を入れるタイプのマットです
その下が シェルターを作るための3m四方のナイロンの一枚布です

そして ロープ
これもシェルターを立てたり
ロープは多目的に使うので
シェルターの中にも
キットとして入ってますけど
それ以外にもだいたい10m分ぐらいロープは持っていきます

あとは細かいものですけど
刃物類
今回は被災地なんで あんまり
木を切ったり薪を割ったりって
いうことを考えてませんから
重さと携行性を考えると
折りたたみの
フォールディングナイフを1本
折りたたみになっているナイフです

ロックがかかる
少し ある程度 肉厚なんで
普通の折りたたみナイフよりも
多少ですけど 力のいるような
作業にも使ってます

あとは スマホ出してませんけど
通信機のバッテリーという意味で
予備バッテリーですね

あとは メモ帳
ライター マッチ ろうそく

これも火種として
火種は すごく大事なんで
必ず複数
いま2個しか出してませんけど
実はこのポーチの中に
まだ2個ぐらい入ってます

黒いビニールテープ
いろいろ補修用とかに使います

ビンは ハッカ油です
虫とかダニとかアブとかブヨよけ
水とかアルコールでのばして使います

最後に グレーのポーチ
小さい入れ物は
これは個人用の救急キットです
自分に使うものなんで
最小限のものしか入ってないです
これに 水と食料という感じで
1泊か2泊分ぐらいになります

まとめ

キャンプについて知りたいという動機ですが、Youtubeを見ても本当に始められる気がしません。どうせわからないところからスタートするなら、生きるため、ここからスタートするのはいいかもしれません。あくまで娯楽として楽しみたいという動機ですが、それが生きる力にもなるのはいいですね。

後半、〈応用編〉の授業もあります。

生きる力を養おう。防災サバイバルキャンプ〈応用編〉

2023年は、平日、ソロキャンプデビューしようかなー


いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。