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モヤモヤした日常、なおも脱せず(26首)

近況

うまくならないまま歌を詠むことを続けるのは大変だ。でも、歌という形に惹かれて、この形で表現したいと思う気持ちも出てきた。もうちょい、歌のことを勉強してからでもいいじゃないか・・そうも思う。そんなとき、これを読んだ。

 初めての歌集『サラダ記念日』が、思いがけずベストセラーになり、社会現象とまで言われた頃は、毎日が嵐だった。高校の教師をしながら、取材を受けたり、著者としての活動(サイン会や講演)をしたり。時間的にも肉体的にもギリギリの日々。そんななか、佐佐木先生と対談する機会があった。授業を終え、へろへろな感じで対談場所にたどり着き、たぶん対談中もへろへろだった私。別れぎわに先生が二つのことを言ってくださった。
一つめは「いろんな依頼があって大変だろうけど、短歌作品の依頼だけは断るな」である。正直、ええーっと思った。歌集が売れてからというもの、やたらと作品の依頼が来るようになり、もう限界だと感じていた。こんな状態で短歌を詠んで質を落としたくない、数は絞っても水準を保ちたい……と考えていた。が、今思うとそれは「逃げ」だし、本末転倒だった。

俵万智さんでもこんなことを思った日があったのね。私はもっともっと手前の話だから、歌を学んでから詠み出すというのでもいいと思う。けど、ほぼ日の学校で、一日一首という宿題をいただいた。いいきっかけだったと思って、引き続き、毎日、下手でもいいから詠んでいこう。そしてうまくなるために、俵万智さんの歌をはじめ、歌を体に入れることもしていこう。

6月後半の歌たち

6/16日
カフェ探す通りに入るもんじゃ屋だ もんじゃ屋ばかりのもんじゃストリート
イモムシにてんとう虫にモンシロチョウ 触れる虫たち喜ぶ息子
リアルでは触れる機会も少なくて 今日はモンシロチョウと踊ろう
(「塔」短歌会7/20締切)

6/17月
床のシミふとしたときに顔に見え表情みつめる社長講話で
ダラダラと仕事の素ぶりするけれど明日は明日こそ貢献しよう

6/18火
メンヘラな二人が飲むという火曜 終わったときの気分どうなる?

6/19水
ハピネスを計測するというアプリ藁にもすがる健全への道
箱庭に思うものみな置かんとす どろどろしたもの仕事になるもの
箱庭は無意識の面見てとれる 嫌いや気持ち悪いもあって
温度ない関係はいま冷たいと感じ家出る算段をする

6/20木
落ち着いた日常思いニヤケ顔 そんな日常嘗つてあったか?

6/21金
発表の前日の仕事うわの空 とはいかず頭 煙噴いてる

6/22土
発表を待つ間(ま)心を鎮めおり 楽しむ、楽しもう、いや楽しむぞ
発表まで2時間を切る 腕を組む心音うるさく腕組みを解く
→発表まで2時間を切る腕を組み心音うるさく腕組みを解く
(「塔」短歌会7/20締切)
発表終わりビールの缶に口つけるこんなにうまいものは世に無し

6/23日
発表の翌日は気を楽にして勉強モード仕事モードで

6/24月
昼食と眠気の関係まだ知らぬ法則があり今日も格闘
満員の電車身動き取れなくて女性を避けておっさんに寄る

6/25火
夏近き雰囲気感じ「だるまや」で冷しそばなど食いて落ちつく

6/26水
退職が知れる日が来たやっと来た カレンダー埋める酒のマークで
書くことがこの身を立てる第一と思うも呑んで筆が進まず

6/27木
あゝ嫌だ 仕事のやる気消え失せた やることはある明日も出勤

6/28金
二人席一人は照れを強くみせ この二人共に朝ヒバリ聞く

6/29土
「好き」「苦手」お互いのこと話すとき 自分のことが、ふと、好きになり
「好き」「苦手」お互いのこと話すとき自分のことがふと好きになり
字数制限から詰め
(「塔」短歌会7/20締切)

6/30日
睡眠の導入のため枕元 置きしビールを朝に飲み干す
(「塔」短歌会7/20締切)
子は早起き 親は昼まで起き出さず 申し訳なくアプリを落とす

あとがき

仕事もプライベートも、あれもこれもいっぱいいっぱいだし落ち着かない。いよいよ8月から新たな職場だというのに、気分が悪い日が多い。一日5分、10分の作歌の時間は大事にしよう。

いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。