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いいものを仕入れて魅せるという当たり前があったヴィレッジヴァンガード #ほぼ日の學校

「ほぼ日の學校」アドベントカレンダー7日目の授業紹介は、
ヴィレッジヴァンガードの広報、長谷川朗さんの『ヴィレッジヴァンガードは、商品を「“勝手に”応援する」。』です。

授業の紹介と視聴動機

ヴィレッジヴァンガードは、商品を「“勝手に”応援する」。
長谷川朗 (ヴィレッジヴァンガード広報担当、絵本作家)

ヴィレッジヴァンガードの雑然とも言えそうな店内には、スタッフによる「思い入れの強い商品」が所狭しと並んでいます。応援したいからたくさん仕入れ、推したい気持ちで手書きPOP(ポップ)を作ります。もちろん、売上のバランスも考えつつ...長谷川朗さんに、ヴィレヴァン下北沢店内で「勝手に応援」の文化について語ってもらいました。
公開日:2022.01.12

はせがわあきら
長谷川朗

ヴィレッジヴァンガード広報担当、絵本作家
1982年北九州市生まれ。大学を卒業後、地元小学校での非常勤講師を経て、地元のヴィレッジヴァンガードにアルバイトで入社。小倉、新潟、高円寺で店長、マネージャーを経て、下北沢店の次長として10年間在籍、現在は、本部プロモーション戦略室。仕事と並行して絵を描き、個展も定期的に行う。HBファイルコンペで仲條正義賞受賞。2020年に穂村弘さんとの共著『しんかんせん!』で絵本デビュー。

あのときめく空間は、どうやって作られてるんだろう。

絶対、自分では探してこれない本、こんな(タイトルの)本読みたかった!と目をキラキラさせて店内を彷徨ってしまう。あの空間の秘密を知りたいと思ってました。もうヴィレッジヴァンガードを知った時には、大人になっていましたが、ここでバイトしたいと思ってました。

それに、以前、ECサイトの運営をしていた時、リアルな売り場の魅力をどうオンラインのサイトに実現するかを考えていたことがあったので、魅力的な店づくりの仕組みには興味がありました。

長谷川さんの言葉

仕入れ

やっぱ仕入れの魅力が気になります。

これはもうフィーリングです
現場の人は売れ筋が一番わかるので
お店によって
同じコンテンツでも
売れる売れないは出てくるので
下北沢店とイオンさんに入ってる
ヴィレッジヴァンガードでは
やっぱり売れるものが違ったり
やっぱり現場で
何がその時よく売れてるか
売れ筋のデータも見ながら
現場の人の判断で配置を決めていく
どこにどう配置するか
メイン沿いなのか ちょっと奥なのか
それは全部現場ですね

昔ほどはやっぱり
なかなか自由がきかなくなってきた
ヴィレッジヴァンガード
30何年の歴史ありますけど
最初の頃は
好きなものが入荷できない
という問題が結構大きくて
だったらどうやって
いま入荷できるものを工夫して売るか
みたいなところから始まった

それが会社が大きくなるにつれて
欲しいものや いま旬なものが
最近は入るようになってきたので
売れるものが売上を作ってるので
結構メインにくることが多いんですけど
やっぱり売りたいものも
中には混ぜ込んで行く
そこのバランスも
全部が全部売れるものだと
他の小売店と同じになってしまうので
お客様がヴィレッジヴァンガードに
求めてるものは やっぱり
ちょっとひねったものとか
重要になってくると思うので
そこのバランスは現場で考えてます

当たり前ですけど、売りたいもの、自分が知ってほしいものだけ売るんじゃないんですね! 売上・利益を作らないと続けられない。そして、好きなものも仕入れられない。

『ドラえもん』を筆頭に
『ナウシカ』のコミックとか
大友克洋さんの『AKIRA』とか
世間的にはテレビやオリンピックで
話題になったタイミングで
売れたりするんですけど
ヴィレッジヴァンガードは
ずっと売り続けて ずっと多面で
全巻面陳してる 常に何年も

誰が最初にドカ積みして売ろうと
言ったかわからないんですけど
やっぱり売れてて
ヴィレッジヴァンガードのお客さんは
いいものはちゃんと気付いてくれて
ずっと売れ続けるから
それがどんどん派生して
どこの店舗でも売れ続けている
という感じはあります

自分たちもアンテナ常に張って、いいものを見つけたいと思うと同時に、いいものはお客様もわかってくれると信じてくれてる関係がいいですね。

もちろん、いいと信じて売って、売れなかったものもあるでしょう。でも、また別の店員さんのいいものアンテナにひっかかって、また積まれることもあるでしょう。

僕も先輩から聞いてきた
いい言葉があって
「書籍はお客様が見つけた時が新刊」
といういい言葉があって
仕入れる人に思いがあって、
それを届けたいと思い、
ちゃんと届くという関係性がいい。

ECをやっていたので、メーカーの都合で、これも売ってほしいという要望で商品を並べることがあることを知っています。もちろん、ECなので、倉庫が圧迫されない限りどれだけ並べてもいいんですけど、扱う商品が厳選できるのであれば、サイトももっとシンプルになるかもしれません。届けたい商品をちゃんと仕入れる、お客様のヴィレッジヴァンガードへの期待に応える、変わった店ですけど、当たり前のことをやってるんですね。

POP

商品を魅力的に見せる、大きく売るための技術にPOPがあります。
ECサイトでは、POPに代わるものってなんでしょうね。商品ページのキャプションは、商品を見に行かないと見れない。特集ページとも違う。商品の評価、口コミで人気のものをリストの上位に上げることとも違う。ちょっと独特のアイテムですよね。

ネットでは 誰かが紹介したとか
新刊とか ランキングに入ってるとか
そういう見つけ方しかできないと思う
ヴィレッジヴァンガードは
洋服屋さんと違って
一人ひとりに接客するのは難しいので
すっごい面白いものがあって
毎日買いに来てくれるあの人に
これも薦めたいとか気持ちはあるけど
なかなか伝えられないので
その接客の代わりがPOP
みたいなところはあって
細かく読まなくても
ビジュアルで飛び込んでくるぐらいの
POPで簡単に書いてあげて
この本にPOPつける時に
『ボールのようなことば。』と
タイトルだけ書くのは違ってて
本の帯に書いてある言葉を
そのまま書いても
2回書く意味ないので
それはやらないようにして
ここに載ってない付加価値を付ける
それがPOPの仕事だと思うので
例えば当時
僕がこれに付けてたPOPが
「ほぼ日」に絡めて
ほぼ毎日読みたい糸井さんの本
とPOPを書いて売ってた
やっぱりPOPは
うんちくも含めてプラスαの
その商品の価値を引き出す
お客さんにプラスαで
実はこうなんですよ
と教えてあげることで

魅力を伝えるための工夫、仕入れた人の熱量を伝える装置、その人なりの工夫の結晶。POPのことがもう少し知りたくなりました。POPと言えば、ドン・キホーテさんも独特ですよね。いずれ、POPについて研究してみたいと思います(店舗とかで写真撮って収集しよう)。

まとめ

小売りの場合、商品を仕入れる人、倉庫の人、顧客とのメール・電話対応、
システム部門の人、それぞれいて、だいたいは、仕入れる人が一番強い、発言権があることが多いでしょう。店舗に並ぶ商品力が店の魅力を決め、売上を作るからです。

仕入れる人たちが働きやすい現場がいいんだと思います。

発言権の強くないシステム部門に居た身としては、システム部門の方の気持ちも聞いてみたいところですね。

魅力を知るには、短い授業でしたけど、想いある言葉が聞けてよかったです。

僕がヴィレッジヴァンガードについて
一番強く思ってることは
自分の好きなものを人に伝えられるところが
やっぱり一番大きいと思ってて
それが商売として成り立つ会社は
少ないと思うんですけど
入ったばかりのバイトから社員まで
全員それが実現できる土台だと思うので
それをもっと広げていきたいな
とは思ってます


いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。