見出し画像

広告は、描写ではなく、解決するもの #ほぼ日の學校

「ほぼ日の學校」アドベントカレンダー16日目の授業紹介は、
谷山雅計さんの『広告コピーを書く機会って、あんがいありますよ。』です。

授業紹介・視聴動機

広告コピーを書く機会って、あんがいありますよ。
谷山雅計 (谷山広告 クリエイティブディレクター/コピーライター、東京コピーライターズクラブ会長)

東京コピーライターズクラブ(TCC)のメンバーが、リレー形式で授業をやってくれます。まずは、会長の谷山さん(教え上手と言われている)の「基本のコピー講座」から。
公開日:2021.07.05

谷山雅計(たにやままさかず)
谷山広告 クリエイティブディレクター/コピーライター、東京コピーライターズクラブ会長

1961年大阪府生まれ。84年東京大学教養学部教養学科アメリカ科卒業、同年博報堂入社。97年(有)谷山広告設立。資生堂「TSUBAKI」、東京ガス「ガスパッチョ!」、新潮文庫「Yonda?キャンペーン」、東洋水産「マルちゃん正麺」などを手がける。 著作に「広告コピーってこう書くんだ!読本」「広告コピーってこう書くんだ!相談室」宣伝会議刊。 TCC賞、ACC賞、朝日広告賞、毎日広告賞、日経広告賞、新聞協会広告賞、アドフェストグランプリ、カンヌシルバー、クリオゴールド他多数受賞。

一年半前に一度、視聴しました。

最近、仕事で、イベントタイトルを考えてほしいと言われたり、メールの文面と件名を考えてほしい、といった依頼を受けることがあります。以前より、コピーを作る能力が求められる回数が増えています。以前よりずっと必要を感じている今、新しい気づきがあるんでしょうか?

谷山雅計さんの言葉

コピーライターとは

コピーライターは
僕は思うのは
広告の仕組みや戦略を
考えて“モノを売る知恵”を
360度考える人間です
言葉コピーも考えますけれども
CMも考えます 商品開発を
ゼロから手掛けることもあります
広告のすべてを考える
と言いましたが
取っ掛かりになる最大の武器が
言葉=コピーである
ってとこがコピーライターなんですよ

頭から、だいぶ反省しないといけない言葉ですね。
製品もサービスもよくわかってないのに、企画のタイトルだけ考えることがあって… そんなんそっちのほうが詳しいでしょと思いながらも、
役立つならとつい、薄っぺらい言葉を提案することがあって… うわべだけで仕事して… まったく。

お題「双眼鏡をもっと売るコピーを考えてください」

考え方「双眼鏡が世の中でどんな状況にあるか」

非常に複雑なマーケティングじゃなくても この商品が今
すごく売れてて人気がある商品なのか
それともあんまり使われていない
不人気の商品なのか考える事で
変わってくるわけですね

谷山さんの話の途中で、これは今、流行ってる、よく見かける、みたいな発言が多いですが、そこにすごく敏感なんだと思います。まず、そのものが使われているかどうか、使われてなければ、似た使われてるものに寄せれないか、とか。もっと敏感にならないとなぁ。

良くないコピー例

よくないコピーの例っていうのをお見せしたいと思うんですよ

“視力8.0の世界を あなたに”

“のぞけば どこでも最前列”

“ステージの上のあの人に近づく方法”

全然ダメだと思う

一応商品の説明してるし
いいことを言ってる
ような気がするし

さっきの3つのコピーってのは
“双眼鏡は遠くがよく見えますよ”っていうことを
言葉を変えて言ってるんですね

双眼鏡は遠くのものがよく見える道具だ
っていうことを知らない人って
今のこの世の中にいるんでしょうか?

ここで言いたいですね
コピーは“描写”ではない
コピーは“解決”である

コピーって上手に描写することだと
思ってるんですよ 大概最初は
コピーって今ある状況を
何かかっこいい言葉で言い換えたり
何か面白い言葉で言い換えたり
何か気の利いた言葉のいい方にして
上手に描写するっていうことが
コピーだって思ってるけど
そうではない

「双眼鏡なんか全然自分には関係ないよ」と思ってる人が
ある言葉を見たら
「あれ そういう意味だったらこの双眼鏡は俺にも
関係あるかもしれない」
っていうふうに気持ちを変化させる
気付きや発見を見つけていくっていう

描写ではなく、解決。
これは前に視聴した時も、なるほど、と思ったのに、同じようになるほど、と思いました。何、理解したことを言い表そうとだけしちゃうんだろ…

例えば、こんなコピー

例えばこんなコピーは
どうかなっていう例をあげています
“地震のそなえに双眼鏡”

「防災袋の中に双眼鏡入れておきませんか?」っていうのね

「防災グッズって考え方もあるのか」
っていうふうに何人かの気持ちの
中でモノの見え方が変わっている
「自分と双眼鏡にも接点がある」
って思わせることになってる
んじゃないかなって

使用シーンを広げる

単純に双眼鏡の
“シーン広げたいよね”って

ちょっと(例を)話していきます

“せっかくの世界遺産ツアーだから”

“車イスには双眼鏡を”

“高層マンションに住む人に”

描写ではなく、解決を提案する。今、使われていないものなら、今までの使い方以外を提案する。これなー、こういうことしたい製品を扱ってんだけどなー、出てこないなぁ… 

他人の幸せを想像する

“他人の幸せをきちんと想像してみよう”

“はじめてゲーム以外のプレゼントを子供に贈る”


“あなたのお子さんの想像力とか行動力とかを伸ばすための知育グッズですよ”

“めっきり外に出なくなったおじいちゃんには双眼鏡をプレゼントしてください”

今言ったようなコピー
書いたのは20代の人なんですよ
20代の私が
“70代のお爺ちゃんに双眼鏡はどんな幸せを与えられるか”
“小さな子供を持ってる親御さんに双眼鏡はどんな幸せを与えるか”
っていうことをいくつも
たくさんのことを考えていく
それが広告のコピーっていう
モノの考え方な訳です

誰かの幸せのことを考えないといけないですね。

新しいものに見せる

双眼鏡をもっと
“新しいものに見せていこう”

例えば何ですけど
“「ビノキュラー」と呼んでみよう”
考え方として古臭いなと
思われている現状において
モノを変えていくときに
新しい呼び名をつけて
新しく見せていこうってのは
考えるキッカケになることなんです

「なんかちょっとうざったいから“SGK”くらいにしとくか」
って言っても
意外に“SGK”ぐらいの言い方でも
何かそういうブログとか
SNS的なところで
“SGK”ていってたらちょっとは
若い人にとって自分に近づいたりする
可能性もなくはない

あともう1個
双眼鏡に新しい名前を
つけるんじゃなくて
“双眼鏡でものを見る”っていう
行為に名付けるっていう
考えもあるんですよ

製品名を新しくするってのは、難しい。けど、簡単ではないけれど、行為に名前をつけるって、うまくいくとバズりそう。

“ニコン オリンパス ライカあの有名なブランド製です”

そういうところから出ているっていうのを知るだけでも
全く縁がない人にとっては
それが新しい情報になりうるってこと

“東急ハンズに売っています”
単なる事実だと思うかもしれないけど
今 双眼鏡と全然縁がない人は
そもそもどこに売ってるかすら
全くイメージしてないんですよ

事実だけど、発見がある。こういうことっていいなぁ。

コピーの先にある展開

“昔憧れた主人公はみんな必ず持っていた”
言葉を考えずに言葉の先にあるモノ売るっていうことも
考えてやっているってのがコピーライターだなと思います

“両手のひらであたためた景色を君にゆずろう”
ちょっと古風だけどすごい上手な描写だな
って思って
描写もこれぐらいうまいと何かの力になるんじゃないかな
って思ったコピーです

おそらく男女が隣り合っていて座ってるのか
男が見てた双眼鏡を隣の彼女に渡して
見てごらんよっていうのを
“両手のひらであたためた景色を君にゆずろう”って言ってるんで
ちょい前時代的な感じはするけど
すごいうまい描写だなって思って
さっき言った
“描写”じゃない“解決”だ
って言ってる俺でも
この描写には何か
人の心を動かす力があるな
と思うんですよ

例にあげたコピーは
善し悪しの幅があるにしろね
“何かを変えよう何かを新しくしよう何かを解決しようという”
意思は持ってると思うんです

新しい視点を入れる。簡単じゃないけど、気づきを与えるには、それを見つけてこないといけない。それを喚起する言葉を探してこないといけない。なければ、作らなきゃいけない。。

まとめ

今の流行り、(売れてる/売れてない)現状をおさえてるところがすごいですね、谷山さん。はやりの言葉、ちょっと流通してる言葉がほいほい例として出てきます。そして、会場の人の反応を見て、そのサービスが認知されてるか、最近、触れられてないかすぐに気づいちゃう。私ももっと世に出回ってるものをたくさん見ないといけないなと思いました。そして、世の中をよくしたい、新しい風を入れたい、そんな気持ちを持って仕事に臨まないとダメですね。また来年くらいにこの授業を視聴して、できてないことに凹んだりするんでしょうか。次回視聴するときは「なるほど」だけじゃなくて、あぁ、そうだ、この視点もあったな、という気づきだけに留めたい。


いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。