砂の三郎 自選 文語短歌
秋の呼び声
ため息の海を泳げる星なればフォーマルハウト(みなみのうお座)息継ぎはせじ
在りし日のシオカラトンボの複眼は死を覗きたり秋の風吹く
スナフキン背は夕映に明くして面差す影よ道行かば行け
手酌日和
「たましひの燃焼室は空だらう」
手酌講じて枝豆に問ふ
詠む歌のひなぶるがごと青首の風呂吹き大根すのおほくある
夜のエチュード
室外機羽音は雨の裏路地にブルーブラックの澱を産みたり
夢あはき風俗街が蛍火の嘘にあつまれどうぶつの森
燐光を纏うて人知れず夜半の時を食ふなりダイバーズウォッチ
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