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【農業女子にインタビュー】農業未経験からのスタート。美梨姉妹が3代目になった理由は?

こんにちは!農GIRL×農LIFEプロジェクト事務局です。

農GIRL×農LIFEでは、全国の農業女子の皆さんと一緒に、農業のイメージ向上や魅力発信、コミュニティづくりに取り組んでいます。

SNSでの農業女子紹介や、農作物のプレゼント企画、直売所での加工品販売など、様々な企画を実施してきましたが、『農業女子ひとりひとりの魅力をもっと伝えたい!』という想いから、このnoteでは農業女子により密着したインタビューを配信しています。

《前回の記事はコチラから↓↓↓》

今回は福井県・三国町にて姉妹で梨園の3代目をされている
近ちゃんふぁ〜む・みぃ(姉)さん、たぁ(妹)さん
にインタビュー。

未経験からお祖父様の経営していた梨園の3代目となり『近ちゃんふぁ〜む』と命名、今では加工品の販売も行っているおふたり。
農家を継ぐまでのエピソードや、日々のお仕事の様子、今後の目標についてたっぷりお話を伺いました♬

■未経験から梨農家になるまで

Q.おふたりはご家族が経営されている梨園の3代目ですが、小さい頃からお手伝いはしていたのですか?

ーーしていませんでした。
小さい頃はお手伝いではなく、祖父母の梨園に遊びに行っていました。その頃は「継ぐ」という気持ちもなく、農業は祖父母がするものだと思っていました。

Q.その後、お二人とも農業以外の道に進まれたのでしょうか?

みぃ:私は、小学校の卒業アルバムに『将来は美容師になりたい』と書いていたくらい、小さい時から美容に興味があり、美容専門学校を卒業後、20歳からエステティシャンとして働いてきて今年で10年になります。
本場のバリエステを習得したくてバリまで行って資格を取得した経験もあります!
現在も農業と美容のお仕事を両立していて鍼灸師の資格を取得し、美容鍼灸サロンを経営しています

たぁ:私も姉と同じく10代の時に美容専門学校に通っていて、卒業後は事務の仕事をしながら主婦として子育てをしていました。
農業に関わるようになってからは、主婦をしながら、旦那の不動産会社の手伝いもしています。

Q.それぞれ別々のお仕事をされていたようですが、農業に関わるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

ーーみぃが22歳、たぁが20歳の時、祖父が倒れたのがきっかけです
突然の出来事で、考えるよりも行動することが先でした。
収穫間近の梨を残して祖父が倒れて、どの梨を収穫していいかもわからず、とりあえず母と姉妹の3人で収穫をしました!
その時、亡くなった祖父からもっと色々と教わっていれば良かったなぁと思いました。
その後、「梨園をどうするか」という話になり、母が継ぐと言ったので、私たち姉妹は「手伝う」という形でスタートをしました。

Q.実際にお手伝いを始めてみて驚きや発見はありましたか?

ーーまず、今まで手伝いをしたことがなかったので、1年を通して作業があることに驚きました。収穫の時期に勝手に梨が実ると思っていたので……。
花が咲いたら受粉をし、実がついて摘果をし、育てる大変さを知ると同時に、何もないところから大きな梨になる成長過程を見ているうちに、とても可愛くて愛着が湧いてきたのを覚えています!

Q.当時、嬉しいと感じたことは何でしたか?

ーーやっぱり作った梨を「美味しい」と食べてもらえた時ですね。
私たちは祖父が作った梨を毎年「美味しい!」と言って食べているだけでしたが、育てる苦労を身に染みて感じた上で、自分たちが作った梨を美味しく食べてもらえた時は、言葉に表せられないほど嬉しさでいっぱいでした!

Q.そこから3代目として本格的に家業を継ごうと決意したきっかけはありましたか?

ーーお手伝いを始めて3年が経った後、祖母がなくなったのをきっかけに本腰をいれて姉妹で3代目として継いでいこうと決意をしました。
お手伝いをしたことで、祖父母が大切にしてきた梨づくりと関わり、『梨園をこのまま無くしたくない』という思いが芽生えたのが大きな要因になっていると思います。
実際に本腰をいれてからは、これまで規格外で出荷することができなかった梨を加工品にして販売するなど、家族と話し合いながら企画も始めて、農家を継ぐ不安よりも楽しさの方が大きかったです!

■家族での農園経営について

Q.近ちゃんふぁ〜むは現在何名で経営されているのですか?

ーー主に3人です。
母が代表で2代目、姉妹が3代目です。
父も2代目にあたりますが、会社員をしているので土日にお手伝いをしてくれています。

Q.『近ちゃんふぁ〜む』というお名前は、おふたりが3代目として継いでから名付けたそうですね。

ーーはい。それまで農園の名前もなく、JAさんに出荷をしているだけでしたが、『もっと地元の人に自分たちの梨を食べてもらいたい』と思い、ネット販売など、販路拡大をしたいと考えて、そこで初めて『近ちゃんふぁ〜む』という名前を名付けました!

Q.普段おふたりは主にどのようなお仕事を担当されていますか?

ーー梨の作業は家族で行っています。
仕事の担当を最初は営業が姉、事務的な仕事は妹というように分担していましたが、今では企画なども全部共同で行っています。

Q.家族で農業経営をしていて「ここがいい!」と感じるところはどんなところですか?

ーー思ったことを好きにやらせてもらえる環境があるところですかね。
父は銀行員、母も元々銀行員だったので、事業計画などがしっかりしていないと断られることもありましたが、家族なのでいつでも話し合いができて考えを理解してもらえたり、作業で大変な時も、協力しあって情報共有をできるところは良いと思います。

Q.反対に、農業をしていて大変だと思うところはありますか?

ーー農業は天候に左右されるので、雨でも収穫をしなくちゃいけない時は大変でした。
特に自然災害や、台風がきた時は本当に辛かったです。1年かけて育てた梨が落ちてしまう悲しさは何ともいえませんでした……。

Q.姉妹で農業をしていてるからこその強みを感じる部分はどんなところですか?

ーーお互い相談しあったり、助け合えるところかなぁ……。
意見が食い違うこともあるけれど、普段農業を一緒にしているからこそ、考えること、感じることが似ていて、同じ行動をしていることも多々あります。母に同じ質問をしていたり、同じものを買っていたり(笑)
あまり深く考えたことはありませんが、どちらかが欠けていたら続けていなかったと思います。

小さい頃からケンカをしても気がつけば仲直りをしていたという仲良し姉妹のみぃさんとたぁさん。
大人になっても協力し合える姉妹ってとっても素敵ですね!

■土にこだわりアリ!自慢の梨作り

Q.近ちゃんふぁ〜むさんのある、福井県坂井市三国町はどんなところですか?

ーー私たちが住んでいる坂井市や、あわら市は丘陵地です。
日当たり風通し、水はけの良い土地で、糖度の高いみずみずしい梨が育ちます。
フルーツラインという街道があり、色々と美味しい農作物が育っているだけでなく、海も近く、観光にとてもよい町です!

Q.近ちゃんふぁ〜むさんが作っている梨の種類や特徴を教えてください!

ーー幸水(こうすい)と豊水(ほうすい)、そして来年には秋月(あきづき)も実ります。
幸水は8月中旬〜下旬に収穫が始まり、甘味が強く口当たりが柔らかい、みずみずしい梨です。
豊水は9月上旬〜中旬に収穫が始まり、とても水分が多くシャキシャキと梨らしい食感で、甘味と酸味のバランスが取れた、味わい深い梨です。
秋月は甘くてシャキシャキと食感がよく、とてもジューシーなのが特徴。女性に大人気なんです!

Q.おいしい梨作りをするために、こだわっていることはありますか?

ーー美味しい梨を作るには、土作りが大切です。


祖父が土壌改良の際に“米ぬか”を撒いていたので、今でもそれを受け継いでいます。
その米ぬかにこだわって試行錯誤を重ね、現在では“米ぬかアミノ酸ぼかし”を作って散布をしています。
また、美味しい梨作りのために、栄養価の高い“越前かにのカニ殻”を肥料に使っています!人から教えてもらったやり方から、色々と今も土壌改良について模索中です。

Q.近ちゃんふぁ〜むさんオススメの梨の食べ方を教えてください!

ーー梨は冷やしてそのまま生鮮果物として食べていただくことはもちろんですが、デザート以外の料理にも合うんです!
お肉を柔らかくする効果があるので、すりおろしてお肉を漬け込んだり、焼肉のたれにしても相性抜群です★
あとは、カレーに入れるとまろやかでとろみのある美味しいカレーになるのでおすすめですよ!

お肉と梨に梨カレー、とっても意外ですよね!!
梨の収穫シーズンが来たらぜひ一度、試してみたいです

Q.近ちゃんふぁ〜むさんでは梨の加工品『美梨シリーズ』を開発されていますが、ブランド名にはどのような想いが込められていますか?

ーー“規格外で商品にならない梨が、加工品として美しく生まれ変わった”という意味合いから『美梨』と名付けました。
「美」という文字は母、姉、妹、3人の名前に入っている文字なので親しみを感じています。

《近ちゃんふぁ〜むの商品が買える場所》

・近ちゃんふぁ〜む公式HP
https://konchan-farm.com/binashi-item/

・みくにショッピングワールド「イーザ」
・三国町洋菓子店「スリール」
・きららの丘「パンの種」
・ゆりの里公園 農産物直売所「ゆりいち」
・越前カニミュージアム「うおいち」
・きららの丘「パンの種」
・あわら温泉「グランディア芳泉」
・あわら北潟温泉「湖畔荘 hanaゆらり」
・あわら温泉「まつや千千」
・~ 夕陽の見える海鮮宿 ~ 大平庵

梨から生まれた万能たれ『ものがたれ。』や、美梨と福井県のブランド牛・若狭牛が見事にマッチした『美梨カレー』など、収穫シーズンでなくても梨の美味しさを堪能できる商品がたくさん!
ぜひチェックしてみてください♪

■3代目として奮闘する日々

Q.今は冬で収穫が落ち着いている時期だと思いますが、この時期は毎日どのような作業をされているのですか?

ーー今年の梨で作った加工品のラベル貼りをしたり、納品、営業、新商品開発に向けての企画をしたりしています。
また、イベントに出店して梨の加工品で作った料理などの提供もしています。
今年はGo To福井を利用して福井を旅行されるお客様が多く、地元の旅館で取り扱っていただいている加工品が例年よりも好評なので、納品や在庫管理には特に力を入れています!

Q.新商品開発では今後、どのような商品を開発していきたいですか?

ーー毎年ひとつ新商品を発売しているのですが、近くの温泉街で旅館の若旦那や若女将をされている方の中にも私たちと同世代の方がいらっしゃったり、色々な地元の方とのご縁があるので、コラボレーションをして、福井県の特産品、お土産品となるような商品を開発したいと考えています!

Q.地域でのイベントなどにも度々出店をされていますが、他の農業女子の方との交流はありますか?

ーー私たちはまだまだ勉強の身ですが、農業をされている先輩の方との交流があります。主に梨作りについて教えていただいていて、イベントの際にはコラボ企画などの話をしています!

Q.農業と別のお仕事を両立させるために心がけていることはありますか?

みぃ:その日やることの優先順位を決めて、紙に書き出して持っています。
農業をメインにしていますが、やはりやることが多く、忘れてしまうこともあるので、とにかく書き出すことが大事だと思っています。
スマートフォンでメモするという方法もあると思うのですが、私の場合、スマートフォンをどこかに置き忘れてしまうことがあるので(笑)
作業中はスマートフォンとメモが入るような小さいポーチを身につけて、タスクと持ち物の管理をしています!

Q.毎日お忙しいと思いますが、プライベートの時間はどのように過ごしていますか?

みぃ:私は美容鍼灸サロンの仕事もしているので、健康や美容について研究をしています!
あとは、家族や地元の人と食事に行ったり、美味しいものを食べながらゆっくりする時間を満喫しています。
作業で疲れている時は、近くにあわら温泉の足湯や温泉街があるので、温泉や足湯につかって疲労回復をしています。リラックスできるし、とても気持ちがよくて最高です!

たぁ:私は子供がいるので、プライベートな時間は子供と家庭菜園をしたり、お出かけをしたりしてまったりと過ごすことが多いです。
疲れを取りたい時は、姉同様、温泉に行くこともありますが、私と母は姉にエステや鍼灸をしてもらってスッキリしています

Q.近ちゃんふぁ〜むさんがSNSを始めたきっかけを教えてください!

ーー最初に私たちが驚いたように、1年を通して梨の作業があること、梨の育ち方、大変なこともあるけれど、それ以上に楽しいことがあるということ……。福井県の梨は全国的にもあまり有名ではないけれど、良い環境の土地で美味しく育っていることを知ってもらいたいという思いから始めました。
私たちは農業をする前は、おじいちゃん、おばあちゃんがするものだと思っていたし、農業は大変だというイメージを持っていました。
しかし、自分たちが始めてみて、思ったよりも全然、楽しいという気持ちの方が大きくて☺️💕
オシャレに楽しく農業を続けていきたいという思いから、自分たちの農作業の日々を発信しています。

Q.SNSの投稿で心がけていることや、工夫していることはありますか?

ーーなるべく農作業の姿をわかりやすく発信できるようにしています。
Tik Tokの投稿を始めたばかりの時、部屋中が梨だらけになった動画を「珍しい」、「記録に残しておきたい」と思って投稿したのですが、かなり反響があって!
私たちも他の作物を作っている農家さんの投稿を見ると、驚くことがたくさんありますし、自分たちの日々の作業の様子から少しでも興味をもっていただければ嬉しいなと思います。
SNSはお客様と繋がれる場所でもあるので、そこでの繋がりも大切にしていきたいです。

Q.3代目になって5年、今感じている農業の魅力はなんですか?

ーー自分の好きなように、好きなものをつくれることです!
梨作りももちろんですが、加工品の商品開発や、ブランドのロゴデザインなど、自分たちの発想から何事にも自由に挑戦してかたちにできることがとても楽しいです。
私たちはファッションにも興味があるので、今後自分たちのオリジナルデザインで農作業着などを作ることができたらいいなと思っています。

Q.おふたりの今後の目標や夢を教えてください!

みぃ:農業と美容の両立、融合させたものを作り上げていきたいです!
まだ模索中ですが、もっともっと健康と美容を追求していきたいと思っています。
そして、農業を通して地元の方々と繋がったり、コラボレーションをしたりしながら、福井県の魅力を発信していきたいです。

たぁ:全国に福井県の梨や農作物、美味しいものなどを知っていただきたいです。
まずは福井県の特産品やお土産として認定していただけるような商品を作っていきたいと思っています!
そのためにも、近ちゃんふぁ〜むをもっと皆様に知っていただけるように頑張りたいです✨

未経験から梨農家になり、3代目として新しいことに挑戦していくみぃさん、たぁさん。
「どちらか片方が欠けていたら、農業を続けていなかった」という言葉から、姉妹の絆の強さを感じました
💭
新商品の開発、様々なジャンルとのコラボレーションなどこれからの取り組みにも期待が高まります!!

■近ちゃんふぁ〜む&農GIRL×農LIFEの情報はこちらから!

《近ちゃんふぁ〜む》

・公式HP

・Instagram
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次回は島根県の離島で繁殖農家をしている18歳の農業女子にインタビュー予定★
どうぞお楽しみに!

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