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『イマジン。』川端寛之

川端寛之さんという、会ったことも見たこともないこの男性を知ったのはいつだろうか。2019年くらいかな?
【南吹田琥珀街プロジェクト】というのをインスタか何かで発見したのがきっかけ。

特に自分の地元周辺で、なんかしらのイベントやプロジェクトが立ち上がったら【誰が・なんのために、それをしてるのか(しようとしているのか)】が気になって出来る限り調べるという悪癖があるんだけど、どうやらそのボス的な存在が川端さんらしいと。
見てみたら主に京都で不動産業をされてるらしいと。
「おいおい、余所者がウチの地元で何しでかそうとしてくれてんねん!?」
みたいな、クソダサ田舎者の悪い部分が存分に溢れてしまい(この感覚はまじでダサい恥ずかしい感覚だと思ってる)そうになりながらたどり着いた川端さんのnoteを見てみると、一瞬で虜になってしまった。

エモいって言葉はもうあまりにも大衆のものになってしまって、十数年前にごく一部の友人と色んなものごとに対して「エモいよな」とキャッキャしてたニュアンスからはずいぶん遠のいてしまった言葉のように感じるけど、川端さんのnoteは昔の言葉の意味のまま最高にエモい。

そんな感じで、川端さんのSNSはツイッター・インスタ・noteと片っ端からフォローして楽しましてもらってたんですけど、ある日インスタのストーリーズだったかな?で、「以前こんな本も出してたんだよ」的な投稿をみかけて。
概要をみてみると、なんと不動産物件の紹介本なのに写真やイラストは一切出てこず、文章だけ。
文章のみで構成された不動産紹介本。
かつてこのような不動産情報誌があっただろうか?
おもしろいなー!文庫サイズで800円ってのもお手ごろだ。
これは買うしかない!って感じでポチっと。

届いてすぐ読んだのが2019年ごろで、約3年ほどの時を経て再読です。

なんていうか、基本は賃貸物件の紹介をしてるだけなんだけど、賃貸物件の紹介という作業にこのようなアプローチが存在したのか!という驚きがあった。
間取りの話なんかほとんどしてないし、賃料や駅から徒歩〇〇分、日当たりどうこうの話も一切出てこない。ていうか細かい場所さえ出てこない。(京都の〇〇区と書かれているだけ)
それでも、いやだからこそ、読み手はその想像力を最大限働かせて、「どんな物件なんだろうか」とか「あーなるほど、それは居心地よさそうな空間だな」とか、この先出会う可能性がほぼないであろう物件に思いを馳せる。

でもそうだな。確かに、例えば、自分の友人を誰かに紹介する時、
「身長はこれくらいで~、体型はややぽっちゃり。最終学歴はどこそこの大学で、現在は〇〇に勤めてて上司からも気に入られてるみたい。そこそこ稼ぎもいいらしいよ。娘さんが1人居てはって、奥さんと三人で暮らしている人です」
なんて紹介はできるだけしたくないし、自分がもしそんな紹介のされ方しても不本意だもんな。

そんな一枚剥いだら中身が全部一緒になるようなガワの情報より、もっとその人が、その人だけがもってる感覚とか感性とか、紹介者とどういう部分で共感するのかとか、そういった話が聞きたいじゃない?

むしろそれだけでいいとさえ思える。
ましてや「家選び」のような、人生に直結する出会いの紹介の方法としては。

川端さんがこの本で書いてることは、生き方の提案なんだと思う。

決して押し付けがましくなく、あくまで「提案」。

それを、川端さん自身の言葉で、まるでポエムのように綴られていく。
独特のテンポ感のある文章がまた心地よくて。

こんな不動産やさんが居てくれてよかった。
こんな不動産やさんが吹田に関わってくれてよかった。

僕にとって、そんな幸せな気持ちにさせてくれる一冊です。


よろしくお願いしますと言わざるを得ません。