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【小説紹介】人間は恋と革命のために生まれて来た

『斜陽』(太宰治 著)

【あらすじ】
古い道徳とどこまでも争い、<太陽のように生きる>べく、道ならぬ恋に突き進んでいく29歳のかず子。
最後の貴婦人の誇りを胸に、結核で死んでいく母。
自分の体に流れる貴族の血に抗いながらも麻薬に溺れ、破滅していく弟・直治。
無頼な生活を送る小説家・上原。
戦後の動乱の時代を生きる四人四様の、滅びの美しさを描き、戦後、ベストセラーになった、太宰の代表作。


『斜陽』ってタイトル、なんか趣があっていいなあ…。

という気持ちで読み始めたのですが、想像以上にのめり込んでしまい、一日で読んでしまいました。

ぼくは太宰の作品は『走れメロス』と『人間失格』しか読んだことがないのですが、太宰の作品には「負の気配」が漂っているものが多く、つねに人間の死と切々と対峙している印象がありました

そして、その印象は本作を読んで、より一層強まりました。

本作は登場人物も少なく話の構成も捉えやすいのですが、「この作品は本当に一世紀前を生きた人の作品なのか」と思わされる洞察が多く、陳腐な表現ですが「さすが文豪!」だと思いました

共感性をベースにして読む作品ではなく、「自分には理解の行き届かないところがあるけど、なぜだが引き込まれてしまう…」と純粋な気持ちで楽しめる作品だと思います

明治の文豪の作品…まだまだ挑戦していきたいですね

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