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【小説紹介】『汝、星のごとく』 凪良ゆうさん

“その愛は、あまりにも切ない。
正しさに縛られて、愛に呪われ、
それでもわたしたちは生きていく。”

『汝、星のごとく』


【あらすじ】
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。


「わたしは愛する男のために、人生を誤りたい」

「まともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない」


帯に並ぶ、脳天を衝き抜けるような言葉たちに惹かれて衝動買いした1冊。

気になった言葉を記録して、メモを取って自分との思考を重ね合わせながらトータルで8時間かけて読んだ1冊。

何度でも言いたい、「傑作」のひとこと____。


『流浪の月』とは違った歪な愛の形を言語化してくれる著者に対して、畏敬の念を抱かずにはいられませんでした。


章を重ねるごとに登場人物たちがどんどん”暗く”なっていく様子を追体験するのは、なぜだか爽快でもあり、やっぱり苦しくもあり。


喜怒哀楽の間を何往復も静かに行き来させる物語が未だかつてあっただろうかと、本気で疑いたくなるような1冊でした。


「月」だったり「星」だったりと、人間界を見守りながら大きな光をそっと照らしてくれる天体のように、この物語も自分の人生の局面でいろんな角度から真っ直ぐな光を照らして、今まで見えていなかったもの、見て見ぬふりをしていたものをありありと映し出してくれる_________。


まさに、星のごとき1冊でした。


この本が読める場所に生まれてきて、良かったと思う。(ちょっとクサいですが、本当にそう思う)


心に染みたひとこと

“過去は変えられないと言うけれど、未来によって上書きすることはできるようだ。とはいえ、結局一番のがんばれる理由は『ここはわたしが選んだ場所』という単純な事実なのだと思う。”

『汝、星のごとく』


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