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Tableau DATA Saberの3か月の修行を通して考えたことをまとめておく

5月からヤフー社内の有志による育成プログラムである「DATA Saber Boot Camp」を受けており、先日無事最終試験に合格しました。

合格証

ということで、Tableau技術だけでなくデータドリブンな会社を目指すうえでの精神面などでも学びが多かったので、忘れる前にメモを残しておきます。

試験制度編

そもそもDATA Saberとはなんぞやという話ですが、Data Saberの制度説明にはこちらからアクセスでき、受けようと思えば誰でも受けられます。
https://datasaber.world/
Tableau技術だけでなく、データ活用、データドリブン化に関する考え方だけでも学びになりますので、ぜひそういった界隈の方は上記サイトに載っているKTChannelの動画だけでも見ていってほしいです。

以下、思ったこと。

・師匠を自分で探してきて入門しないといけないのが人見知りの自分には一番ハードルが高く、これを解決してくれたヤフーのBoot Campは神。

・3か月間でTableau技術、Tableau製品に関する知識、データドリブン、データビジュアライゼーションの考え方、社外コミュニティでの活動など様々な課題を乗り越えないといけないので、うかうかしてるとすぐ期限がくる。そこをコントロールしやすくなった(背中を押してくれる)意味でもBoot Campは神。

・上記サイト上に掲載されている10の設問ですべて満点を取らないといけないのだが、率直に言ってこれは苦行。設問自体は良いものが多いのだけど、試験制度上の問題で、翌日にならないと解答結果がわからない、どこが間違っているのかのフィードバックがない(せめて何問正解かくらいは教えてほしい)ということで、まさにセルフサービスデータ分析の真逆の世界を体感させてくれる。Saberたるものこんな世界を作るなという戒めなのかもしれないが、途中心が折れそうになったのでそろそろ改善求む。次の世代にこのしごきを残してはいけない。

・それでも詰まってしまって2週間くらい解けない問題があったときに、一緒に挑んでいるメンバーに質問できたのでやはりBoot Campは神。運営の皆さん、本当にありがとうございます。

・コミュニティへの貢献は面白かった。自分はTableau PublicへのViz投稿を6個やったけど、普段業務では扱わないデータは加工方法から可視化方法まで悩むし、逆に広がりがあってよい経験になる。今後も続けていきたい。


技術編

次は今回改めて勉強してみてよかったTableauの技術面について紹介。

・ブレットグラフ(リファレンスライン)

ブレットグラフ

目標と実績などを比較するのであればブレットグラフが本当に見やすい。初見の人でも意味をくみ取りやすいのも良い。

ブレットグラフを作るならリファレンスラインを使うのが簡単だけど、リファレンスライン自体も目標線を引くだけでなく、目標に対する%比で塗りつぶすこともできるし、標準偏差で引いたりといろいろできる。懐が深い。

・パラメータ

パラメータ

パラメータって正直まったくよくわかってなかったんだけど、パラメータを静的動的問わず設定しておいて、そのパラメータを計算式とかビンとかで呼び出すことで値として使えるってことにようやく気付く。この辺りは事例としてVizを作ってみると簡単に理解できた。

上記画像のようなパラメータコントロールを使ったシミュレーションみたいなものがサクッと作れると脱Excelに大きく近づくのではないだろうか。

・LOD計算

意味合いはわかっていたものの、計算式を書く際の文法をいつまでたっても覚えられなかったやつ。解決策としては、とにかくいっぱい書くことで手になじませるというのと、知りたいこと、表現したいことを頭の中で翻訳して、「これって要は『顧客ごとの購買単価』だなー」とか整理できるようになること。セルフアナリティクスディレクションが大事だなと。


精神編

続いて、Tableauに限らずデータドリブン、データビジュアライゼーションに関して役に立った知識、考え方について。

・Preattentive Attributes(要は人間がわざわざ意識しなくてもわかるような表現をしようぜ、的な考え方)の基本を押さえとくの大事。分類するなら色だな、とか量的な違いを見せるなら位置だな、とか。棒グラフだとか散布図だとかのチャート表現の前に、なぜそのチャートが有効なのかを知っておくということ。基本があると応用が利く。

・色のコンテキストもその一環で非常に大事。そもそも白黒だと伝わらないのはよくない、とかは漫画のキャラクターデザインでも言われてることだけど、色弱の方への配慮、ユニバーサルデザインの観点だけでなく、色はコンテキストを持ちがちなだけに、コンテキストが異なる相手へ使う際には気をつけなくてはいけない。例えば、青はポジティブな色か、ネガティブな色か、難しいですよねという話。BtoBなら顧客のブランドカラーとかね。

・Guided Analyticsという考え方もあまり意識したことなかったので収穫。単なる項目選択式のフィルタが画面に置いてあってもそこからは何のインサイトも得られないので無駄。であればサマリとなるチャートを作っておいてそこをクリックするとドリルダウンされるようにしておく、など。Tableauの良さとしてはわかってたけど改めて重要性を再確認。うちのプロダクトにも反映したい。

・職業柄、Tableauの修行を受けながらもTableauの戦略について考えてしまうんだけど、ここまでTableauが躍進したことの最も重要な点は「Viewerという役割の発明」にあると思った。それまでデータ分析は、データを分析する人達だけのもので、その人たちのためのツールが提供されてたんだけど、TableauがViewerという「データを見て、インサイトを得て、アクションを起こす人」をデータ文化圏に取り込むことで、役割間の隔たりを減らし、マーケットを広げ、マスに訴えかけることができるようになったのではないか。どんな競技でも競技人口が増えないとピラミッドの頂点は高くならない。素晴らしい発想。知らんけど。

・そこから、なぜデータドリブンカルチャーが浸透しないのか、についても考える。多くの企業、または世の中にとってはいわゆるViewer、またはViewerになる手前の人が大半だと思う。要はデータは手段(しかもとっつきづらく、わかりづらいもの)で、その人たちの仕事は商品を売る、サービスを改善する、書類を処理する、とかそういったものなんだよね。わかっていたつもりでも、わかりきれていなかった。
なので、本当の意味で世の中をデータドリブンにしたいなら、もっともっと多くのViewer候補のためにCreator達ががんばらないといけない。Creatorが中心となって進めるデータ分析作業はどこまでいってもマスには届かない。Viewerが困っていること、求めているもの、なぜViewer候補はViewerになれていないのか、といった課題に真摯に向き合って、それを一つ一つ解決していくのがCreatorであり、それこそDATA Saberの役割なんだと思う。


終わりに~データとは何か

最後に、自分が最近考えていたデータに関する駄文を付け加えて終わりにします。

こんなテキストを読んでいる人は知っていると思いますが、DATA Saberという言葉は最近できたもので、その前はJEDI(ジェダイ)と呼ばれていました。某スターウォーズのあれですね。伝道師的な役割だったり、フォースのような力だったりと非常にかっこよくて、自分もその時代になりたかったです。諸行無常。

それはさておき、データとは?、データ活用とは何のためにあるのか?、と問われたとき、最近自分はこう答えるようにしています。

「人と人のコミュニケーションを円滑にするため」

と。データドリブンの基本的な考えはファクトドリブンであり、ゆるぎない事実に基づいて議論や検討を行うことで、間違えづらい、またはみんなで共通化された、納得感のある選択肢を取るためにあると思っています。

そう考えたときに、私の頭に真っ先に浮かぶのはスターウォーズではなくガンダムです。ガンダムに出てくるニュータイプです。

説明不要だとは思いますが、ニュータイプというのはガンダムに出てくるちょっと変わった能力を持つ人たちのことで、人が地球を飛び出し行動圏を宇宙に移したことで、人と人の距離が遠くなり(しかもミノフスキー粒子で無線が使えない)、そんな環境に適応するためにコミュニケーション能力や認知能力、洞察力が大きく向上した人たちのことを指します。
主人公曰く、「誤解なく分かり合える人類」だそうです。

人の認識というのは脳の中にあり、それを言葉として発する際に、多かれ少なかれどうしても歪んでしまう。言葉に表した時点で自分の考えとは微妙にずれたことを言ってしまっているわけですね。それが相手に届いた時点ならなおさらです。なのでニュータイプたちは言葉によることなくお互いに感応することで分かり合ったりするわけです。

これってデータドリブンではない世界が抱えている課題と一緒だと思うんですよね。まだまだ地球で生活していて、同じ企業に所属していたとしても言葉によるコミュニケーションだと認識が合わずに誤解を生むことばかりです。なので我々はその人と人とのコミュニケーションの間にデータを挟むことで「誤解なく分かり合える」ような世界にしていきたいんだと思っています。どれだけ頑張っても理想には届かない人間のコミュニケーション能力をデータというツールによって拡張することで、誤解や認識不足による争いや無駄のない世界を目指す。燃えますね。

まとめると、データドリブンの目指す姿とは、人と人が誤解なく分かり合える未来、人類のニュータイプ化であり、それを支えるデータとはNT専用機に搭載されているサイコミュであり、Tableauはその力を拡張するサイコフレームである、ということにして今日は筆をおきたいと思います。

個人としても組織としても、日本のデータドリブン化に貢献していきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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