
【伝福連携⑥】伝福連携の分業
伝統工芸品は複数の工程を経て製造されます。
工程ごとに異なる職人が担当するのか、ひとりで複数の工程を担当するのでしょうか。
障がい者が伝統工芸品作りを担う場合には何か考慮が必要なのでしょうか。
今回は分業について考えてみます。
伝統工芸品の分業の現状
多くの伝統工芸品は分業で製造されています。
生産量が多ければ分業のほうが技術の習得や生産性で有利になるため、どの伝統工芸品も最盛期には分業が進み各工程専門の職人が多く活躍していたと思います。
しかし今は伝統工芸品の生産性は減少しているため、一つの工程専門の職人は十分な仕事量がなくなってきており、一人で複数工程を担当する傾向にあります。
障害福祉サービスでの伝統工芸品の製造
伝統工芸品産業は一人で多くの工程を担う流れにありますが、障がい者が担う場合は逆に工程を細分化して分業することを考えます。
障がい者は技能の習得や製造作業に関してハンディがあることが多いため、分業でそこを補います。
伝統工芸品にはもちろん高度な技術を要する工程も多数ありますが、工程を分解すれば障害の重い方でもできる作業が生まれることもあります。
工程を細分化しすぎても効率が悪くなる場合もありますので、やたらに細かくすればいいわけではありません。
それでも「ものを右から左に運ぶ」などができるだけでも全体に貢献できることがあれば、それは切り出して分業化するメリットがあります。
分業の単位は道具や設備などによる制約をうけることもありますが、必ずしも伝統的に行われてきた分業にとらわれる必要はありません。
工賃を考慮した分業の考え方
伝福連携では、まず第1段階として障害福祉サービス(中でも「就労継続支援B型」)で伝統工芸品づくりをすることを考えています。(詳細はこちら)
ここでは給料にあたる工賃の目標として、時給換算で最低賃金のおよそ3分の1程度をベースにしてそれ以上を目指します。
つまり、例えば職人が行う工程を3人で分業し職人と同じだけの生産性が出せるかどうかと考えます。
職人の仕事を時給換算した場合はおそらく最低賃金を上回るでしょうから、4人や5人で一人の職人と同じ仕事ができればOKかもしれません。
そこは伝統工芸品の種類や工程によって異なると思います。
その後、分業した作業に習熟しスピードアップすることで工賃アップにつながるよう頑張ります。
伝統工芸品事業者と障害福祉サービスの分業
ところで、障害福祉サービスでの製造はすべての工程を行う場合と、伝統工芸品事業者から一部の工程を任されて行う場合が考えられます。
これは職人個人の分業ではなく、組織間の分業の話になります。
障害福祉サービスでいきなりすべての工程を行うのはハードルが高いので、一部の工程を担当し、徐々にその対象を増やす順番が良いでしょう。
任された工程をさらにどのように分業させるかは障害福祉サービス内での工夫の範囲ということになります。
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今回は伝福連携における分業について考えてみました。
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