「タナトスの抱擁」への寄稿


    Halcyon Nights(仮題)


錠剤の名を打ち込めばひつたりと添ふがごとくに〈致死量〉の文字


切つて吊る回線もなし夜もすがらマウスの腹は赤く点りて

優しき人はみな先立ちてすべもなくながらふのみのわれと思ひき

かはせみの羽の色なる銀春のしづもる海に溺れゆかむか

願はくば桜となりてこころなく手折られて立ち枯れて 逝きたし


なつおさん企画のネットプリント「タナトスの抱擁」の企画を聞いた当初は、完全匿名での参加を希望していたのですが、いざ作品を作っていたら惜しくなって記名で発表することにしました。

ただ、それまで情報共有のクローズド掲示板に入っていなかった関係で自分の把握していた応募要項のバージョンが若干古く、改めて確認したら紙上に発表するのは2首とのこと。

というわけで、ネプリには連作から2首を選んで掲載していただきました。


その界隈(?)ではわりと人気(※やや語弊が)のある向精神薬にハルシオンというのがあるわけですが、この薬の名前はギリシア神話のハルキオーネの話にちなんでいるそうです。この際なので黒歴史を明かしますが、昔よく読んでいた、そういった薬を擬人化して愛でるブログや同人誌(薄い本)で知りました。

0.25㎎錠は銀色のパッケージなので銀春という俗な呼び名もあるわけですが、そのようなもろもろを語りだすと長くなりそうなのでこのへんにしておきます。


参考サイト:https://hayanoya.exblog.jp/5111585/