未来2018年6月号掲載9首
いくつかの水場にちなむ名の駅を過ぎて列車は都心へ走る
大久保のレジの人らの名札にはにほんご読みのかな書かれをり
隣席は面接らしく最近は厳しいからねとビザの話を
追ひ抜けばまた追ひつかる春もやを東へ向かふごみ収集車
あかねさす明治通りよ対岸の都営団地は朝の静けさ
シャッターは下りたままらしはるかなる昭和の団地一階店舗
逃げるならひかりのはうへ今朝もまた〈緑の人〉の影を確かむ
すくふとはさし伸べるその手のかたち わが掌はわづかな湯もこぼしつつ
春の宵乗つてはならぬバスばかり来てわが前に扉を開く
この5月に未来を退会した私のところにも最新号が届きました。
たいへん有難いことです。
工房月旦では山吹明日香さん、門脇篤史さんからそれぞれ1首引いていただきました。(詠草は3月号掲載の「Nobember Steps」と題した一連から)
これももう半年前のことなのだなぁと感慨深い…ありがとうございます。
ひとりでは耐へられなかつた喧噪の谷をひとりとひとりで歩く
こころもち遠め遅めがいいらしいしづかな人との距離のとりかた