マガジンのカバー画像

つかの間の幻影

48
志稲です。結社誌等への既発表作品をまとめています。
運営しているクリエイター

2020年6月の記事一覧

『蒼海』7号掲載6句

『蒼海』7号掲載6句

掛稲の列見晴るかす小海線

信濃路や軸逞しき榎茸

ほの温きおやき頬ばる秋の暮

校正の眼の奥熱し曼殊沙華

まちぼうけ喰ひしごとくに帰り花

決心は固し紺地の日記買ふ

    南波志稲

 『蒼海』には毎回10句投句しているのですが、どうも6句掲載が定位置になっていていかんなぁと思います…が、落とされた理由は投句から半年近く経ってみるとなんとなくわかるもので、精進せねばと思います。

 この前

もっとみる
『蒼海』6号掲載6句

『蒼海』6号掲載6句

緑蔭に御籤ちひさく開きけり

アルデンテふふめば紫蘇の産毛かな

夕立ちにかかと濡らすや神楽坂

風鈴や腿をぬんぬん猫の足

黒葡萄ひと粒ごとに潤む夜

銀漢やをとこ一人を棄てかねつ

               南波志稲

 『蒼海』(季刊)6号発行は12月20日。実はもうとっくに7号も出ているのですが、noteに載せるのがすっかり遅くなってしまいました。
作句自体は昨年の6月~8月上旬(だっ

もっとみる