橋の上のシンデレラ
仕事も終わり、疲れを癒すべくコンビニへ
缶ビール片手に歩いていたら、橋に腰掛けている人を見かけた。
「めっちゃ綺麗な人だなぁ」と田舎くさい町には似合わないほど、綺麗に僕の目には映っていた。
そんな綺麗な人に釘付けになっていると僕はあることに気づく。
橋の下は川になっていて、落ちたら危険だと感じ、声をかけることにした。
…
〇〇:そこにいたら危ないですよ!!
賀喜:なんですか…
〇〇:いや、その、落ちたら危なくないですか?
賀喜:他人に声かける方が危ないと思いますけど…
〇〇:あ…確かに…
賀喜:納得しちゃダメでしょ。
賀喜:でも、心配してくれたのは嬉しいので、降りますね。
最初は警戒していたはずなのに、どこか素直な反応を見せる綺麗な女性。
そして、手に持つ缶ビールに目が行く
賀喜:あれ…同じですね。丁度、寂しかったので、一緒にどうですか?
〇〇:え?まぁ…はい
正面から見た姿は本当に美しくこの世の女性とは思えないほど
内心ドキドキさせながら、その人に吸い込まれるように、二人で橋飲みがはじまった。
…
「乾杯」
賀喜:なんか、新しいの頂いちゃってすいません。丁度、もう一本欲しかったところだったので、、
〇〇:いえいえ。喜んでもらえたら何よりです。
〇〇:それより、よくこの橋知ってますね。
賀喜:ええ。一度訪れたことがあって。もう一度来たいなと思って、今日来ました。
〇〇:そうですか…
プシュッと缶を開ける音が虚しく聞こえる
彼女の横がからおそらく、何かを抱えてここに来たと感じた。
〇〇:僕は、嫌なことがあったりすると、ここでお酒を飲むんです。そうすると不思議と次の日には、なんか元気になるんです。
賀喜:へぇ。じゃあ、明日の私は元気になれますかね?
〇〇:もちろん。僕が保証します!
歯を見せて笑う彼女にドキッとして、缶ビールを一気に飲み干した。
〇〇:ゴホゴホ…
賀喜:大丈夫ですか?
〇〇:問題ないです…
その後も、お互いに名前や年齢、職業など聞かず、思うがままに話し続けると、気づけば日が変わりかけていた。
賀喜:やぁ〜なんかめっちゃ話し込んじゃいましたね。
〇〇:そうですね。
スマホで時間を確認すると、日付が変わりかけていた。
〇〇:そろそろ、お開きにしますか?
僕の問いに返事がなく、下を向いたままの彼女
賀喜:……私。本当は逃げ出してきたんです。仕事から。仲間がいて楽しいはずなのに、気づいたらここにいました。
賀喜:多分マネジャーが探してます。もうそろこの場所もバレると思います。なので、最後に今日はありがとうございました。
頭を下げた後、彼女の関係者らしき人物が車で迎えにきて、去っていった。
ちょっと缶に残ったビールを飲んで、虚しさが訪れる。
まるで、魔法にかかっていたような感覚
日付が変わると同時に解けてしまったようだ。
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