夢を追いかけて
井上:〇〇は本当にバスケ馬鹿だよね
〇〇:なんだよ。いきなり
井上:だって…体育館で声かけたのに…無視したから
〇〇:それは謝ったじゃん。
井上:悲しかったな…
〇〇:なに…
井上:暑い中待ったから、喉を潤したいな…
〇〇:まさか…
井上:冷たくて、甘いやつが食べたいな…
〇〇:はぁ…しょうがないな…コンビニ行くぞ
井上:いぇい!レッツゴー!
自転車の後ろに乗りながら、はしゃいでしまう。
私と〇〇は幼馴染
幼稚園から高校までずっと同じだから、隣にいるのが当たり前だと思っていた。
「和…この前、告白されたんだけどさ、どうやって断ったらいい?」
電話越しに聞いた言葉は血の味がした
その後はよく眠れず、学校に遅刻したのはいい思い出
その時からだろう…〇〇の隣に居たいと思ったのは
…だけど、神様はイジワルだった。
_
井上:後で、部屋行ってもいい?漫画読みたい
〇〇:あぁ…今日はごめん。予定がある
珍しいなと思った。いつもなら、「部屋片付けるから、後で連絡する」とか「後で、和の家に持ってくよ」て言われるはずなのに
井上:そっか…
〇〇:ごめんな。
井上:ううん。大丈夫。
さっきまで楽しかった時間は終わりを告げ、帰りの道は、あまり喋る気が起きなかった。
…
次の日
「ちょっと…いつまで寝てんの!〇〇君の見送りに行かなくていいの!?」
寝起きになんて喋ってるのかわからず、もう一度頭から布団を被った
〇〇の見送り?どこへ?
やっと頭がはっきりした頃には、車の中にいた
。
向かっている先は窓から見えた道路標識で分かったのと同時に、母親の言葉にも理解が追いついた。
「☆☆空港 3km」
ー
「最後に〇〇君と喋っておいで」と母親に言われ、待合室へ
〇〇:和…ごめん。俺、アメリカの大学に行く
井上:どれくらい?
〇〇:4年かな…その後はわからないけど…
井上:バスケ?
〇〇:うん。ごめんね。最後まで言わなくて
井上:いいよ。別に…
今日、初めて目が合った。
待合室の扉が開く
〇〇:じゃあ、そろそろ行くわ
〇〇は急ぐようにその場から離れようとした
井上:行かないでよ…
井上:寂しいじゃん…
井上:〇〇のこと…好きなのに…
井上:離れてたくないよ…
〇〇:ばか…
〇〇:だから…何も言わずに、行きたかったのに…
そこから数分間、涙は止まらなかった。
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