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青春物語⑧

今日はいろはと映画館へ

「この作品を見たいです」と提案され、今日に至るが、実は一緒に出掛けるのは久しぶり。

日曜日は大体お互いの家を行き来することが多かったし、遊ぶとなればお金が掛かる

まだ学生の僕達には、毎回外に出て遊ぶほどお金に余裕がないから、たまにの外出は貴重な時間

だから、今日は楽しみすぎて、あまり眠れずにいた

「〇〇君…手を繋いでもいいですか?」

思わぬ提案に目を丸くする

「嫌ですか?」

息をつかせぬ質問に、そんなことはないと首を横に振ると、それに応えるように手を握りしめてくれる。

暖かくてどこか優しい感じに、いろはの愛を感じていた

「…そんな見つめないでください」

「恥ずかしいです…」

俯くところを攻めたいけど、これ以上はやめておこう。

恥ずかしい思いをさせると、怒られかねないから

「じゃあ…行こうか…」

「はい!」

手は繋がれたまま、電車に乗り目的の駅へと向かっていった。



「いろはー、ポップコーンは何味がいい?」

「塩とキャラメルで迷っています。どうしましょう…」

「そっか…なら、二種類はいってるやつにしよう?それなら二人で食べれるし」

「いいんですか?」

「もちろん。じゃあ並ぼうか」

目を輝かせながら頷くいろは見て、今日は映画に来て正解だったなと思い、微笑んだ。

無事ポップコーンを買い終えて一安心。スマホで上映までの時間を確認しようとした時、"菅原咲月着信"と画面に表示される。

予期せぬ相手に声を出して驚く「〇〇君?何かありましたか?」といろはに心配される

いろはに余計な心配をさせないため"ごめん。今彼女とデート中"と返すとすぐに既読がついた。

"助けて"

「…いろは」

「はい?」

「ごめん…」

肩を掴み、目を見つめた





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