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青春物語⑦

井上君から来た連絡に

既読をつけずにスマホを閉じる

"家来ない?"

最近こういった誘いが増えていた

この前ネカフェに行った時も

「ちょっと!」

「どこ触ってるの!」

「いいじゃん別に」

二人っきりになればすぐ胸を触ってきたり

そういう行為に持ってきたがる

断っても「付き合ってるからいいじゃん」の一点張り

私の気持ちなどどうでもいいみたい

誰かに相談したいけれど

友達にするには気まずいし

家族になんてもってのほか

誰かいい人いないかなと思いながら

スクロールしていたら

"齋藤君"の連絡先が目についた

久しぶりに声を聞きたい衝動に駆られる

寝るにはまだ早いし

幸い明日は学校はない

もしかしたら喋れるかもと期待した反面

多分今でも付き合っている彼女さんに申し訳ないと思いながらも

指は通話ボタンを押す一歩手前

3回呼び出し音が鳴っても出なかったら

諦めようと決めてボタンを押した

プルルル…

プルルル…

「はい…もしもし…」



菅原:(やばい…どうやって話してたっけ…)

齋藤:もしもし?

菅原:あ…その…

齋藤:ふふっ、慌てすぎ

菅原:ご、ごめん…

齋藤:そういえばクラス変わったよな

菅原:う…うん

ぎこちない会話から小一時間

緊張もほぐれ昔みたいに戻っていた

クラスが変わったことや

今年ある修学旅行

お互いの彼氏彼女のことも

気まずさなんて私が気にしていただけで

齋藤君は齋藤君だった

菅原:一つ相談してもいい?

齋藤:うん

菅原:彼氏からそういう行為を会うたびに求められるの。断っても、してくる場合どうしたらいい?

齋藤:別れる

菅原:え!?

齋藤:嫌だから断ってるのに、それを聞かないって意味がわからない

菅原:でも…

齋藤:嫌われたくない…だろ?

菅原:…

齋藤:わかる。俺もそんな時期があったから

菅原:え…そうなの?

齋藤:うん。人前気にせずキスしたり抱きしめたり、目の前しか見えてなかったから…あの時は

でもそれを正してくれたのも彼女のおかげ

だから、菅原も自分の思ってることは彼氏に伝えるべきだよ

さっきは別れる…なんて言ったけどね

菅原:そっか…ありがとう。彼氏に相談してみる

齋藤:俺からも一つお願いしてもいい?

菅原:うん。私でよければ

齋藤:じゃあ…俺と…友達になってくれませんか?

菅原:…齋藤君

もうこの時涙が止まらなくてバレないように返事をした



気づけば日付も変わり

そろそろ通話もおしまいにすることに

菅原:改めて相談乗ってくれてありがとう

齋藤:こちらこそ

名残惜しい気持ちを抑え

通話を終了した

布団に仰向けになって

天井を見つめながら

会話していたことを思い出す

あの日できた隙間がちょっとだけ埋まった様な気がして嬉しかった

また仲良くなれますように。






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