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嫉妬
井上:ねぇ…先生、疲れたんだけど
〇〇:…なに言ってんの?さっき休憩したばっかりじゃないか…
放課後の教室で、本日提出期限の課題を取り組んでいる井上とそれを見張る〇〇先生。
井上:もう勉強飽きた。やりたくない
〇〇:あのなぁ…
井上:先生、お願い!今回の課題は見逃して!
〇〇:いいわけないでしょ。口を動かしてる暇があるなら、手を動かしなさい。
井上:もぉ!ケチ!鬼!悪魔!
口を尖らせ、駄々をこねる子供みたいだ。
これを見かねた〇〇先生はため息をつく
〇〇:まぁまぁ…とりあえず、手伝うから。早く終わらせよう?
井上:もぉ…急に優しくするのずるい…
頬を膨らませ拗ねている様子から、井上はようやくペンを持ち課題に取り掛かる
そして、少し時間が経過した頃、〇〇先生の違和感に気づく井上
井上:先生?なんか予定でもあるの?
〇〇:え…そんなことないけど…
井上:本当?だってさっきからずっと腕時計ばっかり見てるけど…
〇〇:あ…いや…これは…
目が泳いで言葉に詰まる〇〇先生。教室全体に気まずい雰囲気が流れる。
それを遮るように扉が開いた。
中西:やっと見つけた。〇〇先生ここにいたんですね…
〇〇:えっ…ア……中西先生?どうなさいました?
中西:はぁ…やっぱり。〇〇先生お忘れですか?
〇〇:え…なにかありましたっけ…
中西:職員会議です。あなただけですよ。出席してないの
〇〇:えっ!!来週じゃなかったでしたっけ?
中西:変更になったんですよ。朝、伝達があったじゃないですか…
大慌てな〇〇先生とご立腹な中西先生。
井上はこの光景を見て空いた口が塞がらなかった。
〇〇:井上…この課題は、明日朝礼前に持ってきて
井上:…わかりました。
「じゃあね」っと手を振られ教室に一人残る井上
「はぁ」とため息をつきどこか寂しそうな表情をする
井上:もうちょっと一緒にいたかったな…
呟いた言葉は虚しく教室に木霊した。
…
息を整えて、会議室に入る〇〇先生
しかし、目の前には誰もおらず困惑する。後方からガチャリと鍵の閉める音がすると中西先生に抱きしめられた。
〇〇:あのぉ…中西先生?
中西:……
〇〇:……アルノ?やっぱり、職員会議来週だよね?
中西:……うるさい。私を差し置いて、女子生徒と仲良くしてたのが悪い。
頭をぐりぐりと僕の胸に強く当ててる。恐らく嫉妬してしまったのだろう
中西:好きになってないよね?
〇〇:生徒だよ?ありえないって
中西:本当?よく井上さんと話しているところ見るからさ
〇〇:心配しすぎ。ちょっと手間のかかる生徒だけどな
中西:ムカつく…もっと撫でて
〇〇:はいはい
中西:返事は一回!
〇〇:はい。
これがバレら面倒くさいことになりそうだなと思いつつも、甘えてくるアルノに負けて、数分間優しく包み込む〇〇だった。
中西:〇〇?ありがとう。落ち着いた
〇〇:いえいえ。こちらこそ
中西:仕事終わりそう?
〇〇:う〜ん。まぁ、多分
中西:こんなことしといてあれなんだけど…
〇〇:大丈夫だよ。そこまでには間に合わせるから
中西:…ありがとう。
頭を優しく撫でて、嬉しそうな表情を浮かべるアルノ。
〇〇:じゃあ、戻ろうか
中西:うん。またあとでね。
もう一度、抱きしめあってから、会議室を後にする。
時間を気にしていた理由
それは、今日がアルノと結婚をした日
この後はある場所へ向かう予定があったからだ。
仕事を終わらせるため、もう一度気合いを入れ直した〇〇先生でした。
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