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謎の力で宇宙が生まれ変わる?

COBRAの2023年5月21日の記事「Situation Update and Cobra Conference in Japan」で紹介された記事「Dark energy could lead to a second (and third, and fourth) Big Bang, new research suggests」を翻訳しました。

※翻訳がお気に召しましたら、記事下部からサポートをお願い致します。

”宇宙の周期に関する認識が、徐々に科学界の主流になりつつあります。”

元記事

By Paul Sutter

publishedMarch 07, 2023

てっきり、宇宙は最後爆発して終わるものだと思ってました。ところが、「宇宙はずっと終わらないかもしれない」という第三の道を示す科学者が出て参りました。

宇宙は膨張しています。それを後押ししているのは「暗黒エネルギー」という謎の力です。

その力を解明しようという努力の中で、物理学者たちは「宇宙はずっと膨張し続けるのではない」という可能性を発見したのです。

この暗黒エネルギーはもしかしたら、ONとOFFを繰り返しているかもしれないのです。ビッグバンにより宇宙が膨張し、やがて縮小し、次の新しい宇宙が生まれる条件が整うまでは、膨張と収縮を繰り返しているのかもしれないのです。

大脱出のとき

この宇宙はよく知られているように、膨張しています。さらに、時間の経過とともに、膨張のスピードは速くなっているのです。なぜ加速するのか?宇宙論者はこれを「暗黒エネルギーの仕業」としていますが、詳しい原因は未だ解っていません。しかし、ずっと加速したままだと、やがて宇宙は大きくなりすぎて、あらゆる物質はバラバラに崩壊して、ついには消滅してしまうでしょう。

加速度的な膨張は今に始まった事ではありません。ただ、ビッグバン初期にはエネルギーも密度も極端すぎて、既存物理学では対応が不可能なのです。とりあえずは特異点、つまり数学が破綻する「無限大」としか予測ができないのです。ビッグバンの後はインフレーションと呼ばれる急拡大が始まりますが、これも理由は解明できていません。

初期と現在− 宇宙の加速膨張には2段階あるということは解りました。しかし、それらがお互いに関係しているのか?それとも両方とも同じ力なのか?ビッグバンの特異点はどう説明するのか?わからないままなのです。

力学の悪魔

その答えを提示すべく、二人の理論物理学者が名乗りを上げました。暗黒エネルギーの働きに注目し、この謎の力がどのように宇宙を動かしているのか研究し、データベースarXivに投稿したのです。

その中で、従来の暗黒エネルギーの働きの予想、つまり「ONとOFF」のモデルを覆すような働きが提案されました。

ビッグバンの特異点は暗黒エネルギーに干渉しないのかもしれない。その場合、謎の力はインフレーションを促進させ、現在の宇宙を加速させ続けているのかもしれない。彼らの研究は、それを
確かめたく行われたのでした。まずは、特異点は無限ではなく、有限の密度と考えます。その場合、宇宙そのものが無限に繰り返し「脈打つ」存在であると考え直さなければなりません。

その考えでいくと、宇宙は一定の大きさになるまでは暗黒エネルギーで動かされて、その後エネルギーがなんらかの変化を起こし、今度は宇宙を収縮させるのです。そうすると次に宇宙はビッグクランチを起こすと考えられますが、そうではなく、密度が無限大に近くなるまで再び凝縮する前に暗黒エネルギーの働きでまた急速インフレーションを起こすのです。

精密なメカニズム

一見、完璧に思える理論でしたが、「宇宙初期に物質とエネルギー放射が別々に存在するのは不可能」という点について、説明がつかないのでした。どちらも存在していたら、インフレーションは起きなかったはずですから。代替え案として、インフレーション直後に物質と放射が出現したとすれば、暗黒エネルギーの一部が崩壊したことで、宇宙に光と物質が流れ始めたと考えられるようになります。

とりあえずの成功は収めたものの、研究者たちは理論と同じ結果をもたらす暗黒エネルギーの例を見つけることができませんでした。量子力学的予測の加速膨張の値をわざと小さくして調整することでしか、正確な結果は得られなかったのです。

しかし彼らの貢献は大きく、新たな宇宙論探究の有力な足がかりを提供してくれたと言えるでしょう。暗黒エネルギーはいつか、今とは異なる働きをするかもしれません。その時期を知るべく、今回の研究の成果は今後に活かされるでしょう。宇宙と我々の運命はどうなるのか?今後の研究成果に期待です。

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