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無から有が生まれるのではない、量子泡という子宮から生まれるのだ

COBRAの2023年5月21日の記事「Situation Update and Cobra Conference in Japan」で紹介された記事「“Nothing” doesn’t exist. Instead, there is “quantum foam”」を翻訳しました。

※翻訳がお気に召しましたら、記事下部からサポートをお願い致します。

”量子揺らぎにかんする簡単な説明”

元記事

HARD SCIENCE — FEBRUARY 16, 2023

本当の「無」は存在するのか?その問いは、古代ギリシャの時代から多くの哲学者を悩ませてきました。無は無いはずなのに、「無が在る」と言えるからだ。科学的にも、この問題をいかに解くか、盛んに議論が続いてきました。

「無」は「無い」


例えば、密閉された容器の中から、すべての目に見える物質を取り除いたとしましょう。さらには、空気も抜いて真空状態にします。それでも、容器の中にはエネルギーが残っています。太陽のエネルギーが地球上に届くのと同じように、容器の外からの熱が容器の中に入り込むからです。よって、本当の意味での真空は存在しないのです。

ならば、容器自体を絶対零度にまで冷却し、さらに外からのエネルギーや放射線が通らないように容器を遮蔽します。これなら容器の中は「無」になるはずですよね?

しかしながら、「事実は小説よりも奇なり」です。無というもの、そのものが「無い」のです。

無についての事実

量子力学をご存知でしょうか?粒子とは波動であり、猫は生きていると死んでいる状態が同時に…なんて言っても分かりにくいですよね。その中でも特に奇妙なのがハイゼンベルグ不確定性原理です。

頑張って分かりやすく言うと、「素粒子の位置と動きを予想しようとしても、絶対に無理」二つを同時に、完璧に知ることは理論的に不可能なのです。これはつまり、「エネルギーを完璧に測定することも無理」であり、「測定時間が短いほど、無茶苦茶な測定結果になる」と言うことです。1秒以下の計測時間だと、ほぼ間違いなく不正解の結果になるのです。

「無」がなんなのか知ろうとする科学者には最大の壁になります。ある場所にあるエネルギーの量を測定しようとして、そこに何もエネルギーが無いはずなのに、何かが「有る」という結果が出てくるのです。今度はゼロそのものを測定できないのです。思い切って測定してみても、ゼロのはずが、ゼロではないことが判明します。もっと混乱してしまいますね。しかし、これが現実なのです。機械が悪いのではなくて。時間が短いと、ゼロはゼロではなくなるのです。

この不思議すぎる事実を、アインシュタインの有名な方程式E = mc2に照らし合わせてみますと、さらに不思議な事実が判明します。

アインシュタインはこの方程式で「エネルギーは物質であり、物質はエネルギーである」と言いたいわけですが、つまりは「物質が何もない空っぽの空間にも、エネルギーがある」ということになり、ゼロ空間のはずがエネルギーに変動することがあるということになります。その一時的に発生する「エネルギー」は、物質(あるいは反物質)の粒子を作るのです。

量子泡

要するに、何も無い空間も、量子レベルでは「何か有る」ということですね。いきなり小さな素粒子がポッと出現しては、前後無関係に消滅する。それを繰り返しているのです。何も無い部屋なのに、実は活気に満ちている部屋だったというわけですね。例えるなら、グラスに注いだビールの泡のようなものでしょうか。量子泡が忙しなく現れては消えるのです。

この量子泡、単なる空想では無いことは判っています。例えば電子のような素粒子を観察してみると、「磁石」のような性質があることが分かります。もし量子泡が架空の存在であれば、電子は一定の強さを持つ磁石として働きます。ところが、電子にはそれよりも強い磁気がごくわずか(0.1%程度)有ることが分かります。このことは、理論と測定結果に12桁ほどの誤差をもたらします。ですから、量子泡のことを考慮しなければならなくなるのです。

もう一つ、オランダの物理学者ヘンドリック・カシミールにちなんで名付けられた「カシミール効果」が、量子泡の実在性を促すもう一つの証拠になっています。完全な真空の中に、2枚の金属板があるとしましょう。その間を約1ミリほどに近づけます。すると、何も無いはずの空間で板同士が、磁石のようにお互いに引き合うのです。量子泡が本当にあれば、その間の真空にも目に見えない素粒子が飛び交っているはずです。

これら出現しては消滅する小さな粒子の中には、時々ですが高いエネルギーを秘めたものがあります。それはなぜか?粒子は波動でもあるという、古典量子論がここで生きてきます。波動、つまり周期的に上下する「波長」があるということですね。

2枚の板の間のような小さな隙間には、それより短い波しか入れません。波長が長い波は入れないのです。ですから、隙間の外にはあらゆる波長の波が存在しているのに、隙間の中には短いものしか入れないということです。つまり、板の間よりも外側の方が、粒子の種類が多いということです。それが純圧力となって、内側に向けてかかってくるわけです。このように、2枚の板が引き合うということは、量子泡が実際にそこにあるということの証拠になるのです。

カシミール効果が実際に証明されたのは2001年のことでした。

2枚板を引き合わせていた謎の力は、量子泡だったのです。無から有が生まれるのではありません。量子泡という目に見えない子宮から生まれるのです。



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