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海底湧水とは?

海底湧水とは、
河川によって運ばれる雨水とは違い、私たちの足もとの地下を通って、浜から沖の方にかけて面状に湧いている湧き水の事を言います。


海底湧水の重要性を解き明かされた※新井章吾先生撮影による、中海(島根県松江市)の湧水の様子。⬇️

(※新井章吾先生のProfileは、
 本投稿の最後にあります。)


【海底湧水ができるまで】

🔵 山や陸地に降った雨が地下にし
  みこむ。
  その時、腐葉土を微生物が分解
  してできた鉄、マグネシウム、
  窒素、カリウムなどの豊富な
  ミネラルや酸素が一緒に運ばれ
  ていく。

🔵  しみこんだ水が
  地下水となって、
  海の下まで流れ込む

🔵  大部分は、地下にある岩盤の
    不透浸層に沿って沖の地下まで
    流れてきている。
    淡水が流れる圧力で海底に
    しみこんだ海水が、沿岸近くに
    湧き出てくる

この地下水の総量は、河川によって
運ばれる水量を凌ぐ

海底湧水  60以上 〉40以下  河川

こうやって海底湧水には、
※キレート化したミネラルが豊富に含まれ、海浜から湧き出ています

※キレート化:吸収されにくい養分を吸収しやすくする仕組み。キレートとは、ギリシャ語で「カニのハサミ」という意味で、吸収されにくい養分をアミノ酸や有機酸によってカニバサミのようにはさみ込んで、吸収されやすい形に変えたり、反対に有害物質を無害化したりします
この海底湧水のおかげで、豊かな藻場、アサリやハマグリなどの生命が育まれています。


海底湧水成分表の画像です⬇️

拡大したら…

何と私たちの身体に必要な
必須アミノ酸9種類すべてが含まれています。

さらに、
アルギニン、アスパラギン酸、
グルタミン、システイン
などの
疲労回復、疲労軽減、抗酸化、
免疫向上効果
のあるアミノ酸も
含まれているのです。

この湧水を炊き上げると、
キレート化されたミネラル豊富で、
しかもアミノ酸も摂れる
美味しい塩が出来上がります

8ℓの海底湧水を炊き上げたもの
上手く炊けると泡雪のようです



海底湧水採取器セットの作り方

⬆️上記のページに、湧水採取から炊き上げるまで解説してくださっているYouTubeもあります。

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今、この海底湧水の湧出量が全国的に減少傾向にあります…(磯荒れ)

それに伴い、
それを栄養源にしてきた海藻や、
アサリやハマグリ等の貝類も
減少してきていると…
(海水の温暖化や、アイゴなどの海藻食魚による食害もそれに拍車をかけています…(磯焼け))
      ⬆️
一般的にこの磯焼けの方ばかりが注目されているのが現状です…


一度人の手が入った山の木を
私たちが利用しなくなった為に、
森が荒れてきていており、
平野部では耕作放棄地や
都市部の側溝の整備が
進んだのと相まって、
川に流れこむ雨水の量が増え、
地下の水循環が滞る事で
地下の浅い所で硬い地層
(※グライ層)ができてしまい、
地中深くまで
雨水が染み込まなくなった為に、
山では豪雨による土砂崩壊や
河川氾濫による洪水が
近年増えてきています…

その水が海に流れ込む事によって
ヘドロとなり、
さらに猛毒の硫化水素が発生して
海(浜)の生き物が激減。

そのヘドロが堆積することで、
アスファルトのような固い硬盤層(※グライ層)が、干潟などの内海で出来上がってしまっています…

山の斜面や平野部でも※グライ化が進んで硫化水素が発生しており、線状降水帯などの豪雨によって、保水力の落ちた山では土砂崩壊の危険性が拡大。
平野部では河川の氾濫が起き易くなっています…

山、海、そして大地の持つ力が
年々弱まって来ています…
(ここ2~3年は加速傾向にあります)

一刻も早く
海では海底耕運※
山では森の間伐、
平野部では雨庭※などの
大地の再生が広がっていく事を
願っています。

※グライ層について⬇️



※海底耕運について⬇️
兵庫県の明石市では、2009年より取り組みが
為されています。



※雨庭
についてはこちらを⬇️


投稿主も、地元の干潟で湧水を汲みながら、少しでも水の抜けがよくなるように、と杭打ち、泥かきをしています。

愛知県豊橋市の六条干潟(前芝海岸)の様子⬇️


新井章吾先生のYouTube⬇️

36分
時間の無い方は、まずはこちらからご覧になると良いかと思います。


1時間08分
新井章吾先生の生い立ちが少し語られています。


2時間45分(1:38頃〜3者ディスカッション)
この動画は、わが地元 六条干潟の見立てに来てくださった時の、森人と海人を交えた集いの模様です。
(途中に当方の当時の無知さが露呈してしまっている声が雑味として入ってしまっていますが、、どうか広いお心でご容赦ください🙇)


2時間46分
一般社団法人 Ecological Memes代表 小林泰紘さんの、専門的で素敵なファシリテーションもあり、新井先生の知識の深さが“これでもか”というくらい詰まった動画になっています。
(この動画でも収まりきらない感もあります…)


※新井章吾先生プロフィール

(株)海藻研究所(所長)
(同)シーベジタブル(顧問)

大学在学中から日本各地で藻場などの調査を行う。設立した株式会社海藻研究所では、海藻と動物の相互作用を主要研究テーマとし、藻食魚の食害による磯焼けの研究に精力的に取り組んでいる。
また、隠岐の島町に株式会社海中景観研究所設立し、「海底造園」の造成、未利用だったアカモクの商品化、天敵の魚を増やすことによるエチゼンクラゲの駆除、間伐材魚礁の開発などを行っている。
最近では、中海の水質を悪化させる湖底を漂うオゴノリを行政の協力を得ながら漁業者とともに採取し、アサリ漁場の再生に取り組んでいる。さらに、里山里海の連携による地域活性化として、その海藻を集水域の農地で肥料として活用することで農作物をブランド化するソーシャルビジネスに協力している。また、山口県周防大島など他の地域でも、未利用海藻の食用化などを含め、里山里海の連携による活性化に協力している。
専門は、藻類増殖学 環境保全学

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※海底湧水について、新井先生による更に詳しい解説はこちら  ⬇️

海底湧水が育む 浅海域生態系の仕組み
写真・文:新井章吾
(海藻研究所および海中景観研究所 所長)

https://www.ows-npo.org/media/backno/tokushu48forWeb.pdf

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