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【4月の誕生石】その買い物の先に夢はあるか?とハリー ウィンストン

買い物をするときはいつも、「その先に自分の夢はあるか?」と考えるようになった。たとえばインテリア。北欧デザイン好きで、雑誌やSNSで素敵な部屋を見るたびに気になるものは無限にあれど、かつての自分のように飛びつくのではなくて、先に叶えたい夢を心に確かめる。

するとパッと見では惹かれたけれど、じっくり考えたら「自分の夢」の先に欲しかったはずのモノが存在しない、あるいは存在しなくても成り立つようなモノであることに気づく。8割方がそうだろうか。北欧デザインの名作は、私にとってはひと目で心射抜かれるものばかりだけれど、気になっても一度必ず踏みとどまる。"自分が叶えたい夢のグランドデザイン"を設計してから丁寧にモノを選ぶと、失敗はほぼなくなるというのが私の最近の実感である。

インテリアに関しての私の夢は本当に好きなモノだけに囲まれて暮らすことだけれど、さらに分解して考えれば、作り手の哲学やストーリーに心から共鳴し、見た目や手触りに自分にとってのノイズがなく、穏やかさを感じられること、ずっと愛せることだろうか。加えてやや抽象的な話になってしまうけれど、自身のライフテーマでもある「地理的・文化的距離を超えて、異なるもの同士がフラットに繋がる世界」を築けるかも大切な要素だ。(これについては「JAPANDIという新しい私の暮らし方」に書いたのでよろしければ)。

モノの先にこうした自分の夢のグランドデザインにふさわしくないモノをもし手にしてしまえば、決して広くはない住まいという空間にその分だけ夢のスペースがなくなってしまう。2年程前に着手した我が家のリノベーションの際、キッチンタイル一枚選ぶのにも私は「自分の夢」を何度も思い起こした。他にも見た目のほぼ同じ、手に入れやすいタイルをたびたび勧められたけれど、最終的には施工会社と当時商流もなく、手に入れにくかったイタリアのタイルの手配に漕ぎつけ、無事に何とかお願いすることができた。今振り返れば、自分の凝り性ぶりにも呆れるけれど、そのタイルはテクスチャー、ストーリー、色合いすべてが、私の夢のデザインにピッタリ重なっていたのだ。結果的にはこれでよかった。人生の中で自分のキッチンを作るチャンスは、そうそう巡っては来ないのだから。

インテリアに限らず、東洋占星術においても「夢」は運勢に欠かせない大切な要素だ。

人は幸せになりたいという夢があるから恋をして、憧れがあるから高みを目指す。夢こそが人を、人生の質を向上させ、毎日を更新し続ける。それは運勢でも同じこと。目に見える世界で起きていることは、目に見えない世界でも同じように起きているという陰陽論に立脚した理論である。毎年変わる運勢の中で「夢」を意味するサインが自分自身に訪れるのは、10年に一度の周期。このタイミングに人は恋に落ちたり、運命の出会いに遭遇したり、結婚もしやすい。新しい恋に目覚めて人が変わっていくように、運勢もまた「夢」のサインが巡ることによって新たな融合があり、新陳代謝されていくと考えられている。

数ある占星術の中でも、私がとりわけ東洋の占術に惹かれる理由のひとつに、過去に功績を残した素晴らしい偉人たちの胸の内に宿命を通して触れられることがある。4月の誕生石と言えばダイヤモンドだ。「ダイヤモンド」と聞いて私が真っ先に思い浮かんだのは、ニューヨークの老舗ジュエラー「ハリー ウィンストン」の創始者ハリー・ウィンストン。「キング オブ ダイヤモンド」の異名をもつ。現在の私にとってはただただ憧れのジュエラーだけれど、かつて女性誌編集者として働いていた頃、恐れ多くも実物に触れる機会を何度か得たことがあった。「大粒で、極上のダイヤモンドを」というハリーの言葉通り、拝見したリングにはこれまで見たこともない煌めきを放つ、大きなダイヤモンドが美しく微笑んでいた。

ハリーが12歳の時、質屋のコスチュームジュエリーのトレイにある美しい緑色の石に心を奪われたのが、彼が宝石に目覚めた最初のきっかけだったというのは有名な話だ。ハリーはその時、店で安価な緑のガラスとして売られていた石が実は高価なエメラルドであることを見抜いていた。25セントで買った2つの石のうち、この緑色のエメラルドは2日後に800ドルで彼の手により売られたという。ハリー少年が宝石商の夢への一歩を踏み出したこの年、東洋占星術で鑑る彼の運勢には、まさに「夢」を意味するサインが輝いていた。

美しいダイヤモンドを生涯追い続けたハリー・ウィンストンの宿命を鑑れば、彼の人生がどれほどまでに「夢」に彩られていたのかを知ることができる。そもそもハリーは持って生まれた運勢の中に「夢」を持っている。しかも夢が夢を呼び、果てしなく広がっている「夢」の運勢を。こうした宿命をもつ人は、世の人々を陶酔させるほど大変に強いカリスマ性を持つと言われる。そもそも「カリスマ」も実体のない夢のようなものだ。日本に目を転じれば、尾崎豊、宇多田ヒカル、松任谷由実ほか、名だたるアーティストたちの多くが、宿命に夢(カリスマ)を備えていることにも数奇な符号を感じざるをえない。

ハリーは宿命の中の運勢のエネルギーもまた、夢に満ち溢れていた。

人が持って生まれた運勢エネルギーの種類と強弱は人間の生涯に例えられ、12の時代に分けられている。ハリーの宿命に輝くのは「少年」「青年」を意味する星。夢見るロマンをもち、華やかな世界に憧れ、理想を追い求め、行動力があり、思い切りがよく、前進していく力に満ち溢れている時代のエネルギーだ。この他にもうひとつ持っているのが、「死の世界」の星。現実にとらわれない自由な発想、高次のインスピレーションに恵まれる星と言われている。

自身を表す中心星が「芸術的表現・伝達」を意味するハリーは、ジュエリーを通して生み出されてきた素晴らしい表現の数々が、生涯を通じてこうしたエネルギーに支えられてきたと考えられる。すなわち、少年のような夢と理想、美しいロマンと自由な感性に溢れ、類稀なるインスピレーションに満ち溢れた表現に。それが実際のハリーの人生と一致するのは、彼が自然から与えられた宿命を生ききった証だろう。東洋占星術では宿命通りに生きることこそが、一番の開運法だと考えられている。

最後に、彼の運勢を幸運に導く守護神が、運勢においても「宝石」であったことも記しておきたい。










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