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私の腕時計遍歴2 寄り道

紆余曲折を経て、腕時計に興味が湧き始めてきたところまで話が進んだ。

ここで、最初に注目したのは、機械式時計ではなく、電波ソーラー時計だった。

当時の私といえば、、

突然の異音とともに動かなくなった自動巻き時計のトラウマに加え、代用していたファッション時計は次々と電池切れを起こしているような状況。

たまに時間のズレを修正しなければいけないのも面倒でたまらない。

そんな時計たちに辟易していた。

世の中では、ちょうどCASIOのオシアナスが登場してしばらく経過し、盛んに広告を打っているような時代。

勝手に時刻調整しつつ、充電も済ませてしまう電波ソーラー時計は、まさに手間のかからない最強な時計に思えた。

デザインも洒落ている。

唯一気になるのが、クォーツ時計独特の秒針の動きである。

一瞬ときが止まる様で、滑らかさがなく、いかにも美しくない。

一時とはいえ、機械式時計を使っていた感覚からすると、どうにも違和感が消えない。

ただ、周りでは電波ソーラー時計など誰も持っておらず、独自性を出したい私にとっては好都合ではあった。

さて。当時は時計がどこで買えるのか、まともな知識すらない状態。

知っている店といえば、イオンと家電量販店とドンキホーテぐらいなものだった。

さっそく、1番品揃えが豊富だった家電量販店にいき、目当ての電波ソーラー時計をじっくり吟味することにした。

まだSEIKOにアストロンはなく、ブライツが全面に出されているような時代。他にCMに惹かれたオシアナスやシチズンのアテッサといった選択肢が並ぶ。

選択肢をよくよく見るとすべて国産時計である。そして、すべての時計が高額だ。とても気軽に買えるものではない。

そんな数少ない選択肢の中で、数々の因縁のあるSEIKOは最初に選択肢から外れた。

やむを得ない。もうトラウマを重ねるのはこりごりである。

CASIOのオシアナスはかっこよく、しゃれてはいたが、色彩が嗜好に合わず、試着すると致命的に似合わなかった…

何より値段である。

まだまだ時計に10万円以上出すような根性などあるはずもなく…

結局買ったのは、wave ceptor WVQ400というCASIOの時計だった。

ラバーベルトで100m防水、日付にクロノグラフ、デュアルタイムにアラームにバックライトまでついていて、9000円台。

…まさに実用性抜群。

今見ても、なかなかいい買い物をしている気がする。

ステータス性はない。求めてもいなかった。

求める条件を全て満たしたこの時計を大いに気に入り日常使いを始めてからの日々。

無くすことも壊れることもなく、時刻調整も電池切れも気にせず、まさにストレスフリー。

初めて、まともに時計を使いこなし始めたといっても過言ではない。

不思議なもので、時計への抵抗感もすっかり消えてくると、もっと時計について知りたいという欲求が生じるものである。

読むファッション誌も学生向けから、大人向けに変わっていく中で、やたらと目につくようになった「一生モノ」の小物や道具の特集が大好きになった時期でもあった。

どうせなら時計も一生モノの高級品が欲しいと思い始めるまでにそう時間はかからなかった。

私にとっての一生モノとは何か、時計ブランドの歴史や有名モデルの知識を追い求める果てしない旅がようやく始まったのである。

沼への入り口はすぐそこにあるとも知らずに。

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